市長の会社訪問 北海紙工業(株)(小樽市銭函3丁目)

公開日 2020年10月08日

更新日 2021年02月02日

平成28年2月17日(水)小原良代表取締役、平野聖幸取締役営業部長と面談

食品流通の縁の下の力持ち〜軟包装パッケージ製造工場

面談の様子                  包装機械の様子

◆当社は昭和14年設立の株式会社東亜商会がはじまりである。昭和20年社名変更し、現社名の北海紙工業株式会社となった。平成11年市内若松から現在地である銭函へ移転。小樽の地で創業し78年を迎える。

◆当社の社名に”紙”という字が入っているのは、創業当初小樽にあった北海製紙株式会社の傍系の会社であったことから、紙紐や紙綿を主力製品として製造していたためである。その後、時代の流れとともに紙紐等の需要が減少したことなどから、軟包装用プラスチックフィルムの印刷・製袋加工等、包装資材の製造販売へと事業転換をはかり現在に至っている。

◆現在の当社主力製品は、葉物野菜用の袋、パン・菓子用の袋など主に食品業者向けの包装材料が中心となっており、他にフラワー用ラッピングフィルムやプラスチック封筒の製造や各種包装資材の販売も行っている。主力販売先は道内全域であり、農産・食品関連業者が中心である。

◆当社工場では、大きく分けて三つの工程で製品を製造している。主な原料となるのは透明な軽包装用プラスチックフィルムである。この原料は厚みが20〜30ミクロン程、巾約1m、巻数が4,000m、重量約80kgのロール状のフィルムとなっている。印刷部門では、この原料にお客様からの要望による様々なデザインの印刷をする。印刷様式はグラビア印刷である。印刷速度の速さと版の耐久性の高さから大量生産に向いている。印刷部門で印刷された製品は次工程である製袋・スリッター部門へとすすむ。製袋部門では中に入る野菜やパンなどの形や大きさにより色々な寸法の袋に加工される。製袋様式は溶断袋であり、主に軽包装用途の袋に使用される。スリッター部門では広幅のロールフィルムを巻き戻しながら、刃物を入れ、連続的に切断し2〜3面で巻数が500〜1000m程の小巻製品に加工される。主に自動包装用のパン・菓子業者向けが中心である。こうして出来上がった製品は自社便、運送便で道内の様々なお客様へ届けられる。

◆当社では様々な印刷・製袋用のフィルム基材が使用されている。その中でも代表的なものとして主に葉物野菜用に使われるのが、東洋紡の製造販売する防曇効果に優れたF&Gフィルムである。この防曇フィルムのパイオニアである東洋紡と当社は、F&Gフィルムの発売当初から道内においての印刷・製袋加工及び販路拡大の取り組みをしており、現在の会社の基盤となっている。このF&Gフィルムで製造された袋は、野菜がスーパーなどの店頭に陳列された時に、冷気や野菜自体の呼吸により袋が曇って中身の包装物がクリアに見えないということを防ぐ効果があり、結露した水滴からくる野菜のずるけによる腐敗防止にも効果があり、歩留まりアップも期待できる。現在では野菜以外でも給食パンの包装にも採用されており、袋の中の結露でパンが濡れる事を軽減し、少しでもおいしく食べていただけるようにとのことである。

◆昨今では食の安心安全が叫ばれており、当社製品も食品に関わる包装材料であることから、原料の選択、製造工程である印刷・製袋・スリッターの各部門での衛生面を含めた品質管理には気をつかう。お客様からの品質レベルや要望も年々厳しくなっている。工場見学時は、粘着テープで衣服についた毛髪等を取り除き、ヘアキャップで頭髪を覆う。ズボンの裾もバンドで締め体毛落下を防ぐ。こうした手順は製品への異物混入を防ぐ上では省けない。異物混入のクレームは大切なお客様に迷惑をかけるばかりか、商売を失うことにも繋がりかねない重大な問題となるからである。次に手をアルコール消毒液で除菌。最後にエアーシャワー室を通り工場内へ入る。

◆当社の主な原料であるフィルムにおいては、食品にじかに触れるものであるため、仕入価格の高低にとらわれず、問題が発生した場合の対応において、海外製造の輸入フィルムに比較し即応性があり、長年の取引の中で信頼のおける国内メーカーのフィルムを使用している。当社製品の様な包装資材である袋は、中身商品の保護や劣化防止はもちろんのこと、中身商品のPR・宣伝効果や原材料表示・栄養成分表示・アレルギー物質の表示、保存方法、調理方法など一般消費者への様々な情報が記載されており、現在の食品をはじめとする商品流通においては必要不可欠であり、この存在無しには商品を店頭まで届けられない。しかしながら、中身販売の補助的な物と捉えられやすく、最終的にはゴミとなることもありコスト削減の対象にされやすい。ユーザーが包装資材にかけるコストは低下傾向であるが、安心安全な国内生産、道内製造の袋を使用していただき、中身も袋も地産地消の推進をお願いしたい。

