公開日 2020年10月05日
更新日 2021年03月25日
本質疑応答集の位置付け(平成17年10月1日現在国土交通省建設業課)
本質疑応答集は、建設リサイクル法に関してこれまでに寄せられた質疑のうち、代表的なものについて基本的な考え方を示したものです。
建設工事には非常に多種多様なものがあるため、本質疑応答集が全てをカバーしているわけではありませんが、個々の事例については本質疑応答集に示された基本的な考え方を踏まえて個別に判断することになります。
第2条関係
建設資材の定義
Q1伐採木やコンクリート型枠、梱包材等は分別解体等・再資源化等の対象となるのか?
A1.法第2条第1項において、建設資材とは「土木建設に関する工事に使用する資材」と定義されており、伐採木、伐根材、梱包材等は建設資材ではないので、建設リサイクル法による分別解体等・再資源化等の義務付けの対象とはならない。
また、特定建設資材のリース材(例えば木製コンクリート型枠等)については、工事現場で使用している間は建設資材であるものの、使用後リース会社に引き取られる場合は、建設資材廃棄物として排出されるものではない。このため、対象建設工事となる工事現場から直接廃棄物として排出される場合は、分別解体等・再資源化等が必要であるが、リース会社から廃棄物として排出される場合は、分別解体等・再資源化等の義務付け対象とはならない。
なお、分別解体等・再資源化等の義務付け対象とならないものについても、廃棄物処理法の規定に従って適正な処理が必要である。
Q2建設資材を材木工場等でプレカットする場合も分別解体等・再資源化等の対象となるのか?
A2.建設資材を材木工場等においてプレカットする行為は、建設工事に該当しないので、分別解体等・再資源化等の義務付け対象とはならない。
Q3解体工事の実施に当たり、現場ではミンチ解体を行って別の場所で分別してはいけないのか?
A3.法第2条第3項において、分別解体とは、解体工事の場合「建築物等に用いられた建設資材に係る建設資材廃棄物をその種類ごとに分別しつつ当該工事を計画的に施工する行為」と定義されており、現場で分別しつつ解体工事を行うことが必要である。
建築物等の定義
Q4建築物に該当するかどうかはどのように判断すればいいのか?
A4.建築基準法第2条第1号に規定する建築物に該当するものについては建築物として取り扱う。
建築基準法第2条
第二条この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一建築物土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)これに付属する問若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上屋、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
解体工事の定義
Q5解体工事とは何を指すのか?
A5.(1)建築物
建築物のうち、建築基準法施行令第1条第3号に定める構造耐力上主要な部分の全部または一部を取り壊す工事。
建築基準法施行令第1条第3号
第一条この政令において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
三構造耐力上主要な部分基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の振動若しくは衝撃を支えるものをいう。
A5.(2)建築物以外の工作物
建築物以外の工作物の全部又は一部を取り壊す工事。
特定建設資材の定義
Q6モルタルや木質ボードは特定建設資材となるのか?
A6.特定建設資材の範囲は、以下のとおりとする。
分類 | 例示 |
---|---|
特定建設資材であるもの | 木材(繊維板等を含む)、コンクリート、アスファルトコンクリート等 |
特定建設資材ではないもの |
モルタル、アスファルトルーフィング等 |
資材名 | 規格 | 判定 | 特定建設資材 |
---|---|---|---|
PC版 | JISA5372 | ○ | コンクリートおよび鉄から成る建設資材 |
無筋コンクリート、有筋コンクリート | ○ | コンクリート | |
コンクリートブロック | JISA5406 | ○ | コンクリート |
コンクリート平板・U字溝等二次製品 | ○ | コンクリート、コンクリートおよび鉄から成る建設資材 | |
コンクリート製インターロッキングブロック | ○ | コンクリート | |
間知ブロック | ○ | コンクリート | |
テラゾブロック | JISA5411 | ○ | コンクリート |
軽量コンクリート | ○ | コンクリート | |
セメント瓦 | JISA5401 | × | |
モルタル | × | ||
ALC版 | JISA5416 | × | |
窯業系サイディング(押し出し成形版) | JISA5422 | × | |
普通れんが | JISR1250 | × | |
繊維強化セメント板(スレート) | JISA5430 | × | |
粘土瓦 | JISA5208 | × | |
タイル | × | ||
改質アスファルト舗装 | ○ | アスファルトコンクリート | |
アスファルトルーフィング | × | ||
木材 | ○ | 木材 | |
合板 | JAS | ○ | 木材 |
パーティクルボード | JISA5908 | ○ | 木材 |
集成材(構造用集成材) | JAS | ○ | 木材 |
繊維板(インシュレーションボード) | JISA5905 | ○ | 木材 |
繊維板(MDF) | JISA5905 | ○ | 木材 |
繊維板(ハードボード) | JISA5905 | ○ | 木材 |
木質系セメント板(木毛・木片) | JISA5404 | × | |
竹 | × | ||
樹脂混入木質材(ハウスメーカー製品) | × |
○:特定建設資材
×:特定建設資材ではないもの
Q7モルタルだけを使用する工事は、対象建設工事になるのか?
