公開日 2020年10月16日
更新日 2024年07月22日
平成29年2月9日
黄熱対策の強化により、流行国に加え、その周辺国においても、入国の際に、黄熱の予防接種証明書(イエローカード)の提示を求められる場合があります。これらの情報は、黄熱の流行状況や各国の事情により、予告なく変更されることがあります。ビザ申請や入国審査等の要件に係る黄熱の予防接種の最新の情報については、必ず事前に各大使館、領事館へお問合せください。
黄熱とは
黄熱は、蚊を媒介して感染する病気です。
2015年12月以降、アンゴラを中心に、アフリカで黄熱が多数報告されています。また、南アメリカにおいても複数の国で黄熱の報告があり、2017年1月31日、世界保健機関(WHO)は、ブラジルにおける黄熱の流行の拡大を受けて、同国エスピリト・サント州、バイーア州及びリオデジャネイロ州のそれぞれの一部を黄熱のリスク地域に追加しました。流行、及び発生が確認されている国・地域については、厚生労働省検疫所ホームページ(外部サイト)を御覧ください。
日本には常在しないヤブカ属のネッタイシマカが、黄熱ウイルスを媒介することが確認されています。日本のほとんどの地域(秋田県および岩手県以南)でみられるヒトスジシマカが黄熱ウイルスを媒介することができるか否かはわかっていません(確率的には低いとされています。)。
第二次世界大戦終戦以後の海外のリスク国・地域で感染し国内で発症した例、日本国内で感染した例ともに、これまで報告はありません。
感染経路
【原因】
フラビウイルス科フラビウイルス属に属する「黄熱ウイルス」です。
潜伏期間は、3-6日(多くは2-7日)と言われています。
【感染経路】
蚊を媒介した感染
ウイルスに感染した患者を蚊が吸血すると、蚊の体内でウイルスが増殖し、その蚊が他者を吸血することでウイルスが感染します。
※基本的に、感染したヒトから他のヒトに直接感染するような病気ではありません。
予防法
1.黄熱に感染する危険のある地域に入国する前に黄熱ワクチンを接種しましょう。
現在流行が確認されている国・地域及びその周辺の黄熱のリスク国・地域へ渡航する場合は、予防接種証明書(イエローカード)の提示が義務
づけられているかに関わらず、渡航の10日前までに黄熱の予防接種を受けることを推奨します。
2.蚊に刺されないように注意しましょう。
特に、海外の流行地にでかける際は、長袖、長ズボンの着用が推奨されます。また蚊の忌避剤なども有効です。
また、国内では、「ディート」や「イカリジン」を成分とした忌避剤が市販されています。これは、中南米の蚊にも効果があるとされています。製品の
用法・用量、使用上の注意を守って使用しましょう。
黄熱ワクチンについて
【ワクチンの種類】
生ワクチンです。接種10日後には90%の接種者で十分な免疫が得られ、接種後14日後にはほぼ100%の予防効果があるとされています。一度接種すると、免疫効果はほぼ一生持続すると考えられています。
【接種について】
黄熱の予防接種証明書は、接種後10日目以降から有効となるため、予防接種証明書の提示を求める国では、渡航の直前に接種を行っても入国が認められない場合があります。
また、黄熱ワクチンは生ワクチンなので、接種後28日間は他のワクチンを接種することができません。渡航先により、黄熱以外の予防接種やマラリア予防薬の処方を受けたほうが良い場合もありますので、早めに入国に必要なワクチンを確認し、予防接種スケジュールを立てましょう。
(黄熱以外の予防接種については、接種する医療機関の医師と相談してください。)
※1回の接種で10年間有効とされている黄熱の予防接種について、2016年7月11日から、生涯有効となりました。
有効期限の切れた予防接種証明書(イエローカード)を持っていても自動的に更新されます。
※各国・地域の黄熱予防接種証明書要求及び推奨状況については、厚生労働省検疫所ホームページ(外部サイト)を御確認ください。
※黄熱の予防接種を要求していない国・地域であっても、黄熱に感染する危険がないということを意味するものではありません。
渡航先が黄熱に感染する危険のある国・地域であれば、予防接種を推奨しています。
【接種機関】
検疫所や一部の機関で接種可能です。小樽市では、小樽検疫所で接種することができます。
黄熱予防接種機関では、計画的に接種を実施しているため、全ての接種機関において、事前の予約が必要です。必ず事前に接種希望先の予約電話番号にお問合せください。
(参考)小樽検疫所の予約電話番号は0134-23-4162です。
※受付終了日は、接種日の前週の金曜日までとなっています。
症状と治療
【症状】
発熱、悪寒、筋肉痛、背部痛、悪心・嘔吐が主な症状です。
感染して全員が発症するわけではなく、多くは不顕性感染です。症状がないか、症状が軽いため気付かないこともあります。
しかし、発症した場合、重症になるリスクの高い感染症でもあります。症状を呈した患者のうち15%が重症になり、高熱、黄疸、出血傾向などを
来たし、重症になった患者のうち20-50%の患者が死亡するといわれています。そのため、予防接種での予防が重要です。
【治療】
黄熱に対する有効な薬は見つかっていません。対症療法が中心となります。
海外の流行地域で蚊に刺されたら
すべての蚊が黄熱ウイルスを保有している訳ではないので、蚊に刺されたことだけで過度に心配する必要はありません。
心配な場合は、帰国した際、空港等の検疫所で御相談ください。また、帰国後に心配なことがある場合は、最寄の保健所に御相談ください。
なお、黄熱は、発症した後数時間から一日程度の寛解期を経て、重症化する例もあります。早期治療で体力を保つことが重要です。帰国後、発熱などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
関連リンク
医療機関の皆様へ
黄熱は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)の四類感染症に分類されています。
臨床症状や検査所見から、黄熱患者及び無症状病原体保有者を診断した場合には、直ちに小樽市保健所に連絡をお願いいたします。
【参考】
届出基準については、厚生労働省ホームページ「感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について」(外部サイト)をご覧ください。
黄熱の臨床的特徴
潜伏期間は3-6日間で、発症は突然である。
悪寒又は悪寒戦慄とともに高熱を出し、嘔吐、筋肉痛、出血(鼻出血、歯齦出血、黒色嘔吐、下血、子宮出血)、蛋白尿、比較的徐脈、黄疸等を
来す。
普通は7-8病日から治癒に向かうが、重症の場合には乏尿、心不全、肝性昏睡などで、5-10病日に約10%が死亡する。