おたる坂まち散歩 山ノ上の坂 後編 旧小堀商店

公開日 2020年10月27日

更新日 2021年01月14日

おたる坂まち散歩

旧小堀商店

前編で紹介した住吉町の山ノ上の坂は、別名安政の坂道とも呼ばれています。これは安政5(1858)年に、オタルナイの場所請負人、岡田半兵衛が有幌から山ノ上町(現在の住吉町)を経て信香に至る新道を開き、この道が今の三本木急坂と山ノ上の坂となっていることからの呼称です。

 道幅は開かれた時で4間(7.2メートル)で、現在もほぼ同じ道幅です。当時としては広い道だったことでしょう。この歴史ある坂道の昔の面影をとどめるものはないかと探しながら坂を下ると、右手に黒壁の商家があるのに気がつきます。
 この建物は繊維卸業の小堀商店が建てたものです。 この建物の建築年について、いくつかの資料は昭和7年としています。これは、この建物の屋根裏にあった棟札(むなふだ)に「昭和7年6月29日 上棟祭執行」とあることによっています。
 しかし現在の所有者にお話を伺うと、実際にはそれ以前からあったもののようです。その理由として、昭和元年に近所に越してきた方が、そのときすでに建物があったと証言していることと、建築様式が木骨コンクリート造りで、鉄筋コンクリート造りに移行する前のものであることがその理由です。 所有者によると、この建物は大正の中ごろに建てられ、昭和7年の棟札は最初に増築された時の棟札だということです。
 当時としては珍しいセントラルヒーティングの配管があり、厚い壁の中には断熱材として多量のもみ殻が入っており、寒冷地に適した建物です。
 この建物はその後、小堀商店からゴム会社の旭商事の所有を経て、昭和63年にマンション用地として売り出されるところを現在の丸イ伊藤染舗が購入し、旗づくりの絵場(旗の絵付け作業場)として現在まで利用しているものです。
 この建物はまた、小樽職人の会が中心となり設立した「北海道職人義塾大學校」としても活用されています。この学校は、若手職人の育成と、小中学生にものづくりを体験させ、ものづくりへの意識を高めるための体験学習を行っています。
 小樽の繊維卸業の一角を担ったこの建物が、現在も大切に保存され、旗づくりという同じ繊維関係の作業場として活用されているということは、時代を超えてなにか不思議な縁を感じさせます。

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