A7.モルタルだけを使用する工事は、対象建設工にはならない。
Q8パーティクルボードだけを使用する工事は、対象建設工事になるのか?
A8.パーティクルボードだけを使用する工事は、この規模が建設工事の規模に関する基準以上の工事であれば対象建設工事となる。
Q9建築物等を新築する際に現場で使用せず持ち帰ったコンクリートも、分別解体等・再資源化等の対象となるのか?
A9.現場で使用しなかったコンクリートをコンクリート会社が持ち帰った場合は、特定建設資材にはならないが、対象建設工事となる工事現場で直接排出される場合には、特定建設資材として分別解体等・再資源化等が義務付けられる。
第9条関係
分別解体等実施義務
Q10わずかしか特定建設資材廃棄物が発生しないような工事も対象となるのか?
A10.特定建設資材を用いた建築物等に係る解体工事またはその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって、その規模が建設工事の規模に関する基準以上のものであれば、特定建設資材廃棄物の発生量に係わらず対象建設工事となる。
自主施工者
Q11建設会社が自社ビルを請負契約によらずに自ら新築・解体等する場合は、自主施工と考えてよいのか?
A11.よい。なお自主施工者が施工する対象建設工事については分別解体等実施義務のみ課せられているが、再資源化等義務についても可能な限り果たすよう努力することが必要である。
なお、工事の一部を他社に請負わせる場合は、自主施工には該当しない。
対象建設工事の考え方
Q12解体工事のうち、対象建設工事となる工事はどのようなものか?
A12.(1)建築物
建設リサイクル法による対象建設工事となる建築物の解体工事は、特定建設資材を用いた建築物に関する解体工事であって、建築物の構造耐力上主要な部分(建築基準法施行令第1条第3号)の全部または一部について、床面積の合計で80m2以上を解体する工事である。
また、構造耐力上主要な部分を解体する工事であっても、柱・壁等床面積の測定できない部分のみを解体する場合は、床面積をゼロとしてもよい。
建築物の一部を解体する工事であっても、構造耐力上主要な部分の解体を行わない工事については、建築物の修繕・模様替等工事として取り扱う。
なお、主たる他の工事の実施に伴う付帯工事として構造耐力上主要な部分を解体する場合にあっても、特定建設資材を用いた建築物に関する解体工事であって、建築物の構造耐力上主要な部分(建築基準法施行令第1条第3号)の全部または一部について、床面積の合計で80m2以上を解体する工事であれば、対象建設工事となる。
A12.(2)建築物以外の工作物
建設リサイクル法による対象建設工事となる建築物以外の工作物の解体工事は、特定建設資材を用いた建築物以外の工作物に関する解体工事であって、請負金額が500万円以上となる工事である。
Q13建築設備が対象建設工事となるかどうかはどう判断すればいいのか?
A13.建築設備については、建築物として扱うものの建築基準法でいう構造耐力上主要な部分にあてはまらないため、建築設備単独で行う工事については全て修繕・模様替等工事とみなし請負金額が1億円以上であれば対象建設工事となる。
ただし、建築物本体と建築設備の新築工事または解体工事を一つの工事として併せて発注する場合については、建築物本体が対象建設工事であれば建築設備に係る部分についても新築工事または解体工事として対象建設工事になるので注意が必要である。
工事の種類 | 発注形態 | 工事契約の内容 | 対象建設工事の規模の基準 |
---|---|---|---|
新築工事 | 一括発注 | 建築物の新築工事 (設備工事を含む) |
500m2以上 (設備工事を含む) |
分割発注 | 建築物本体の新築工事 | 500m2以上 | |
新築に伴う設備の新設 | 請負金額1億円以上 | ||
修繕・模様替等 工事 |
一括発注 | 建築物の修繕・模様替等工事 (設備工事を含む) |
請負金額1億円以上 (設備工事を含む) |
分割発注 | 建築物の修繕・模様替等工事 | 請負金額1億円以上 | |
設備工事(設備の維持修繕、 更新、新設、撤去) |
請負金額1億円以上 | ||
設備単独 発注 |
設備工事(設備の維持修繕、 更新、新設、撤去) |
請負金額1億円以上 | |
解体工事 | 一括発注 | 建築物の解体工事 (設備撤去を含む) |
床面積80m2以上 (設備工事を含む) |
分割発注 | 設備の撤去 | 請負金額1億円以上 | |
建築物本体のみの解体 | 床面積80m2以上 |
※設備単独発注工事とは、既存建築物の設備の維持修繕、更新、新設、撤去のことをいう。
Q14対象建設工事となるかならないか、詳細はどのように判断すればいいのか?
