公開日 2020年10月19日
更新日 2024年08月21日
こころの問題について知ろう
日本では毎年、自殺者が2万人を超えて推移しています。
自殺に至る背景には、景気や生活問題、職場環境、家庭環境などさまざまな社会的要因が絡みながら、抱えるこころの問題が大きく関係しています。
ストレス社会と言われる現代では、こころの病気を抱えていることは決して珍しいことではありません。自殺者のほとんどがこころの問題を抱えていると言われている一方、その多くが医療機関で適切な診療を受けていないこともわかっています。
精神的ストレスや心身の蓄積疲労などにより心身の健康を損い、うつ病などのこころの病から、さらには自殺という最悪の結果を招かないためにも、自分のこころ、周囲の人のこころの声に耳を傾けてください。こころの問題に気づき、早めにケアすることは、誰にとっても非常に大切なことです。
ストレスとは
ストレスと聞くと、「悪者」と思ってしまいがちですが、「適度なストレス」であれば、それをバネにして心身を強くする「良いストレス」ともなり得ます。
ところが、ストレスが大きすぎたり、小さなストレスでもたまりすぎると心身は耐え切れずに押しつぶされてしまいます。
仕事上のトラブルや人間関係などの望まないストレスの場合は特に、心身に影響を及ぼし、今まで正常だったこころや体を悪い方へと変化させる可能性があります。
自分の心と体の状態をチェックしましょう
この2週間以上続いている項目をチェックしてください。
1.毎日のように、ほとんど一日中ずっと気分が沈んでいる。
2.何に対しても興味がわかず、楽しめない。
3.毎日のように、疲れを感じたり、気力がわかない。
4.毎晩のように、寝付けない、夜中や早朝に目が覚める。
5.毎日のように、動作や話し方が遅い、またはいらいらしたり、落ち着きがない。
6.毎日のように、食欲が低下、または体重の増減が著しい。
7.毎日のように、自分に価値がない、または申し訳ないと感じる。
8.毎日のように、仕事や家事に集中したり、決断することができない。
9.この世から消えてしまいたいと思うことがある。
※判定
・1、2、3のうち2項目以上、かつ、4〜9で2項目以上の方
・1もしくは、2を含む5項目以上に該当する方・・・「うつ病」の可能性があります。専門機関への受診をお勧めします。
・1項目でも当てはまる方・・・心身の疲れが見られます。休息、健康チェック、悩み事相談などのご利用をお勧めします。
(北海道立精神保健福祉センター作成資料より)
ストレスとの上手なつきあい方
ストレスとの上手な付き合い方を考えてみましょう。
1.規則正しい生活を
早寝早起き、食事は朝昼晩とる、適度に体を動かすことで、規則正しい生活リズムができあがります。
さらに、なるべく生活リズムを朝方にすることで、夜ぐっすり眠れ、ストレス耐性が高まります。
2.相談上手・会話上手になろう
挨拶は人間関係を良くする基本です。笑顔で・明るく・はっきりと・こころを込めて、毎日周りの人に挨拶をしましょう。
自分の言いたいことを相手に無理なく伝える話し方のコツは、いきなり相手を否定せず、まずは相手に配慮する言葉を出すことです。その後で自分の言いたいことを言いましょう。
3.小さな楽しみをこまめにもちましょう
他のことを忘れて没頭できるひとときは、生活リズムを軽快にし、こころまで軽くしてくれます。
たまには普段と違うことにも挑戦してみましょう。
4.自分なりのリラックス法をみつけましょう
音楽を聴く、ゆっくり入浴する、アロマテラピー、スポーツをする、気の合う仲間とおしゃべりする、寝る、…など、自分に合ったリラックスの方法を探してみましょう。
できれば、1日30分だけでも自分一人だけの時間を作りましょう。
5.ちょっとだけ考え方を変えてみましょう
・自分と人とを比べることはしない。
・家族以外にも話し相手をもつ。
・うわさや陰口に振り回されない。
・人をうらんだり、責めたりせず、その人の良い所を探す。
・休日は仕事のことを忘れる。
6.こころが疲れたな…と思ったら、十分に休みましょう
目をつぶって心身を休めたり、一人でボーっとしたり、映画や本などを見て思いっきり泣いてみたりすることでも、リラックス効果があります。
質の高い十分な睡眠をとりましょう
快適な睡眠は、ストレス解消の特効薬です。
睡眠には、脳と体を休ませ疲労を回復する役割があります。
「肉体的にも精神的にも疲れがとれない」と感じている人は、十分な睡眠がとれていない可能性があります。適切な睡眠時間には個人差があって、大切なのは「いっぱい寝ること」ではなく「ぐっすり眠ること」です。ぐっすり眠るために、下記の7つのポイントを試してみましょう。
1.睡眠時間にこだわらない
・それぞれ自分に合った睡眠時間がある。年齢を重ねると睡眠時間が短くなるのは普通。
・大切なのは、「すっきり目覚めて、日中元気に活動できる」こと。
2.睡眠環境を整える
・不快な音や光をできるだけ防ぐようにする(耳栓や遮光カーテンの利用など)。
3.寝る前に控えること
・寝る前のカフェイン(コーヒーや緑茶など)は寝つきを悪くする。
・睡眠薬代わりの寝酒は、睡眠の途中で目覚める原因になる。
4.寝る前にやること
・軽い読書、音楽、香り、ストレッチなど、自分に合ったリラックス法を試してみる。
・ぬるめの入浴で寝つきが良くなる。
・寝る前のホットミルクは質の良い睡眠の手助けをしてくれる。
・眠くならない時は無理に眠ろうとせず、自然に眠くなるのを待つ。
5.起きたときにやること
・目覚めたときに、太陽の光を浴びる。
6.規則正しい生活リズムを
・毎朝同じ時間に起きるようにする。早起きが早寝に通じる。
・日中の長い昼寝、夕方以降の昼寝は睡眠の悪影響となるので避ける。
・定期的な運動習慣は熟眠をもたらす。
・朝昼晩3食、規則正しく食べる。
7.2週間以上満足に眠れないことが続けば医療機関受診を考える
・寝つけない、熟睡感がない、十分眠っても日中の眠気が強い、そんな状態が続くようであれば要注意。
早めに専門の医療機関を受診することをお勧めします。