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おたる文学(ぶんがく)散歩(さんぽ)

 

(だい)19()  小樽(おたる)(だか)(しょう)時代(じだい)小林(こばやし)多喜二(たきじ)初期(しょき)作品(さくひん)広報(こうほう)おたる平成(へいせい)20(ねん)1(つき)(ごう)掲載(けいさい)

   

 小林(こばやし)多喜二(たきじ)小樽(おたる)高等(こうとう)商業(しょうぎょう)学校(がっこう)(げん)小樽商科大学(おたるしょうかだいがく))に入学(にゅうがく)したのは、大正(たいしょう)10(ねん)4(つき)のことです。(ちょう)(りつ)小樽(おたる)商業(しょうぎょう)学校(がっこう)時代(じだい)から、()短歌(たんか)小品(しょうひん)()いて校友(こうゆう)会誌(かいし)などに発表(はっぴょう)していた多喜二(たきじ)入学(にゅうがく)()本格(ほんかく)(てき)小説(しょうせつ)()(はじ)め、学内(がくない)雑誌(ざっし)ばかりではなく中央(ちゅうおう)発行(はっこう)されていた『小説(しょうせつ)倶楽部(くらぶ)』『文章(ぶんしょう)倶楽部(くらぶ)』『新興(しんこう)文学(ぶんがく)』といった商業(しょうぎょう)雑誌(ざっし)積極(せっきょく)(てき)投稿(とうこう)します。明治(めいじ)から大正(たいしょう)()にかけて(さか)んに発行(はっこう)されたこれら商業(しょうぎょう)雑誌(ざっし)への投稿(とうこう)は、このころやや下火(したび)になってはいたものの、地方(ちほう)()文学(ぶんがく)青年(せいねん)たちの数少(かずすく)ない文壇(ぶんだん)への足掛(あしが)かりに()わりはありませんでした。

 

 多喜二(たきじ)(とく)に『小説(しょうせつ)倶楽部(くらぶ)』には(なん)(へん)投稿(とうこう)(かさ)ね、入選(にゅうせん)こそ()たせなかったものの、(すう)(へん)選外(せんがい)佳作(かさく)(えら)ばれ、そのうち「龍介(りゅうすけ)乞食(こじき)(こじき)」という作品(さくひん)大正(たいしょう)11(ねん) 3(つき)(ごう)本文(ほんぶん)掲載(けいさい)されました。

 

 この作品(さくひん)(なが)(あいだ)多喜二(たきじ)商業(しょうぎょう)雑誌(ざっし)発表(はっぴょう)された最初(さいしょ)作品(さくひん)とされていました。しかし最近(さいきん)になって、これよりも(はや)く、(おな)じ『小説(しょうせつ)倶楽部(くらぶ)』の大正(たいしょう)10(ねん)10(つき)(ごう)に「()いた体操(たいそう)教師(きょうし)」という作品(さくひん)掲載(けいさい)されていることが()かりました。(のこ)っている雑誌(ざっし)そのものが(すく)なく、いわば86(ねん)()発見(はっけん)でした。

 

 「()いた体操(たいそう)教師(きょうし)」は、小樽(おたる)商業(しょうぎょう)実際(じっさい)()こった校長(こうちょう)排斥(はいせき)事件(じけん)をモデルとし、この事件(じけん)巻き添(まきぞ)えとなった体操(たいそう)教師(きょうし)悲哀(ひあい)を、ユーモアを(まじ)(あたた)かく(えが)いたもの。多喜二(たきじ)はすでに17(さい)とは(おも)えない筆力(ひつりょく)()せています。

 

 小樽(おたる)(だか)(しょう)多喜二(たきじ)の1学年(がくねん)後輩(こうはい)だった伊藤(いとう)(せい)は、自伝(じでん)(てき)小説(しょうせつ)(わか)詩人(しじん)肖像(しょうぞう)』の(なか)で、小樽(おたる)(だか)(しょう)図書館(としょかん)でしばしば見掛(みか)けた多喜二(たきじ)についてこう()いています。

 

『あいつが()んだ(のち)では、(わたし)自分(じぶん)()んでいる(ほん)本当(ほんとう)中身(なかみ)がもう()()られているような()がした』

 

 多喜二(たきじ)(とく)志賀(しが)直哉(なおや)傾倒(けいとう)し、その文学(ぶんがく)徹底的(てっていてき)(まな)(はじ)めたのもこのころでした。

 

小樽高商時代の小林多喜二

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