広報おたる掲載「地域医療を考える」karte2

公開日 2020年10月28日

更新日 2021年01月14日

地域医療を考える karte2 急な病気やけがから市民の生命を守るために 小樽の救急医療とその課題 (平成21年8月号掲載)

 急な病気やけがのときの「救急医療」は、生命にかかわる場合もあるため、地域医療を考える上で不可欠なものです。そこでシリーズ第2回目は、市内における「救急医療」の現状と課題についてお知らせします。

karte2 イメージ

市内の救急医療体制

 「救急医療」とは、緊急の処置または治療が必要なけがや病気などに対して行われる医療。症状により3次までの段階に分かれています。小樽市でも小樽市医師会と協力しながら救急医療の体制を整え、市民の不測の事態に備えています。

 このように地域の医療に欠かせない救急医療ですが、その維持には多くの課題を抱えています。

小樽の救急医療体制

 

救急医療の現状と課題

課題1 維持に多大な経費

 救急医療の維持には、年間約2億円の経費が必要となっています。そのうち1億5200万円が夜間急病センターの運営経費。単純に一晩で約42万円を掛けている計算になります。

小樽市の救急医療に対する経費の内訳

救急急病対策費

20年度決算額

備考

夜間急病センター

管理代行業務費

1億5200万円

 予算に3100万円

 追加支出

在宅当番医制

事業委託料

438万円

 

第二次救急医療

事業委託料 

3295万円

 

小児救急医療

支援事業費 

907万円

 

1億9840万円

 

 夜間急病センターは、市が夜間の1次救急に対応するため設置する医療施設。小樽市医師会に委託し、管理運営を行ってもらっています。診療には、午後6時から9時までは市内開業医と公的病院勤務医が当たり、午後9時から翌朝午前7時までの深夜は大学医局や個人で契約する医師が当たっています。

 全国的な医師不足に加え、夜間急病センターのような深夜勤務は敬遠されがちです。医師会としても医師の確保に大変苦慮しています。そのため医師の確保には、医師への報酬を含めて多くの経費が掛かり、これが運営費の多くを占めています。また急病センターでは、受診者の減に伴い診療収益も減少し、支出に対して収入が大きく不足する状況です。そのため市では、不足分を委託料に増額して対応。市の厳しい財政において、今後も大きな負担となっていきます。

小樽夜間急病センター 受診者数の推移

課題2 医師確保と体制強化

 市内でも医師が不足し、さらには内科系医師の担当科目が専門分化されています。そのため市内医療機関では、昼間であっても常に十分な態勢で患者を受け入れることが難しい状況です。

 また急病センターでは、小児科の患者の多くを内科医が診ています。そのため患者の保護者からは専門医の配置を強く求められていますが、小児科の専門医が少ない中、要望に応えることは困難です。

課題3 2次救急の受け入れ

 市内の2次救急は、対応する病院が診療科ごとに、受け入れの可否を急病センターへ通知して運営されています。しかし受け入れできる病院が見つからず、1次救急からの患者転送を円滑に行えない場合があります。特に小児科は、北海道社会事業協会小樽病院でしか対応できない状況にあり、受け入れにも限界があります。そのため各医療機関による診療科ごとの輪番制の確立、小児科2次救急の体制維持が課題となっています。

 

救急医療について検討

 このように多くの課題を抱えている小樽市の救急医療体制ですが、現在は何とか、夜間や休日の対応を含め24時間の医療を提供しています。しかし、今後もこの体制を維持していくのは、簡単なことではありません。

 まずは厳しい運営が続く急病センターについて、早急にその運営の在り方を検討しなければならない状況です。そこで市と医師会は現在、さまざまな角度から検討すべく準備を進めているところです。具体的な選択肢としては、現状から次のような方法が挙げられます。

●診療科目の見直し

●開所時間の短縮

 しかしこれらの方法が選択される場合、経費削減の一方で、救急医療の時間と体制に空白を生むことにもなってしまいます。そのため、市民の安全・安心な生活への影響についても、全市的に議論する必要があると考えています。

 そのほか解決しなければならない課題はありますが、札幌での3次救急を除いて市内で提供できる医療の範囲を明確にし、条件を整備しながら検討していきます。

 

地域医療を守るために

 どのような状況にあっても365日24時間体制で市民の不測の事態に備えることが、救急医療の在るべき姿であることは、言うまでもありません。しかし現実として、それが難しい時代にあるのです。

 救急医療をはじめ地域の医療を維持していくには、行政と医師会など関係機関の努力はもちろん、市民の理解と協力が不可欠です。だからこそ今、わたしたち市民には「市民自らが地域の医療を守る主役なのだ」という意識を持ち、必要とする医療の検討に参画することが求められているのです。まずは一緒に、救急医療の在り方について考えていきましょう。

 

問い合わせ先

保健所保険総務課

〒047-8790 小樽市富岡1丁目5番12号

電話 0134-23-3117

ファクス 0134-22-1469

お問い合わせ

総務部 広報広聴課
住所:〒047-8660 小樽市花園2丁目12番1号
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