急がれる病院建設1(広報おたる平成18年6月号掲載)

看護師

1日も早い着手が望まれる新病院の建設。しかし、小樽市にとって一大事業となるこの事業には、市民の皆さんにとって、分からないことも多いかと思います。

 今回は、新病院建設の必要性や寄せられている質問などについて説明します。

 

 

 

 

はじめに

 市立小樽病院と市立小樽第二病院は開院から現在まで、市民の生命と健康を守るという、公立病院としての役割を果たしてきました。そして今後も、民間の医療機関で対応が難しい分野を中心的に担うことにより、地域の基幹病院として重要な役割を果たしていかなければなりません。

 しかし現在、両院は老朽化が進み、また施設が狭いため医療環境が悪化し、このことが医師の確保を困難とし、経営状況も悪化させています。

 このままでは、公立病院としての役割を果たせなくなるばかりか、収支の悪化から、市の財政負担をさらに増やすことが懸念され、その存続すら危ぶまれる状況となっています。

 まずは、両院の厳しい現状から説明していきます。

現在の病院の老朽化と狭さの解消

 小樽病院の建物は、最も古い部分で昭和28年、第二病院は49年に建設されたもので、かなり老朽化が進んでいます。特に電気・給排水・暖房などの設備関係は、補修の繰り返しで何とか維持している状況です。また、新しい耐震対策や、消防設備の改善も課題となっています。

 そして、老朽化ばかりではなく両院が大変狭いことも、利用する方に不便を掛けることになっています。最近建設されたほかの病院との比較は下の表1のとおりです。利用者の方々からは、医療環境の整った病院を1日も早く建ててほしいとの強い要望が寄せられています。そのほか、狭くて非効率的な施設は、医療を提供する側、看護する側にとっても働きにくい環境となっており、医師等の確保を困難にしている1つの要因にもなっています。

 これらを解消することにより、快適で安心な医療環境を整備することが強く望まれています。

医師確保の問題

 医師の確保は、新しい医師研修制度の影響もあり、全国的な問題となっています。「医師に選ばれる病院」でなければ医師の確保は困難になっており、今後その傾向はますます強くなってきます。施設の老朽化は医師を確保する上でも大変不利な条件となっており、両院の医師はこの2年間で59人から44人に減少しています。

 そのため、1日も早く新病院の建設に着手し、医療環境を整え、医師の確保に取り組む必要があります。

 

表1.市立病院と最近建設された病院の比較
比較項目 現在の市立病院 最近建設された病院
・1病床当たりの面積 33〜35平方メートル 平均71平方メートル
・病室の種類 6人部屋が中心 4人部屋と個室中心
・患者用の食堂、談話室 ない ある
・待合室、診療室などの広さ 狭い 広い
・トイレ 病室から遠い 病室にある
・プライバシー 守られにくい 守られる

 

病院が二つあることの非効率性

 二つの病院で診療科が分かれているために、診療上で大変不便があることはもちろんです。また、医療機器などの設備やスタッフがそれぞれに必要なことも、経営上の大きな負担となっています。

 統合新築による診療上のメリットは図り知れません。また、経営上の非効率性の解消は、医業収支を大きく改善することになります。

  45パーセントの大幅なダウンサイジングでは、新病院の建設において、どの様な見直しがされているのでしょう。次に新病院の概要を説明します。

 かつて、両院には合わせて800人近い方が入院していた時期もありました。しかし、人口の減少などにより入院患者は減少してきています。そこで、新病院では下の表2のとおり、両院合わせた現在の892床から493床へと45パーセントの大幅なダウンサイジング(規模縮小)を行う予定です。

 「493床でも多いのでは?」との意見もありますが、この数は、将来の年齢別人口の推計や両院の実績などを基に算定しています。さらに患者さんの入院日数が年々短縮されることも想定して決めた数です。

  また、493床の病床があっても493人が入院できるわけではありません。急患のためのベッドや男女別、診療科別などもありますので、混合病床を増やすなど効率的な運用を行っても、実際は常時430人程しか入院できません。

 現在は医師の確保が難しいこともあり患者数が減少していますが、平成16年度の入院患者さんは1日平均約580人ですので、これでも開院時には病床が150以上も不足します。これについては、クリニカルパス(診療計画書)の活用を進め、他の医療機関などとの連携を強めて、入院期間の短縮を図り、機能分担をして対応していくことになります。

  これ以上病床数を削減すると、せっかく新しい病院になったのに、入院できない人が出るという事態が起きると考えられます。

 

表2.新病院の病床数
病床の種類 現在
(両院の計)
新病院
・一般病床 643床 383床
・精神病床 200床 100床
・結核病床 47床 8床
・感染症病床 2床 2床
892床 493床

 

地域完結型の医療

 基本構想では、20の診療科目を予定しています。これは、ほぼ現在の診療機能を引き継ぐものですが、「民間の医療機関にある診療科を持つのは、無駄ではないか」とのご意見もあります。

