公開日 2020年10月22日
更新日 2021年01月14日

広報6月号掲載の『急がれる新病院建設』では、新病院建設の必要性や緊急性をお知らせしましたが、その後、もう少し詳しく知りたいとのご意見などがありました。
そこで今回は、建設地について市の考えをお知らせします。
新病院の建設地については、市議会に陳情が出されるなど、いろいろな立場の方からさまざまなご意見などをいただきました。市は、9月の市議会第3回定例会で陳情に対する議会の判断が示されたことから、今後は建設地を築港地区として、基本設計に向けた作業を進めることにしました。
建設地について、これまでいただいたご意見などに対する市の考え方は次のとおりです。
現在の小樽病院の敷地になぜ建設することができないのか?
(答)敷地面積が狭すぎます
病院建設地は、まず、次の二つの条件を満たさなければなりません。
(1)必要な敷地面積が確保できること
(2)診療を続けながら建設できること
まず(1)についてですが、築港地区で確保できる土地は約2万平方メートルで、道内他都市の市立病院の建設事例に比べると狭い敷地です。しかし、駐車場を2階建てにすることなどにより、必要な規模の病院を建設できると判断しています。これに対し、現在の小樽病院の敷地で建設可能な面積は約7400平方メートルですので、築港地区の土地の40パーセントにも満たない広さです。ちなみに、この土地に病院を建てると、病床数は312床程度となり、実際に入院できる患者数は平均280人程度です。17年度の両市立病院を合わせた平均入院患者数は538人ですので、いかに不足するかが分かります。駐車場についても、350台程度必要なのに対し、140台程度しか確保できません。
また(2)については、現在の小樽病院の敷地に空き地がないことから、病院の一部を取り壊して新病院を建てていかなければなりません。しかし、今の病院は1階と2階に外来部門や検査部門、電気室・ボイラー室などの管理部門があり、どの部分を取り壊したとしても、現在の病院機能を維持することはできません。仮に建設中に休院すると、その間、入院している患者さんの受け入れ先の問題がありますし、大変な財政負担も発生します。このほかにも、医師不足の現状から多くの医師はほかの医療機関へ移ることが予想され、開院時に再び確保することは不可能です。このように、建設中に休院した場合、さまざまな問題が生じることになります。これらの条件から考えると、現在の小樽病院の敷地で建設することは、現実的ではありません。
中心部などで ほかに建設できる場所は ないのか?
(答)ほかに適地はありません
前項で説明したとおり、築港地区の土地は、現在の小樽病院の敷地の約2.6倍の面積です。計画している建物や駐車場の規模からは、これよりも狭い土地での建設は困難と言わざるを得ません。市内中心部などには、これだけの面積で今すぐに事業を開始できる土地を確保することはできません。このことから、築港地区以外に適地はないと考えています。
埋め立て地の築港地区は 地震や津波に対して 心配ないのか?
(答)適切な対策を講じます
- 地震について
築港地区は、既に大型商業施設やマンションなども建設されているとおり、適切な対策を取れば安全性に問題はありません。新病院では、さらに下の図の"免震構造"を取り入れることで、安全性を確保するとともに揺れに対する不安を解消します。
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建物基礎のイメージ図
下の図のように、支持地盤と呼ばれる固い地盤にしっかり杭を打ち込むことで、建物は安定します。また、地震の揺れに対しては、免震構造を採用することで、大きく緩和することができます。
- 津波について
建設地の海抜は340〜370センチメートルですが、記録のある昭和6年からの小樽港の最高潮位は162センチメートルです。平成5年に発生した北海道南西沖地震の際の潮位が80センチメートルだったことからも、被害を受ける可能性は極めて少ないと考えています。しかし、基本設計の段階から、万が一の浸水に対する建物側での対応など、災害への対策を取ることにしています。
- 液状化現象について
水分を含んだ砂質の地盤は、強い地震の揺れによって、砂が地表に噴き出したり地盤が沈下したりして、建物や周囲の道路などに被害を与えることがあります。これが"液状化現象"と呼ばれるものです。今後、新病院の建設に当たっては、事前に建設地の地質調査を行い、その結果を基に、必要に応じた対策を講じて建物の安全性を確保します。
- ライフラインの被害について
地震などの災害によって、電気、水道、ガスなどの供給に支障がでる事例は、これまで多くの被災地で報告され、十分な対策が必要と考えています。そこで、電気については、病院建物への2系統配線や非常用発電機を設置するなどの対策を図ります。水道、ガスについては、築港地区の供給は既に地震対策が講じられていますので、病院敷地内への配管類についても、同じく耐震化などを図ります。
築港地区は 交通アクセスが 不便ではないのか?
(答)バス路線拡充などを要請し十分な駐車場を確保します
患者さんの通院手段については、過去に行ったアンケート(下のグラフ参照)から、まずバス路線の整備を図ること、次に必要な駐車場を確保することが重要と考えています。
築港地区のバス路線は、7月から「市内本線(手宮〜新光)」に同地区を経由する路線が新設され、ほかにも「ぱるて築港線」の一部が望洋台地区へ、「赤岩線」「おたもい線」の一部が本局前から同地区まで延長して運行されています。今後も事業者に対しては、運行回数や路線の拡充などを要請していきます。
また、駐車場については、道内の市立病院の事例を調査したところ、350台程度の確保ができれば、もっとも混雑する午前中でも待たずに利用できると考えています。
【外来者アンケート】 (市立小樽病院) (市立第二病院) |
いざというとき 救急車による搬送に 支障はないのか?
(答)交通量を調査しています
消防本部では、臨港線勝納交差点や東小樽交差点など、築港地区周辺の5地点で、ゴールデンウイークやお盆など交通量の多い時期に、渋滞状況や搬送ルートの調査を実施してきています。過去3回実施した調査では、渋滞による搬送への支障は見られませんでした。今後も冬期間を含め調査する予定ですので、必要な対策があれば関係機関などと協議していきます。
問い合わせ先
病院局経営管理部(掲載時 総務部市立病院新築準備室)
電話 0134-25-1211
ファクス 0134-32-6424