公開日 2022年03月15日
更新日 2022年03月15日
ナホトカ市(Находка)は、ロシア連邦極東連邦管区沿海地方(Приморский край)の南部にあり、ロシア極東最大の港を有している国際港湾都市である。
位置
北緯42度49分、東経132度52分に位置しており、北緯43度11分の小樽市とほぼ同緯度にある。
ナホトカ市から高速道路A188で、沿海地方の中心都市であるウラジオストク市までは約180km、ウラジオストク国際空港までは約130kmの距離がある。
タイムゾーンはウラジオストク時間(VLAT)(協定世界時+10時間)であり、小樽市との時差は1時間である。
地理
主要な市街地はナホトカ湾(залив Находка)を囲んでおり、丘と湾により美しい自然景観が形成されている。
ナホトカ湾の西部にあるナホトカ小湾(бухта Находка)にナホトカ港(порт Находка)、ナホトカ湾の東部にあるウランゲリ小湾(бухта Врангеля)にヴォストーチヌィ港(порт Восточный)、ウランゲリ小湾のやや南西のコジミノ小湾(бухта Козьмино)にコジミノ港(порт Козьмино)が、それぞれ整備されている。
河川としては、ナホトカ湾に注ぎ込むパルチザンスク川(река Партизанская)が主要なものであり、市の飲用水を支える水源となっている。
パルチザンスク川の河口付近の左岸に、標高318mのシストラー山(гора Сестра)がある。火山性ではなく隆起によってできた山であり、市民のハイキングの場としても親しまれている。
(写真中央やや上)シストラー山
沿革
1859年 東シベリア提督ニコライ・ムラヴィヨフ=アムールスキーの命でロシア艦「アメリカ号」が沿岸を探索していた際、良港となりうる湾を発見し、「ナホトカ」と名付けた。(ナホトカはロシア語で「掘り出し物」の意味)
1907年 移住者たちが村を形成し、「アメリカンカ村」と命名された。
1935年 ナホトカ小湾に港湾施設が整備された。
1939年 全ソ連邦共産党中央委員会書記アンドレイ・ジダーノフがナホトカを視察し、その後、「ナホトカへのウラジオストク貿易港および漁港の移転について」が採択された。
1940年 アメリカンカ村が「ナホトカ町」となった。
1950年5月18日 ナホトカ町が「ナホトカ市」に昇格した。5月18日はナホトカ市の誕生の日とされている。
1962年 ナホトカ市初の国際旅客航路が、横浜との間に開設された。
1966年9月12日 ナホトカ市と小樽市が姉妹都市協定を締結した。
1976年 ヴォストーチヌィ港が一部稼働を開始した。(1970年の日ソ経済合同委員会で建設が合意され、1971年に着工。1978年に第1期建設工事が終了。)
2009年 コジミノ港が開港した。
2016年 ナホトカ市と小樽市が姉妹都市協定締結50周年を迎えた。
(写真左)姉妹都市協定締結書に署名する安達与五郎小樽市長
人口・行政
ナホトカ市区(Находкинский городской округ)には、ナホトカ市(город Находка)、ウランゲリ町(посёлок Врангель)、リヴァジャ町(посёлок Ливадия)、ユジノ・モルスコイ町(посёлок Южно-Морской)、ベレゴヴォイ町(посёлок Береговой)、アンナ村(село Анна)、ドゥシキノ村(село Душкино)が含まれる。
面積は360平方キロメートルである。
人口は142,673人(2021年)であり、沿海地方ではウラジオストク市、ウスリースク市に次いで3番目に人口の多い都市である。
ナホトカ市区行政長(ナホトカ市長)の任期は5年で、現在はマギンスキー・ティムール・ウラジミロヴィチ(Магинский Тимур Владимирович)である。
ナホトカ市区議会議長の任期は5年で、現在はキセレフ・アレクサンドル・アナトリエヴィチ(Киселев Александр Анатольевич)である。
100を超える民族的・文化的背景の人々がおり、多民族の共生に取り組んでいる。キリスト教諸派の信徒が多数であるが、2006年には沿海地方で最初のモスク(イスラム教礼拝所)が建てられた。
