小樽ゆき物語

小樽の蜃気楼「高島おばけ」って何? 

高島岬の蜃気楼

蜃気楼により変化する高島岬とトド岩

 「高島おばけ」とは

 江戸時代末に蝦夷地を探検した松浦武四郎は、弘化3(1846)年の5月、小樽沖の海上を航行中に、高島岬などが蜃気楼になって見えたと『西蝦夷日誌』などに記しています。

 『西蝦夷日誌』によると、船に一緒に乗っていた人が「今日は高島のオバケが出る。あれを見なさい」と言い、彼方の岬を指して教えてくれたそうです。間もなく小さな点のような島と思えた岩磯が大きく見えたそうです。さらに、小さなむしろの帆の船は華やかな錦幕の船のように見え、小屋のような漁屋は宮殿楼閣のように見えたそうです。

 

 松浦武四郎が紹介した「高島おばけ」の詳細については、こちらをご覧ください。

 

「高島おばけ」は珍しい上位蜃気楼

 蜃気楼とは、遠くから届く光が途中で屈折するために、景色が通常とは異なって見える現象です。光の屈折は、温度の異なる空気の境界で起こります。蜃気楼は、大きく分けて「上位蜃気楼」と「下位蜃気楼」の二つのタイプがあります。

 「高島おばけ」は、島が大きく見えたり、建物が宮殿楼閣のように見えたりしたということなので、虚像が上方に見える「上位蜃気楼」です。上位蜃気楼は、上層に暖かい空気があり下層に冷たい空気があると、その境界を通る光が凸状に進むために、遠くの景色の上方に虚像が見えます。

 日本国内で上位蜃気楼が継続的に観測されているのは、富山湾をはじめ、琵琶湖、猪苗代湖、苫小牧沖、オホーツク海のみです。ですから、小樽沖の石狩湾で見られる蜃気楼「高島おばけ」は全国的にも珍しい現象だと言えます。

 

上位蜃気楼の名所

上位蜃気楼が継続的に観測されている地域

 

 蜃気楼についての詳細は、こちらをご覧ください。

 

いつ発生する?

 石狩湾で上位蜃気楼が観測できるのは、年間で10回程度です。その中でも、初めて見た人が驚くほど規模の大きな蜃気楼は、年に1回程度しかありません。とても稀な現象です。発生する時間帯、継続時間、発生規模を予測することは難しい状況です。

 小樽沖に上位蜃気楼が発生する期間は、主に4月から7月です。石狩湾上の空気の下層には沖合の冷たい空気があり、上層に陸地からの暖かい空気が移り流れることで「上暖下冷」の空気層の構造ができます。そのため、春から初夏にかけての陸地の気温に比べ海水の温度の方が低い期間なのです。

 上位蜃気楼が発生する可能性の高い日は、天気が晴れで気温が高くなり、石狩湾岸に穏やかな南寄りの風が吹く日です。いわゆる「ポカポカ陽気の日」に蜃気楼が発生しているようです。

 発生する時間帯は、お昼前後が多いですが、夕方に発生することもあります。発生が継続する時間は、1時間程度の場合もあれば、半日程度続くこともあります。 

 

石狩湾に上位蜃気楼が発生するための条件は、次のようになります。

 

  • 期間は4月から7月 
  • 石狩湾岸の天気が「晴れ」で、日射がある日
  • 札幌などの石狩湾沿いの陸地の最高気温が、石狩湾の海面温度(※)よりも10℃くらい高くなる日
  • 石狩湾に陸地からの暖かな空気が、穏やかな風により移り流れること

 

  (※)石狩湾の海面温度は、4月は約7℃、5月は約10℃、6月は約14度、7月は約18度です。

 

 発生の仕組みについての詳細は、こちらをご覧ください。

 発生期待度の予報は、こちらをご覧ください。

 

どこで観察する?

 小樽沖の蜃気楼は石狩湾上で発生する現象です。そのため石狩湾越しに対岸の景色を見ることができる場所ならば、どこでも蜃気楼を観察できる可能性があります。例えば、旧高島トンネルの南側海岸、朝里海水浴場、銭函の小樽ドリームビーチなどは、対岸に特徴のある構造物や景色が見えるのでお勧めです。石狩湾新港のタンク群、手稲スラッジセンター、小樽ドリームビーチ海の家、高島岬のトド岩などは、蜃気楼による変化が分かりやすいので、それらの方向を観察すると良いでしょう。

 ただし、蜃気楼が発生する方向はその都度違うので、いろいろな方向も観察してみましょう。

 

石狩湾の地図

蜃気楼に適した観察地と方向

 

 石狩湾新港方向  ドリームビーチ方向  高島岬の方向

朝里の海岸から見た、石狩湾新港のタンク群

 高島の海岸から見た、手稲スラッジセンターと小樽ドリームビーチ海の家

小樽ドリームビーチ(銭函)から見た高島岬とトド岩

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 いずれの写真も下段は通常の景色 

 

どのように観察する?

 蜃気楼の観察は、数kmから数十km先の対岸の景色を見ることになるので、肉眼だけでは分かりにくいです。そのため、双眼鏡や望遠撮影ができるカメラもしくはビデオカメラがあると便利です。また、対岸の景色が通常はどのようになっているのか知らないと、蜃気楼が発生しているのかどうか気づかない場合があるので、普段から対岸の景色を見ておくことをお勧めします。

 

遠くの景色を望遠で観察 

対岸の遠くの景色を観察するので、双眼鏡や望遠レンズがあると便利

 

 

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