市長記者会見記録令和5年6月13日((仮称)北海道小樽余市風力発電所環境影響評価準備書に対する小樽市意見について)

公開日 2023年06月13日

更新日 2023年06月15日

市からのお知らせ

■動画データ:小樽市長臨時記者会見 令和5年6月13日(YouTube)

■会見資料1:双日準備書に対する意見[PDF:251KB]
■会見資料2:アセスメントの流れ[PDF:665KB]
■会見資料3:地図[JPG:8.3MB]

下記のとおり、市長から発表がありました(午後1時〜)

(総務部長)
定刻となりましたので、これより市長臨時記者会見を開催いたします。本日は、北海道知事宛てに提出しました(仮称)北海道小樽余市風力発電所環境影響評価準備書に対する小樽市意見について、市長から説明申しあげます。それでは、市長、よろしくお願いします。

(市長)
本日は、お忙しい中、急きょお集まりいただきまして、ありがとうございます。ご承知のとおり、本市と余市町の山間部の境界付近において、双日株式会社が「(仮称)北海道小樽余市風力発電所」の建設を計画しています。本計画の概要を申し上げますと、事業実施区域は約859.3ヘクタールで、そのうち風車の建設や管理道路の敷設による改変面積は約44.6ヘクタールとなっています。建設される風車は全部で26基あります。地図で説明しますと、左から、遠藤山・毛無山・於古発山、その北側に塩谷丸山があり、このバッテンが風車の位置となります。この毛無山から遠藤山を経由して於古発山にかけての稜線上、塩谷丸山から遠藤山にかけての自然遊歩道上などに、風車が設置される計画となっています。建設される風車は、ブレードの先端まで142.5メートルのものが7基、172メートルのものが19基となっています。環境影響評価法に基づき、本年1月、同社からこの事業計画に係る環境影響評価準備書が示され、北海道知事からは、6月16日(金)を期限として、この準備書に対する環境保全の見地からの本市の意見を求められていたところです。本市としては、現状においてこの度の事業計画を是認することはできない旨の意見書を、本日、北海道知事宛てに提出しましたので、その内容についてお知らせします。資料を配布していますので、併せてご覧ください。
本市は、令和3年5月に「ゼロカーボンシティ小樽市」を表明し、2050年までの二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すこととしており、再生可能エネルギーの導入を積極的に推進する立場であることは言うまでもありません。一方で、再生可能エネルギーの推進に当たっては、将来を見据えながら、生活環境および自然環境の保全との調和を図ることが欠かせないものと考えており、この点を踏まえながら、これまで、個別の事案ごとに、ケースバイケースで対応してきているところです。本事業計画については、令和2年4月の配慮書縦覧の段階から、本市に対し、自然環境、低周波音による健康被害、景観等への影響を懸念する声や建設に反対する声が多く寄せられている状況にありましたことから、令和3年3月、次の段階である環境影響評価法に基づく方法書に対する北海道知事宛ての本市の意見として、環境保全や眺望景観上の影響を大変危惧しているところであり、今後、さらに住民等からの不安や建設反対の声が増えるなど、住民等の理解が得られているとは言い難い状況にある場合、あるいは、今後示される準備書の段階において、環境保全や眺望景観上の影響が大きいと判断した場合は、本市としては、本事業計画を進めることについて是認できない可能性があり得ることを申し上げていたところです。そのような中、令和3年12月には、本事業計画の中止、撤回を求める小樽市民約3000筆を含む7000筆以上もの署名が本市に提出され、小樽市議会においても、令和4年第4回定例会において、「事業者によって十分な影響低減がなされず、住民等の理解が得られているとは言い難い状況がある場合、あるいは環境保全や眺望景観上の影響が大きいと判断した場合、事業者に対しこの計画を進めるべきでないことを提言すること」との陳情が全会一致で採択されたところです。その後においても、本事業計画に対する懸念や反対の声はとどまることがないばかりか、特に本年1月に準備書が示されて以降、事業者による説明会や住民主催の勉強会に参加した本事業計画の実施区域の下流域に居住する市民の方々などから、土砂災害に対する心配や不安の声が多数寄せられるなど、日を追うごとに、反対の声が一層広がっている状況にあります。反対意見の根幹にありますのは、本事業計画による環境破壊や土砂災害の発生など、市民生活に直結しかねない環境保全上の問題に対する強い懸念であると考えています。また、海と山に囲まれた自然豊かな観光都市を掲げる本市としては、環境保全の見地に加え、景観上の影響も看過することはできないと思っています。私もこれまで二度、現地を視察しました。準備書にも目を通しましたが、市民の皆さんからのご意見と同様に、自然環境や景観への影響に強い懸念を抱いたところです。法令にのっとって本市が意見を申し上げる場面は、これが最後となりますので、以上のことを踏まえまして、この度、「現状において、市民の総意として本事業計画を是認することはできない」という、本市としての明確な意思を示すこととしたものです。特に、本事業計画に疑問を呈せざるを得ないポイントは、これまでも申し上げてきたとおり、四つあると考えています。一つは、希少種など生態系への影響、二つ目は、土砂災害への懸念、三つ目は、景観上の影響、そして四つ目は、自然遊歩道への影響について、補足的に意見を申し述べたところです。これら四つのポイントの詳細については、配布の資料でご確認をいただければと思います。本市としましては、市民の皆さんの不安が払拭され、本事業計画に対する理解が進むことはもとより、環境保全の見地および景観上の懸念が解消されるまでは、本事業計画に対する考えに変わりはないことを、合わせて申し上げたところです。景観面を配慮し、事業者は、準備書段階において、塩谷丸山から羊蹄山を視認できる範囲に予定していた1基を取り止めたところですが、6月5日付けで、改めて事業者から文書を受理しました。その中では、塩谷丸山から遠藤山に向かう稜線上に設置を予定していた風車3基の設置を追加で取り止める旨の提案があったところです。このような提案を受けたところですが、本市が危惧しているのは、主に、毛無山から遠藤山、更には於古発山にかけての稜線上に設置予定の風車による景観上の影響であること、自然遊歩道周辺には、遊歩道上も含め、依然として風車6基の設置が予定されていること、土砂災害への懸念については、今回の提案によっても、地域住民の方の不安を払拭するまでには至らないと考えられることなどから、現状において是認できないとする本市の考えに変わりはないものです。
私からの説明は、以上となります。

