おたる文学散歩 第25話

公開日 2020年10月22日

更新日 2021年01月14日

第25話  小樽の郷土かるた(広報おたる平成21年1月号掲載)

 正月の遊びとしておなじみの"かるた"は、もともとはポルトガル語であり、トランプなどのカードゲーム一般を意味するものでした。しかしやがて、読み札に合わせて絵札を取る競技を指すようになったと言われています。

 百人一首、いろはがるたは、江戸時代に庶民の間で広がったものです。昭和20年代以降には、かるたを使った郷土学習が提唱され、各地で郷土かるたが作られるようになりました。特によく知られているのは、群馬県の"上毛(じょうもう)かるた"で、今でも年齢を問わず、内容を暗記している県民が多いようです。

 小樽でも昭和57年に"小樽郷土かるた"が小樽観光協会から発行されています。そしてこのたび、小樽市在住の高橋悦郎(たかはしえつろう)さんが小樽の名所や産業、歴史的な事柄などを題材に切り絵を作って絵札にし、同じく市内在住の高田幸枝(たかださちえ)さんが作った読み札で、"小樽切り絵カルタ"が発行されました。

 

 「伊藤整 若き詩人の 住んだ街」「丘に立つ 多喜二の思い 今もなお」「啄木が 小樽で過ごした 数か月」など、文学作家が登場する札には文学作品にちなんだものもあります。また"を"や"ん"の絵札もあり、これらには「『をたる』という ひびきなつかし 古里よ」と旧かなづかいを生かしたり、「『ん』と答え 『なんも』と笑う 小樽人」と方言を取り入れたりしたユニークな読み札が対になっています。

 

 それぞれの札には、大変詳しい解説書も付いているため、楽しく遊びながら小樽の歴史や産業のことを学べます。かるたは今も昔も大勢で楽しめる遊びであり、こんな切り絵かるたで小樽のおもしろさを知ることができるお正月もいいのではないでしょうか。

 

 なお文学館では、1月10日から2月15日まで、"小樽切り絵カルタ"に使われた切り絵の原画を展示する「小樽坂の街切り絵展」を開催します。また総合博物館では1月11日に、高橋悦郎さんによる講座「切り絵でカレンダーを作ろう」を行います。

小樽切り絵カルタ”の絵札の見本

  

 

"小樽切り絵カルタ"の絵札の見本。小樽ゆかりの作家である伊藤整や小林多喜二、石川啄(点あり)木などにちなんだ切り絵となっています。

※文字フォントが無いため、「啄(点あり)」と表記しています。ご了承ください。

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