シリーズ災害に備える3 第8回目 (平成24年3月号掲載)

公開日 2020年10月27日

更新日 2021年01月14日

津波ハザードマップが完成/放射線についての基礎知識

 昨年3月11日に東日本大震災が発生してから、今月で1年を迎えます。本誌では「シリーズ災害に備える」と題し、防災にかかるさまざまな情報を連載してきました。連載最終回となる今回は、完成した津波ハザードマップについてお知らせする他、多くの皆さんから要望が寄せられている放射線に関する基礎知識と、市内における放射線量測定についてお知らせします。

 

津波ハザードマップが完成

 津波ハザードマップとは、過去に発生した地震の記録を基に、浸水が予想される範囲や到達までの時間、避難場所などを示したものです。
 地震が発生し、津波が予想されるときには、一刻も早く安全な高台へ避難することが必要です。市では、海沿いにお住まいの方がいざという時に的確な避難ができるよう、津波ハザードマップを作成しました。

 

ハザードマップの詳細

 

【作成地区について】

 ハザードマップは、市内各沿岸地域の状況について詳しくお知らせするため、次の七つの地区に分けて作成しています(下の全域図を参照)。
1.蘭島・忍路地区
2.桃内・塩谷地区
3.祝津・高島地区
4.港湾地区
5.船浜・朝里地区(張碓地区含む)
6.銭函地区(1)

7.銭函地区(2)

シリーズ災害に備える8 (津波ハザードマップ・市全域図)

 

【津波浸水予想範囲】
 北海道の津波シミュレーションを基にした日本海側での六つの想定津波波源域(津波の原因となる地震の発生が予想される区域)のうち、本市への影響が大きい三つの津波を選定。それぞれの津波ごとにシミュレーションを行い、その結果に基づいた津波浸水予想範囲や浸水の深さなどを地区ごとの地図(縮尺7000分の1)上に、表示しています。
 このうち、最大となる浸水の深さについては、次の四つの深さの区分ごとに色分けし図示しています。
・0.5m未満:大人の膝まで漬かる深さ
・0.5〜1.0m未満:大人の腰まで漬かる深さ
・1.0〜2.0m未満:1階軒下程度まで漬かる深さ
・2.0m以上:2階まで漬かる深さ

 

【津波到達時間】
 代表する地点周辺における三つの想定津波による影響を、次の項目について表示しています。
・最大溯上(そじょう)高(津波が到達する最高の標高)
・影響開始時間(地震発生からプラスマイナス20cmの水位変化が生じるまでの時間)
・陸域被害警戒時間(陸地で浸水などの被害が発生する可能性がある時間)
・第1波におけるピークまでの時間

シリーズ災害に備える8 (津波到達時間の例・蘭島地区)

 

【その他】
 各沿岸地域の標高ライン(5mごとに標高30mまで)や主な地点の標高値、災害避難所の位置と標高などを表示しています。
 これ以外にも、津波に関する一般知識や「津波発生対策10カ条」、関係機関の連絡先一覧、災害発生時に利用できる伝言サービスの利用方法などを掲載しています。

 

ハザードマップの配布・公開

 

 津波による避難が必要な沿岸地域については、町会などを通して該当地区のハザードマップを配布するほか、説明会を開催する予定です。
 また、市内全7地区分のハザードマップは、市役所等の市政資料コーナーや各サービスセンターなどで閲覧できる他、3月21日からはホームページでも公開します。
 北海道では、今年度中に新たな津波シミュレーションによる津波浸水予測図を作成する予定でしたが、日本海沿岸地区における津波による堆積物調査などの追加により平成24年度以降に延期されることとなりました。
 このため、今回作成した津波ハザードマップは、現行の予測図に基づいて作成したものです。
 北海道から新たな津波浸水予測図が示されたときには、今回作成したハザードマップの内容を改訂し、市内の全世帯に配布する予定です。

シリーズ災害に備える7 (ハザードマップ共通部分)

あらためて知る放射線

 東日本大震災の発生に端を発した、東京電力福島第一原子力発電所の事故では、放射性物質(ヨウ素、セシウムなど)が大気中や海中に放出されました。
 周辺地域では、一定水準以上の放射線を受ける恐れがある方々に対し、避難指示が出された他、水道水の摂取や一部の食品の出荷が制限される事態となりました。
 本市は、北海道電力泊原子力発電所から40km圏内という距離にあります。そのため放射線に対する皆さんの関心も高く、また、人体に及ぼす影響への不安といった声も多く聞かれます。そこで今回は、放射線に関する基礎知識についてお知らせします。

放射線の基礎知識


【放射線・放射能とその単位】
 放射線を出す物質を「放射性物質」、放射線を出す能力を「放射能」といいます。これを電球に例えると、「放射性物質」が電球、「放射能」が光を出す能力、「放射線」が光といえます。
 新聞やテレビなどで見聞きする「ベクレル」や「シーベルト」は放射能の強さや放射線の量を表す時に用いられる単位です。
 放射性物質が放射線を出す能力(放射能の強さ)を表す単位を「ベクレル(Bq)」といい、人体が受けた放射線による影響の度合いを表す単位を「シーベルト(Sv)」、放射線のエネルギーが物質や人体の組織に吸収された量を表す単位を「グレイ(Gy)」といいます。