出席した報道機関の記者から、下記のような質疑がありました。

(総務部長)
ご質問等ございましたら、どうぞご発言ください。

(北海道新聞)
準備書に対して小樽市としての意見を言えるのが、今回が最後の機会ということです。意見に法的拘束力はないですが、当該自治体に一番影響があると思います。こういった、なかなか意見を言う機会が少ない仕組みについて、どう考えていますか。

(市長)
確かに、今回出す意見書は、知事を通じて経済産業省まで届きまして、それに強制力がないということは承知しています。法的にはこれが最後の手段ではありますが、事業者が計画を進める場合は、ここは全部、保安林になっていますから、保安林の解除申請を石狩森林管理署に出します。そのときに、地元自治体に対して、同意をするか否かの確認がありますので、そういったチャンスはまだ残されていると思っています。今の法的な手続きについて、どうこうということは考えていませんが、まだ市の意見・考えを述べる機会は別の形で残されていますので、そこでも市の考え方をしっかり示していきたいと思っています。

(北海道新聞)
反対意見を鮮明にしたのは、なかなかレアケースであると聞いています。

(市長)
レアケースではあると思います。経済的な合理性という面から言うと、改変面積が約44ヘクタールありまして、伐採される木が吸収するであろう二酸化炭素の量と、設置される風車が削減する二酸化炭素の量は、全然比較にはならないです。それと、風車が建つことによって固定資産税も入ってきますから、そういった経済的な合理性を考えることも必要だと思いますが、小樽市としては、そういった経済的な合理性よりも、自然環境を守るとか、景観を守るとか、市民生活を守るということの方が重要ではないかと判断しました。おっしゃるように、レアなケースだと思っています。

(北海道新聞)
再生可能エネルギーの推進を掲げてきた中でも、今回は大きな決断だと個人的には受け止めているのですが、今後のゼロカーボンシティの推進への影響についてはどのように考えていますか。

(市長)
反対したケースはこれだけではなく、過去にも、市有地を処分したところに太陽光発電ができるということで、住民から反対があって、その土地を買い戻したケースも小樽市としてはありますので、反対の意思を示したという意味では、これが初めてではありません。もちろん、省エネも進めていかなければいけませんし、洋上風力の計画も、今、石狩湾新港に台船も入っていますが、ああいったものは推進していく立場です。一般海域での洋上風力についても否定するものではありませんが、ただ、近隣町村だとか、漁業協同組合だとか、そういったところとの関係を調整していかなければならないと思っています。可能であれば、そういったものを推進していきながら、ゼロカーボンシティの実現には取り組んでいきたいと思っていますので、全ての再生可能エネルギーに反対するということではありません。先ほども言いましたように、ケースバイケースで判断していきたいと思っています。

(読売新聞)
先ほど、森林管理署から意見が求められる場合があるだろうということでしたが、それに反対する意見を述べた場合は、法的拘束力はあるのですか。

(生活環境部環境課長)
森林管理署では書類を受理しないと聞いています。

(読売新聞)
自治体が反対したい場合は受理しないということですか。

(市長)
はい、森林管理署は計画を受理しないということです。

(読売新聞)
今回、6月5日にさらに減らして「これでいかがですか」という話があったということですが、今回の小樽市の意見を受けて、さらに事業を縮小して「こういう形にしました」となった場合は、また改めて、それについて検討することになるのですか。

(市長)
そうですね。先ほどお話した四つのポイントについて、事業者がどのような改善をしてくるかわかりませんが、基本的には受け付けないということではありませんので、その善し悪しについて改めて判断することになると思います。

(北海道新聞)
今、改めて検討するということですが、4月28日の定例記者会見では、保安林の解除に関する影響は6月上旬までに庁内で調べて方向性を示すと発言しています。意見書としてはノーと突きつけましたが、これは保安林の解除の申請を受け付けないとか、そういうことに一歩踏み込んでいく可能性はあるのでしょうか。