 本市は高齢者の割合が多いこともあり、市内には、複数の診療科による治療が必要な患者さんが多くいます。また、小樽病院では、内科の入院患者さんの83パーセントがほかの診療科も受診していたとの調査結果もあります。今後、新病院で2次・3次救急を充実させるためには、総合的な診療機能を持つことが、ぜひとも必要です。そのため、総合的な診療機能を維持しながら、民間の医療機関で対応の難しい分野を充実させていくことが重要と考えています。

 新病院では、他の医療機関との機能分担などにより、"地域完結型"の医療を目指します。そこで、円滑な運営ができるよう、本年4月に地域医療連携の担当者を配置し、今から取り組みを始めています。

建設場所は築港地区

新病院建設に必要な要件

 新病院には駐車場の確保が欠かせないため、広大な面積の土地が必要です。大幅にダウンサイジングした病院でも、建物だけで、まず1万5000平方メートルの敷地が必要です。さらに駐車場を十分確保でき、なおかつ急性期の患者さんを受け入れる病院として、市民の皆さんが通いやすい場所であることが条件となりました。

候補地二カ所を選定

  現在の小樽病院の敷地は、立地場所としては良いのですが、使用できる面積が約7400平方メートルですので、ここに新病院の建設はできません。しかし、小学校の適正配置が予定されていましたので、小樽病院と隣接する量徳小学校の敷地を合わせると約2万2000平方メートルの面積が確保できるため、建設は可能と考えていました。また、市有地ではありませんが、築港地区で未利用となっている土地についても、必要面積の確保ができると判断しました。このほかには適地がないため、15年8月、この二カ所を候補地として決定し、新聞報道もされました。

  二カ所のうち、現在地と量徳小学校の土地については、市有地であるという大きな利点がありました。ただしこれは、小学校の適正配置が実施された結果、量徳小学校の敷地が利用できることとなって初めて可能となるため、その推移を見ることとなりました。

築港地区に特定

 その後、小学校の適正配置が保護者の方々などの理解が得られなかったこと、また、適正配置計画実施方針の策定後、社会情勢や教育環境が変化したことなどから見送られたため、もう一方の候補地である、築港地区での検討を行いました。

 こうして、下の図(太枠内)の築港114番の土地について検討を進めた結果、面積は約2万平方メートルですが、駐車場を2層式にすることなどにより建設が可能と判断しました。また、現在この土地は、都市計画の土地利用の基本方針により病院の建設ができないこととなっていますが、この基本方針の変更についても合わせて可能と判断し、この土地での建設を進めていくこととしました。

新病院建設予定地区の地図

 建物は延べ3万5000平方メートル

 現在のところ、建物は1病床当たり71平方メートル、延べ面積3万5000平方メートルで、8階建て程度になると考えています。駐車場は350台程度の収容ができる2層式を考えています。

  なお、上の図は、あくまでも配置のイメージを表したもので、実際には今後の基本設計の中で検討していくことになります。

統合新築により将来の市民負担が軽減

 「病院の新築は、多額の借金を将来に残す」とのご意見があります。しかし、現在の病院のままで推移するより、効率的な病院を建設した方が市民負担は軽くなります。
 新病院の建設事業費は、今後さらに圧縮できると考えていますが、起債(借金)の額は197億円で、そのうちの27.5パーセントが実質的な一般会計の負担となります。これがいわゆる市民負担と考えると、利息も含めて、34年間にわたり毎年度2億円強の償還をしていくことになります。
 市民負担について考えると、下のグラフのとおり、現在一般会計では毎年度4〜6億円の実質的な負担をしていて、現行の病院のままでは、将来は約7億円の負担が続くと予測されます。また、収支が悪化すれば負担はさらに増大し、本市の財政再建にとって大きな足かせとなる可能性があります。
 一方、統合新築した場合には、医業収支は大きく改善されます。起債の償還を行い、長期で借り入れしている44億円の返済をしても、負担は毎年度4億円程度軽減されることになります。
 新病院の建設は、本市の財政再建のためにも急がれます。もちろん、漫然とした運営を行っていて、大きな収支改善を望めるわけではありません。そのため両院では、質の高い効率的な医療の提供を目指して、病院機能評価を受けるなど、診療体制の改善や意識改革など、既に取り組みを始めています。(下のグラフは資金収支を比較したものです。)

資金収支の比較グラフ

 

今後について

 先に述べたとおり、建設予定地は、現在、都市計画の土地利用の基本方針上で「多目的交流・商業地区」となっており、このままでは病院の建設はできません。そのため、基本方針を「医療・福祉関連サービス業務地区」に変更することを予定しています。これには、関係権利者への説明や都市計画審議会への諮問などに4〜5カ月を要しますので、ただちにその手続きに入って行きます。その後、基本設計のための補正予算案を12月の市議会第4回定例会へ提出し、議決後、年度内に基本設計を発注したいと考えています。
 なお、築港地区の交通アクセスなど、そのほかの課題についても、今後、関係機関と協議していきます。

◎新病院の建設は、診療面からも財政面からも"待ったなし"の状況です。新病院建設について、今後とも、市民の皆さんのご理解をお願いします。

問い合わせ先

病院局経営管理部(総務部市立病院新築準備室)

電話 0134-25-1211

ファクス 0134-32-6424

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