 

【自然放射線】
 私たちは、普通に暮らしているだけで、毎日、宇宙や大地、空気そして食べ物から放射線を受けています。その放射線量は、一人当たり世界平均で2.4ミリシーベルト毎年(宇宙線や大地放射線による外部線量0.87ミリシーベルト毎年と食べ物や空気中のラドンによる内部線量1.55ミリシーベルト毎年)という報告があります。
 放射線は、宇宙の誕生から存在し、宇宙線として地上まで達しています。地上には、ラジウムや花こう岩などの放射性物質があり、食べ物などの中に含まれるカリウムも放射性物質を含んでいます。

 

≪震災前後での測定値の比較≫

 北海道では、東日本大震災の発生以前より、定期的に空間放射線量の測定を行っています。
 札幌市北区にある道立衛生研究所前での測定値は、震災前の23年3月1日が0.028、震災後の3月15日が0.029、直近の24年2月16日が0.028(単位はマイクログレイ毎時。測定時間はいずれも午前9時)となっています。 
 震災の発生前後と現在で、測定値に大きな変化は見られません。

 

【空間放射線量の測定】
 このように、放射線は自然に存在しています。しかし、原発事故の影響などから、人体に悪影響を及ぼすほどの放射線が飛散してくる可能性が全くないとはいえません。
 このような不安を解消するため、小樽市や北海道では、空間放射線量の測定を行っています。

 

≪市内における空間放射線量率の測定について≫

 市では、2月から空間放射線量率の測定を開始しました。
 測定場所は港町にある市産業港湾部港湾室庁舎前で、毎週月・木曜日に測定を行っています。この測定結果は、随時、ホームページで公開しています。また、北海道では、昨年9月から小樽運河の浅草橋街園で毎月1回測定を行っており、この結果についてもホームページで公開されています。
 どちらの地点においても、現時点(2月16日現在)での空間放射線量率は平常レベルで推移しています。
 測定値については、下の表をご覧ください。(なお、単位について、「マイクロ」は100万分の1を表します。また、「シーベルト」は「グレイ」に人体への影響を考慮した荷重係数を乗じた単位のことですが、今回の測定値については、両者を同じと考えて差し支えありません。)

 

小樽運河浅草橋街園

 測定年月日

測定結果 

24年 1月23日

0.038

23年12月26日

0.038 

        11月28日

0.046 

        10月24日

0.040 

          9月26日

0.042 

          8月22日

0.042

 (単位:マイクログレイ毎時)

 

産業港湾部港湾室庁舎前

 測定年月日

測定結果 

24年 2月16日

0.042

              13日

0.038

                9日

0.050

                6日

0.042

              3日

0.050

 (単位:マイクロシーベルト毎時)

 

測定の模様(2月3日)

シリーズ災害に備える7  

                                     

導入した放射線測定器

シリーズ災害に備える7

放射線から身を守る 

 万が一、放射性物質が漏れ出してしまう事故が発生した場合、事故の規模などにより市長が避難区域を指定。テレビやラジオ、広報車などにより伝達します。避難区域の住民は、放射線を避けることのできる避難場所(主にコンクリート造りの学校など)へ避難することになります。
 しかし、放射性物質は風などによって広がっていくため、避難区域の外であっても影響が出る可能性があります。
 こうしたときに放射線による影響を低減させるための方法は、花粉対策によく似ています。放射性物質がついてしまったときにはすぐに洗い落とすことと、放射性物質がついた物や空気を家の中に入れないようにすることです。
 放射性物質が空気中に漂っている可能性があるときには、外出を控えるべきですが、どうしても家の外へ出なければならないときは、マスクを着用し、帽子をかぶり、長袖の服を着るなどの対策が必要です。
 さらに、帰宅したら外で履いていた靴は、底に付着している土などを洗い落としてから家に入ってください。その後、すぐにうがいをし、シャワーを浴びて体に付着した放射性物質を取り除くとともに、着ていた服はすぐに洗濯するようにしてください。
  *  *  *  * 

 東日本大震災の発生を受け、あらためて防災について考え、できることから準備をしてきたという方も多いのではないでしょうか。そうした皆さんへの情報源の一つとなるよう、「シリーズ災害に備える」を連載してきましたが、震災発生から1年の節目を迎え、本連載は今回で終了することとしました。
 災害から身を守るには、正しい知識や情報に基づいて行動することが重要です。そのため、今後も、原子力発電所関連の情報を含めた防災情報について、随時掲載していく予定です。

問い合わせ先

総務部防災担当

〒047-8660 小樽市花園2丁目12番1号

電話 0134-32-4111(内線 441・442)

ファクス 0134-25-9955

メール bosai-tanto@city.otaru.lg.jp

お問い合わせ

総務部 広報広聴課
住所:〒047-8660 小樽市花園2丁目12番1号
TEL:0134-32-4111内線223・394
FAX:0134-27-4331
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