おたる文学散歩 第24話

公開日 2020年10月22日

更新日 2021年01月14日

第24話  小樽文学館の30年(広報おたる平成20年11月号掲載)   

 市立小樽文学館は、昭和53(1978)年11月3日「文化の日」に開館し、今年で30周年を迎えました。当時、地方自治体で総合的文学資料館を持つところはほとんどなく、珍しいものでした。

 

 小林多喜二や伊藤整をはぐくんだ小樽に文学館を作ろうという動きは、昭和51年ころから始まり、翌年には小樽のライオンズクラブなど有志の人々が中心となって設立期成会を発足させました。期成会では同年8月4日から10日まで、当時の丸井今井小樽店を会場に「小樽文学展」を開催。市内外から集めた2000点もの文学資料を展示し、8000人もの観覧客を集めました。この文学展の開催によって、岡田三郎や八田尚之、小田觀螢(かんけい)、山中恒(ひさし)など、本人や関係作家の遺族から多数の資料が寄せられました。

 

 期成会の活動が実を結び、文学館が市分庁舎(旧小樽貯金事務センター)の2階に開設されることが決定。改装工事は主に期成会が行いました。

 

 こうして昭和53年11月3日に開館式が挙行されました。作家遺族を代表し岡田三郎の長男一郎氏が祝辞を述べ、詩人の萩原 貢(みつぎ)氏が自作「小樽文学館開く」を朗読。その後、市長をはじめ関係者によりテープカットが行われました。

 

 文学館ではこの30年にわたり、小林多喜二、伊藤整、石川啄木、並木凡平、宮沢賢治などの作家や作品をテーマに文学展を行ってきました。またこれらを通じ、資料の調査や収集に努めてきました。そして今ではおよそ7万5000点の書籍や雑誌、原稿その他の文学資料を収蔵するに至っています。また文学講座や文学散歩などの普及事業も数多く行うほか、文学展の範囲を作品や作家にとどめず、「喫茶店」「市場」「古本屋」なども街の中で対話や創造活動が生まれる場所としてテーマに取り上げてきました。

 

 昭和61年6月には設立期成会を発展させた市民による支援団体「小樽文學舎」が発足。文学館では同会と協力してコンサートや古本リサイクル、手作り小樽文学全集の製作などを行い、活動範囲をさらに広げています。また「喫茶店展」で設けたフリースペースを「JJカフェ」とし、市民や観光客、ボランティアの交流の場として活用しています。皆さんも気軽に立ち寄ってみてください。

文学館開館式テープカットの様子。

昭和53年11月3日「文化の日」に行われた文学館開館式テープカットの様子。

左から小田重子氏(小田觀螢夫人)、三好教育長、志村市長、石橋幹雄設立期成会会長、志田律三小樽グリーンライオンズクラブ会長(いずれも当時)


 

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