人数 (単位:100人) |
構成比 (単位:%) |
|
---|---|---|
若年人口 | 26,1 | 18 |
労働人口 | 82,0 | 56 |
高齢人口 | 37,9 | 26 |
(注)労働人口は、男性が16歳から60歳、女性が16歳から55歳。 | ||
(出典)連邦統計局「ロシアの地域 都市の社会経済指標概要2020」 |
経済・産業・交通
水深のある天然の不凍港を有する物流拠点都市であり、荷役、化石燃料積出が盛んであり、船舶修理、遠洋漁業、製缶工場、水産加工といった産業集積が見られる。
ヴォストーチヌィ港はロシア連邦国内でも最大規模の石炭積出港である。
(写真)ヴォストーチヌィ港
コジミノ港は東シベリア-太平洋石油パイプラインと接続する石油積出港である。
(写真)コジミノ港
主要な駅としてチホーケアンスカヤ駅(вокзал станции Тихоокеанская)やナホトカ駅(вокзал станции Находка)がある。ナホトカ市から延びる鉄道路線はウラジオストクとつながっており、シベリア鉄道の支線に位置づけられることもある。
合資会社 ヴォストーチヌィ港(АО Восточный Порт) (荷役) |
ヴォストーチヌィ荷役 有限責任会社(ООО Восточная стивидорная компания) (荷役) |
トランスネフチ-コジミノ港 有限責任会社(ООО Транснефть - порт Козьмино) (石油) |
合資会社 エブラズ・ナホトカ商業海港(АО ЕВРАЗ Находкинский морской торговый порт) (石炭、非鉄金属) |
RNナホトカ石油製品 有限責任会社(ООО РН-Находканафтепродукт) (石油) |
合資会社 南海漁船基地(АО Южморрыбфлот) (漁業、缶詰製造) |
公共株式会社 NBAMR(ПАО НБАМР) (漁業、食品加工) |
公共株式会社 ナホトカ船舶修理工場(ПАО Находкинский судоремонтный завод) (船舶修理) |
合資会社 ナホトカ海洋漁港(АО Находкинский морской рыбный порт) (荷役) |
(出典)ナホトカ市区行政府『ナホトカ』より抜粋 |
年 |
ヴォストーチヌィ港 コジミノ港 |
ナホトカ港 | 合計 |
---|---|---|---|
2021年 | 7,770 | 2,680 | 10,450 |
2020年 | 7,740 | 2,680 | 10,420 |
2019年 | 7,350 | 2,560 | 9,910 |
2018年 | 6,370 | 2,430 | 8,800 |
2017年 | 6,920 | 2,420 | 9,340 |
2016年 | 6,850 | 2,330 | 9,180 |
2015年 | 6,520 | 2,130 | 8,650 |
2014年 | 5,780 | 2,070 | 7,850 |
2013年 | 4,830 | 1,840 | 6,670 |
2012年 | 4,250 | 1,690 | 5,940 |
2011年 | 3,840 | 1,500 | 5,340 |
(出典)PortNews |
その他
ナホトカ市中心部や公園の花壇には多数のチューリップが植栽されており、春から秋まで市民の目を楽しませている。
国立ウラジオストク経済サービス大学(ВГУЭС: Владивостокский государственный университет экономики и сервиса)のナホトカキャンパスがある。
沿海地方最大の医療機関であるナホトカ市立病院(Находкинская городская больница)がある。
ナホトカ湾の西にあるヴォストーク湾(залив Восток)は、海洋動植物の研究と保全のため、国立海洋保護区として指定されている。
サッカーチーム「オケアン・ナホトカ」(Окэан Находка)の本拠地である。