広報おたる掲載「地域医療を考える」karte6

公開日 2020年10月28日

更新日 2021年01月14日

地域医療を考える karte6 市立病院の統合新築に向けて 「新市立病院計画概要」を策定 (平成22年8月号掲載)

 

新市立病院の統合イメージ

市では、市立病院の統合新築に向けて、今年6月に「新市立病院計画概要」を策定しました。そこで、計画概要に示した新病院が果たすべき役割や新病院の姿,建設までのスケジュールなどについてお知らせします。

 

動き出した新病院の計画

 広報おたる5月号(karte6)でお知らせしたとおり、新市立病院の建設地を「現小樽病院敷地と量徳小学校敷地を合わせた場所」に決定しました。その後、市議会第2回定例会において、基本設計の予算を計上。市議会で可決の後、基本設計を再開したところです。
 また、新病院の規模や機能についても、市議会での審議を経て、施設の概要や機能、建設スケジュールなどを示した「新市立病院計画概要」を今年6月に策定しました。

 

新病院が果たすべき役割

 「新市立病院計画概要」では、小樽病院の総合的な診療機能と医療センターの専門的な機能を併せ持った、高度で専門的な医療を提供する病院としています。これは、一次医療から二次医療まで対応できる"地域完結型医療体制の確立"に向けて、新病院が担っていくべき基本的な機能と考えています。
 

新市立病院の機能と役割

 

新病院が果たす具体的な役割として、「がん診療」「脳・神経疾患診療」「心・血管疾患診療」を三つの柱として掲げています。さらに、「他の医療機関で担えない疾患の診療」と「地域医療における中心的な役割」を二つの特性として位置付けています。なお、がん診療については、今後も需要の増加が予想されるため、その機能を充実させ、"地域がん診療連携拠点病院"を目指します。
 また、救急医療では、一次救急に対応する医療機関との連携の下、二次救急の充実と三次救急まで踏み込んだ対応ができる体制づくりを進めます。さらには、災害時の大規模な患者発生に対応できる災害拠点病院の役割を担います。

 

新病院の規模・機能

 新病院の規模・機能は、地域の将来的な人口の推移とさらなる高齢化を見据えるとともに、医師の確保や他の医療機関との役割分担を踏まえて決定しました。

 

診療科目

 現在,二つの病院にある診療科目の継続を基本とし、23診療科としています。
 さらに、各診療科間のつながりを強化し、「消化器センター」「脳卒中センター」「循環器センター」など専門スタッフによる医療体制やがん診療の緩和ケアチームなど、チーム医療を実施することとしています。
 また、がん診療に広く対応するため、後志医療圏唯一の放射線治療機能を充実させ、がん診療専門スタッフの養成、配置を行うこととしています。
 なお、診療科目は、医療環境における変化や医師充足の状況などによっては、開院までに見直しや変更となる場合もあります。

 

新市立病院の施設の概要

 

病床数

  病床数は、床としています。これについては、将来的な人口の推移や現在の入院患者実績、病床利用率、平均在院日数のほか、同等規模の他の自治体病院における実態などから検討を重ねました。さらには、今後の医師の充足や医療の状況、小樽・後志地域の中核病院としての役割など、総合的に勘案した病床数となっています。
 診療科目ごとの対応や高度な医療を行っていくには、最低限必要な病床数と考えています。
 なお、一般病床302床には、市内の診療所などの医師に開放するオープン病床として、30床を含んでいます。

 

施設の規模・構成

 近年の同規模類似病院の施設状況を見ると、患者が病院で快適に過ごすためのスペースや医療機器の大型化などを背景として、1病床当たり約70から80平方メートルの面積が一般的となっています。
 そこで新病院では、計画している病床数や診療科目数なども考慮した結果、1病床当たりの面積を75平方メートル程度と想定。総床面積は、約2万9100平方メートルになり、土地の形状などから、地下1階地上7階建て程度の施設を見込んでいます。なお、駐車場は来院者用として、約250台分を確保する予定です。

 

建設スケジュールと事業費 


建設スケジュールおよび事業費(試算) 

 新病院建設に向けてのスケジュールは、右のとおりです。来年度には実施設計を行い、約2年の建設工事を経て、平成26年度中の新病院開院を目指しています。

また、新病院の建設工事費は、基本設計業務の中で概算事業費の算定を行っていきます。今の時点では、基本設計費を算定するために試算した額として、約96億300万円と想定しています。さらに、医療機器等の整備費や設計費、解体工事費などを加えた額が全体事業費となります。
 なお、実際の事業費については、発注方法なども含めて、今後さらに精査、検討を重ね、できる限りコストダウンに努めていきます。