工場見学の様子                  製造機械見学の様子

◆製造工程においては、印刷部門ではデザインに忠実な再現性が求められる。印刷柄のミクロン単位のずれ、色調の微妙な違い、印刷の僅かなかすれや汚れなどチェック項目は多岐にわたる。製袋部門では簡単に破けない袋の強度が求められる。フィルムを高温で溶着させ袋が出来上がることから、熱による袋の変形やシワなどがチェック項目となる。スリッター部門ではユーザーの様々な自動包装機に適したスペックが求められる。製品の巾や巻数精度の他に、巻取りの固さ、表層部の形状、巻側面の形状などがチェック項目となる。

◆当社は環境問題への取組みとして日本印刷産業連合会の制定する、印刷産業界の環境自主基準に則ったグリーンプリンティング認定を、平成21年に軟包装グラビア印刷業界において北海道で最初に取得し、環境に配慮した製品づくりを行っている。認定に当たっては、下記のような活動を点数化し基準をクリアすることで与えられるものである。一般的なことでは、電力の削減、車のアイドリングストップなどによるCO2排出量の削減、原料・資材等のグリーンマーク製品の優先的な購入を実施。専門的なことでは、印刷工程において版の掘りを浅くしてインキの使用量を減らし、印刷時に発生するVOC(揮発性有機化合物)を削減するなど様々な対策などを行っている。こうした活動は地球温暖化に寄与し、職場の労働環境の改善にもつながっている。また一般廃棄物、産業廃棄物の分別、回収、管理、並びにリサイクル推進など社会の要請に沿った活動を行っている。このような取組みを通して、当社は地球環境にやさしい、安心安全な製品をお客様へお届けしている。

◆製品に対する品質の維持・向上や、作業工程における環境対策、労働安全衛生対策などは年々レベルがアップし、かつ厳しさを増している。これに対応するためには、日々の技術力向上への研鑽が求められ、製造マニュアルも都度の更新が必要である。また、検査機を含めた生産設備の更新などの投資も計画的に行わなければならない。これを怠るとすぐさま市場から取り残される。こうした対応には金額的な負担も大きく、使い勝手のよい公的補助制度があれば検討したい。

◆近年の当社を取り巻く環境は、お客様が食品関連中心ということもあり、極端な浮き沈みなく安定した製造、販売状況を維持している。当社製品は、包装された中身であるお客様の商品が売れてくれないことには恩恵も多くは望めず、そういった面ではお客様に恵まれている。しかしながら、主な原材料であるフィルムやインキは石油由来のものであり、近年は価格変動もたびたびで、原料価格の変動をいかに販売価格へ反映していくかが難しい。さらに電力料金等の光熱費も上がっており、コストの削減の努力も追いつかず利益を圧迫している。また同業者の本州からの売り込みや近年ではネット販売などの競合先もあり、安閑とはしていられない。

◆当社の扱う葉物野菜用の袋は、トレーサビリティーの観点から生産者がすぐわかる様に、生産者の名前や番号、QRコードなどを個別に小ロットで印字できるようにしている。昨今、話題となっているTPP問題は道内においても注目を浴びているが、葉物野菜については、こうした国内産のしっかりとした管理体制や消費期限の短い生鮮流通がもっぱらであることから、輸入品の流入は考えにくく、当社の扱い数量には影響は少ないと思われる。また、農家の高齢化進行、後継者不足の問題などから、通年栽培が可能な水耕栽培などの植物工場や農事法人なども出始めてきており、当社にとっても新たな市場となっている。パン・菓子用の袋は、日配品ということもあり通年通しての、平均的な製造工程が立てやすい反面、日々の配送組みや在庫管理には気を使う。菓子類などは、核家族化や単身世帯の増加による個食化が進み、大袋の中に小袋がいくつか入っている包装形態が増えており、袋面積すなわちフィルム使用量も増加している。当社にとってはありがたい傾向である。

◆社会現象となっている人手不足は当社においても同様である。製造業イコール3K(きつい、きたない、きけん)というイメージからか欠員補充で募集を出してもなかなか集まらない。当地区は製造工場が多く、聞くところによると周りの状況もさほど変わらないようである。ものづくりは、何も無いところから知恵を出し、汗をかき、経験を積み、いかに役立つ優れた製品を世に送り出すか、大変やりがいのある仕事であり、製造業が元気になれば景気も上向く。銭函が元気になれば小樽も活気づく。ぜひそのような方向に進んでほしいと期待し、当社もこの地区の一員として創業100年を目指し日々の操業に邁進している。

お問い合わせ

産業港湾部 産業振興課
住所:〒047-8660 小樽市花園2丁目12番1号
TEL:0134-32-4111内線263
FAX:0134-33-7432
このページの
先頭へ戻る