小樽ゆき物語


紅葉橋の坂 前編

 小樽公園の市民会館と公会堂を左に見ながら、緑町に向かって緩やかに坂を下っていくと、於古発川(おこばちがわ)が流れています。川に架かる橋の名前にちなんで、この坂は紅葉橋(もみじばし)の坂と呼ばれています。 
 この橋の欄干には4本の柱が立っており、その上の球形の灯りが古風な雰囲気を伝えています。 橋の上から川の下流を眺めると、右手には公園の木々が茂り、左手にはとがった三角屋根の木造2階建ての、同じ形の民家が3軒並んでいます。また、川の護岸の花壇には草花が咲き乱れています。眺めていると、なぜか懐かしさがこみ上げてくる不思議な空間です。
 この家を昭和42年から借りてお住まいの方にお話しを伺いました。居間でくつろいでいると、橋の上から風景を眺めたり、写真を撮ったりする人の姿をよく見掛けるそうです。大林宣彦(おおばやしのぶひこ)監督の映画「はるか、ノスタルジィ」(1992年制作)でも、この3軒の家はロケに使われました。紅葉橋の坂
 「家の前が川と公園の緑なので空気が本当においしくって」。お赤飯を炊くとお隣さんにおすそ分けするご近所付き合いも健在です。
 この家はいつごろ建てられたものでしょうか。家の所有者の方に伺いました。この方の父親はこの場所で、みそ・しょうゆの工場を経営していましたが、工場をやめ、昭和8年、跡地に3軒の貸家を建てたそうです。「71年前の木造建築ですが、基礎がコンクリートなので今まで持ったのでしょう」
 現在の紅葉橋は昭和10年に造られ、三角屋根の家が建てられたのが昭和8年ですから、ほぼ同じころです。紅葉橋は上流の洗心橋が流された昭和37年の水害でも流されませんでした。また、三角屋根の家は、その住人が愛情を込めて大切に住んできたせいか、いまだに健在です。
 紅葉橋のたもとにたたずんでいると、昭和初期のまま時が止まったような郷愁を覚えます。そして古き良きものを残すことの大切さを感じます。

紅葉橋からオコバチ川

紅葉橋の坂の地図

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