 

地域医療を守るためには

  今後、ますます高齢化が進む中、市民が将来にわたり、安心して医療を受けられる体制の整備が急務となっています。そのためには、機能的で効率的な質の高い病院として、市立病院の統合新築を進めていく必要があります。
 しかし、新しい市立病院ができたからといって、すべての医療に対応することはできません。地域医療を守るためには、市内にある特色の異なった三つの公的病院等をはじめ、他の医療機関とのネットワーク化や役割分担を図り、一次・二次医療を地域で完結できる医療体制づくりが不可欠です。
 市立病院は、これら医療連携の調整や医師教育の支援などの中心的な役割を担うとともに、引き続き後志二次医療圏の基幹病院となるよう努めていきます。

 

 新市立病院は、市民の命と健康を守る"優しさと思いやりのある"病院として、皆さんから信頼されるよう安全な医療の提供を目指します。そして、今後も医師会などを中心とした関係機関と協議を続けながら、一日も早く新病院が開院できるよう努力していきます。
 なお、新病院建設の進ちょく状況については、随時皆さんにお知らせします。また、「新市立病院計画概要」の詳細は、ホームページにも掲載しています。

 

&A

Q.市内には、市立病院のほかにも大きな病院があります。新しい市立病院は、小樽にとって本当に必要なの?

A.現在、二つの市立病院では、1日平均で約360人の方が入院しています。また、脳卒中や心筋梗塞など一刻を争う疾患をはじめ、多くの救急患者も受け入れています。もし市立病院がなくなると、市内の病院だけで、すべての患者を受け入れることはできない状況です。

 市民の命と健康を守るためにも、地域医療で重要な役割を持つ市立病院の存続は欠かせません。

 

Q.医師不足とよく聞かれますが、新しい市立病院ができたら、本当にお医者さんは来てくれるの?

A.小樽は、札幌に隣接し通勤圏内にあるため、医師にとって魅力ある勤務地といわれています。これまで、市立病院の動向が見えない中で敬遠されてきた経過がありましたが、新しい病院の将来ビジョンを示すことができれば、医師を充足することができると考えています。

 もちろん、建物だけではなく、研修体制や医師の育成支援など魅力ある病院となることが大切です。

 

Q.新しい市立病院は、診療科目数・病床数を減らして、コンパクトな病院にした方がいいのでは?

A.病院の診療科目は、現在の診療機能を基本として、患者ニーズにも応えたものとなっています。また、二つの市立病院が統合することで、より高度で専門的な医療が提供できると考えています。

 病床数は、全体で現在より57床削減し、一般病床では302床となりますが、このうちオープン病床が30床あります。診療機能の継続を考えると、可能な限りコンパクトにした病床数となっています。

 

Q.公立病院の建設費は、民間病院と比べると、とても高いと聞きました。大規模な豪華病院なら必要ないわ。

A.新しい病院は、災害拠点病院としてヘリポートの設置や、ほかの病院で担うことのできない放射線治療の実施など、建設費が掛かる要素があります。また、工事の契約方法など、民間の病院と異なるところもあります。

 道内の市立病院を参考に、コンパクトな病院計画となっており、決して大規模な豪華病院ではありません。建設費はあくまで試算ですので、今後も経費の抑制に努めていきます。

 

Q.借金で病院を建設すると思うのですが、返済は大丈夫なの?

A.病院建設の財源には、起債(借金)を充当する予定です。起債の償還は30年で行うこととしています。

 現在のところ、その返済のうち、国から約46%が交付税で措置される見込みであり、市全体としては、一般会計で約14%(年平均で約8700万円)、病院事業会計で約40%(年平均で約2億5700万円)の負担を想定しています。

 病院の統合により経営の効率化が図られることもあり、返済に支障を来すことはないものと考えています。

 

問い合わせ先

病院局経営管理部

〒047-8550 小樽市若松1丁目2番1号 市立小樽病院内

電話 0134-25-1211内線385

ファクス 0134-32-6424

お問い合わせ

総務部 広報広聴課
住所:〒047-8660 小樽市花園2丁目12番1号
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