公開日 2020年11月02日
更新日 2021年03月17日
市民税・道民税と所得税では、扶養控除や配偶者控除などの人的控除額に差があります。したがって、同じ収入金額でも、市民税・道民税の課税所得は、所得税よりも多くなっていますので、市民税・道民税の税率を5%から10%に引き上げた場合、所得税の税率を引き下げただけでは、税負担が増えてしまうことになります。
このため、個々の納税者の人的控除の適用状況に応じて、市民税・道民税の所得割額を減額することによって、納税者の税負担が変わらないようにする調整控除が設けられます。
■調整控除の計算のしかた
◎合計課税所得金額が200万円以下の方
次のうちいずれか少ない額の5%(市民税3%、道民税2%)
イ)人的控除額の差の合計額
ロ)合計課税所得金額
◎合計課税所得金額が200万円超の方
{人的控除額の差の合計額−(合計課税所得金額−200万円)}の5%(市民税3%、道民税2%)
ただし、この金額が2,500円未満の場合は2,500円(市民税1,500円、道民税1,000円)
※合計課税所得金額とは、課税総所得金額、課税退職所得金額および課税山林所得金額の合計額をいいます。
※ただし、令和3年度から合計所得金額が2500万円を超える場合、調整控除が適用されません。
■市民税・道民税と所得税の人的控除額
- |
納税義務者本人の合計所得 |
所得税 |
市民税 道民税 |
控除額の差 |
||
---|---|---|---|---|---|---|
障害者控除 |
その他(普通) |
- | 27万円 | 26万円 | 1万円 | |
特別 | - | 40万円 | 30万円 | 10万円 | ||
同居特別障害者 |
- | 75万円 | 53万円 | 22万円 | ||
寡婦控除 | 合計所得金額500万円以下 |
27万円 | 26万円 | 1万円 | ||
ひとり親控除 | 母 | 35万円 | 30万円 | 5万円 | ||
父 | 35万円 | 30万円 | 1万円(※1) | |||
勤労学生控除 |
合計所得が75万円以下であり かつ 給与所得等以外の所得が10万円以下 |
27万円 | 26万円 | 1万円 | ||
配偶者控除 | 一般 |
900万円以下 |
38万円 | 33万円 | 5万円 | |
900万円超950万円以下 | 26万円 |
22万円 |
4万円 | |||
950万円超1,000万円以下 |
13万円 | 11万円 | 2万円 | |||
老人 | 900万円以下 | 48万円 | 38万円 | 10万円 | ||
900万円超950万円以下 |
32万円 | 26万円 | 6万円 | |||
950万円超1,000万円以下 | 16万円 | 13万円 |
3万円 |
|||
配偶者 特別控除 |
配偶者の合計所得金額 |
48万円超 50万円未満 |
900万円以下 | 38万円 | 33万円 | 5万円 |
900万円超950万円以下 | 26万円 | 22万円 | 4万円 | |||
950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 11万円 | 2万円 | |||
50万円以上 55万円未満 |
900万円以下 | 38万円 | 33万円 | 3万円(※1) | ||
900万円超950万円以下 | 26万円 | 22万円 | 2万円(※2) | |||
950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 11万円 | 1万円(※3) | |||
扶養控除 | 一般 | - | 38万円 | 33万円 | 5万円 | |
特定 |
- | 63万円 | 45万円 | 18万円 | ||
老人 | - | 48万円 | 38万円 | 10万円 | ||
同居老親等 |
- | 58万円 | 45万円 | 13万円 | ||
基礎控除 | 2400万円以下 | 48万円 | 43万円 | 5万円 | ||
2400万円超2450万円以下 | 32万円 | 29万円 | 5万円(※5) | |||
2450万円超2500万円以下 | 16万円 | 15万円 | 5万円(※5) |
(※1)税制改正前(令和2年度まで)の寡夫控除の差額(市民税・道民税26万円、所得税27万円)
(※2)税制改正前(平成30年度まで)の配偶者特別控除の差額(市民税・道民税33万円、所得税36万円)
(※3)税制改正前(平成30年度まで)の配偶者特別控除×2/3の差額(市民税・道民税22万円、所得税24万円)
(※4)税制改正前(平成30年度まで)の配偶者特別控除×1/3の差額(市民税・道民税11万円、所得税12万円)
(※5)税制改正前(令和2年度まで)の基礎控除の差額(市民税・道民税33万円、所得税38万円)
◎配偶者特別控除のうち、配偶者の合計所得金額が55万円以上133万円以下の場合は税制改正後に新たに控除の適用を受けるため差額を起因とする新たな負担がないことから、調整控除の対象となりません。
■具体例
◎次郎さんは、給与収入が500万円あり、社会保険料が50万円で、扶養親族となる妻と子2人(16歳・19歳)がいます。次郎さんの調整控除は次のようになります。
給与収入 | 5,000,000円 |
---|---|
総所得金額(A) |
3,560,000円 |
社会保険料 | 500,000円 |
配偶者控除 | 330,000円 |
扶養控除 |
780,000円 (330,000円+450,000円) |
基礎控除 | 430,000円 |
控除合計額(B) | 2,040,000円 |
課税所得金額(A)−(B) | 1,520,000円 |
課税所得金額が200万円以下なので、
イ)人的控除額の差の合計額か、
ロ)合計課税所得金額
のいずれか少ない額の5%となります。
イ)33万円(配偶者5万円+扶養5万円+特定扶養18万円+基礎5万円)
ロ)152万円
イ)の33万円のほうが小さいので、33万円×5%=16,500円が調整控除額となります。