A14.(1)発注者または受注者が異なる場合
発注者または受注者が異なる工事は、当然契約も別契約であるので、契約単位ごとに対象建設工事となるかどうかを判断する。
A14.(2)発注者も受注者も同じ場合
工事箇所 | 契約 | 判断基準 |
---|---|---|
別の工事箇所 | 同一契約 | 1箇所あたりの工事ごとに対象建設工事であるかどうか判断 |
別契約 | ||
同一工事箇所 | 同一契約 | 全体の工事規模で判断 |
別契約 | 施行令第2条第2項ただし書きの正当な理由に該当するかどうかで判断 |
※なお、建築物以外の工作物の工事で同一路線上において複数の箇所の工事を行う場合(道路工事等)は、一連の工事単位ごとに判断する。
A14.(3)工種について
複数の工種(建築物の解体工事、建築物の新築・増築工事、建築物の修繕・模様替等工事、建築物以外の工作物の工事)にまたがる工事の場合は、それぞれの工種単位で対象建設工事であるかどうかを判断する。
ただし、建築物の修繕・模様替等工事については、建築物の新築工事または建築物の解体工事と同一契約により行う工事については、建築物の修繕・模様替等工事に係る部分も含めて、工事全体を建築物の新築工事または建築物の解体工事として扱うこととする。
A14.(4)下請工事の扱いについて
元請工事が対象建設工事であれば、その下請工事は規模の如何に関わらず全て対象建設工事である。(ただし、特定建設資材を扱わない下請工事を除く。)
工事内容 | 扱い |
---|---|
同じ場所に100m2の住宅を10戸同一業者と一の契約により新築する場合 | 対象建設工事 |
同じ場所で100m2の住宅の解体工事と請負金額が100万円の擁壁の解体工事を同一業者と一の契約により同時に行う場合 | 住宅の解体のみ対象建設工事 |
同じ場所で100m2の住宅の解体工事と請負金額が700万円の擁壁の解体工事を同一業者と一の契約により同時に行う場合 | 住宅の解体も擁壁の解体も対象建設工事 |
100m2の住宅を解体し、同じ場所に100m2の住宅の新築工事を同一業者と一の契約により行う場合 | 住宅の解体のみ対象建設工事 |
全国各地の全て異なる場所に、同一契約により1箇所当たり100万円の看板を100箇所設置する場合 | 対象建設工事ではない |
Q15建築物本体は既に解体されており、建築物の基礎・基礎ぐいのみを解体する場合は対象建設工事となるのか?
A15.建築物の本体が既に解体され相当の期間が経過した後に、基礎・基礎ぐいのみを解体する場合は、基礎・基礎ぐいは建築物以外の工作物をして扱い、特定建設資材を用いた基礎・基礎ぐいに係る解体工事であって請負金額が500万円以上であれば対象建設工事となる。
これは、既に建築物本体が解体されている場合には、基礎・基礎ぐいのみでは建築物とはいえないため、このような取扱いを行うものであり、基礎・基礎ぐいのみの解体工事を行う場合においても、建築物本体の解体工事と連続してあるいは短期間のうちに分離発注によって施行する場合には基礎・基礎ぐいについても建築物として取扱い、直上の階の床面積が80m2以上であり、かつ特定建設資材を用いた基礎・基礎ぐいであれば対象建設工事となる。
Q16門・塀の解体工事は、建築物の解体工事となるのか?
A16.門・塀については、建築基準法の規定により建築物に付属するものについては建築物として扱うこととされている。
よって、建築物に付属する門・塀については建築物をして取扱い、建築物に付属しない門・塀については建築物以外の工作物をして取扱う必要がある。
なお、建築物に付属する門・塀のみの解体工事を行う場合にはこれらが構造耐力上主要な部分に該当しないため、修繕・模様替等工事として取扱う。
Q17解体する建築物内に家具や家電製品などの残存物品が残されている場合はどのようにすればよいのか?
A17.家具や家電製品については、工事の発注者が、その排出者として事前に処分しておくべきものである。このため、事前調査の段階で残存物品の有無の調査を行うこととなっており、残存物品が建築物内に残されている場合には、発注者に対して事前に撤去するよう依頼しなければならない。また、この場合には、事前措置の段階で残存物品が搬出されたかどうか確認することが必要である。
Q18屋根のみを解体、壁のみを解体する場合などの床面積の算定方法は?
A18.屋根のみの解体工事については、屋根の直下の階の床面積とする。柱・壁など床面積の概念がないものは、床面積をゼロとしてもよい。
第10条関係
対象建設工事の届出
Q19対象建設工事の工事の契約前に届出を提出してもいいのか?
A19.届出書には、対象建設工事の元請業者の商号、名称または氏名及び住所ならびに法人にあっては代表者の氏名を記載することとなっているが、契約を締結していない段階では元請業者は存在しないので、元請業者について記載することができない。このため、工事の契約前に届出書を提出することができない。
Q20届出は工事着工7日前までとあるが、工事着手とはどの時点をさすのか?
A20.実際に現場で新築・解体等の工事を始める日(新築・解体等の工事のための仮設が必要な場合は仮設工事を始める日)である。
Q21建設リサイクル法に定められた事前届出を行えば、建築基準法で定められている除却届けは提出しなくてもよいのか?
A21.建築基準法で提出が義務付けられている除却届は、これまで通り提出する必要があります。ただし、同一の場所で建替えの場合は不要です。(工事届に除却について記入となる。)