(市長)
基本的には、今、反対の意思を表明したわけですから、仮に事業者がこのまま前に進むということであれば、当然、保安林の解除には同意できないということにはなろうかと思いますが、事業者がそこまで進むかどうかということは、今はわかりません。そういう前提でお話をさせていただきますが。

(北海道新聞)
事業が縮小したらまた改めて検討するということでしょうか。0か100かなんでしょうか。

(市長)
どの程度、事業が縮小するかわかりませんので、今は何とも言えませんが、それを全然受け付けないということではありません。検討されるということであれば、それはそれで、われわれも改めて対応を考えていくことにはなろうかと思います。ただ、先ほども言いましたように、何か一つに反対しているわけではなくて、いろんな問題で反対していますから、この問題すべてを解消してくれるかどうかということが一つのポイントになってくるのではないかと思います。

(北海道新聞)
先ほど、洋上風力の場合は推進していくという発言がありました。カーボンニュートラルの方向性としては、小樽市は海の方に向かっているということでしょうか。

(市長)
基本的には、洋上風力については進めていくつもりでいます。ただ、先ほども言いましたように、漁業協同組合との協議ですとか、例えば、北しりべしの隣の余市町、古平町、積丹町、こういった海岸沿いの関係自治体とはまだ協議も未了です。それぞれの首長のお考えもあるでしょうし、これからその協議には入っていきたいとは思っています。

(北海道新聞)
小樽市としては、洋上風力の方を、これから関係自治体と協議しながら推進できたらいいなということですか。

(市長)
そうですね。いろんな状況が許せばということになります。当然、漁業者への影響も無視できないわけですから。そういったものが解消できるようであれば、前向きに進めていきたいと思っています。

(HBC)
資料によると、今後の流れとしては、今回の意見を踏まえて、知事が意見を経産省に出して、そこから知事の意見を添付して、事業所に勧告されるということですけれども、改めて、今回の意見を出して、鈴木知事にはどのように対応して欲しいか、その思いを聞かせてください。

(市長)
先ほども少し触れましたが、経済的な合理性を考えれば、このまま行くのだと思いますが、やはり町の特性などを考えていくと、その経済的な合理性だけで是非を判断することは難しいこともあるということをご理解いただきたいと思っています。

(NHK)
改めて確認しますが、今回は事業計画に対する反対ということであり、計画の撤回や中止、変更を求めるというところまでは至ってはいないということでしょうか。

(市長)
そうです。準備書に示されている計画について、是認できないということであり、変更などを求めているということではありません。

(NHK)
現段階の計画では反対ということでしょうか。

(市長)
そういうことです。

(NHK)
反対する主な理由として4点挙げていますが、この中で一番大きな反対の要因はどの項目になるのでしょうか。

(市長)
優劣をつけることは難しいと思いますが、昨年は塩谷丸山からニセコ方面を望む稜線に風車が立ち並ぶことで視界が寸断されるという思いを実感しました。景観だけではなく、自然遊歩道の脇に風車が建つことから、行き交う登山者に対する圧迫感といったものが少なくないだろうなと感じ、自分が登山した経験、現地視察した経験から、景観や自然遊歩道への影響は大きいと実感しました。自然災害や希少種も含めた生態系への影響は、準備書から読み取った意見であり、実際にわれわれがそこを踏み込んで検証したわけではありません。そのため、実感という面から言うと、景観や自然遊歩道への影響は大きいのかなと思っています。自然災害も気候変動の中で増えていますし、本計画には、土砂災害警戒区域も含まれていますので、自然災害による市民生活への影響も無視はできないなと思っています。一概になかなか優劣をつけることは難しいですが、現地視察から実感したという面では、先ほど言いました景観への影響と自然遊歩道への圧迫感ということでしょうか。

(NHK)
事業者が計画を進めていくに当たって、市民への理解が得られないと、この計画は是認できないということでしたが、市民の理解度、浸透の具合は、今後どうやって図っていくのでしょうか。

(市長)
余市町や小樽市の発電所計画の内容は、関心のある方はよく勉強されていると思いますが、あの地域に26基の風車が建ち、遊歩道や景観に対する影響は、必ずしも多くの方が理解しているとは思っていません。そのため、例えば自分が出演しているラジオ番組でそのような事をお伝えするなどして、できるだけ多くの方に知っていただけるような努力はしてきました。しかし、これからもこの事業が動いていくようであれば、そういった取り組みをさらに進めていかなければいけないだろうと思います。やはり、多くの方に知っていただくということが必要だと思っています。

(時事通信)
仮に事業者側がこの計画をさらに進める場合、住民の理解を得るような取り組み、例えば説明会など、事業者にはどのような取り組みをしてほしいと考えていますか。

(市長)
説明会はこれまでもやられてきていて、その中でいろいろな反発が出てきているような状況だと認識しています。住民の皆さんの理解を得るような形で説明会をやっていただきたいとは思いますが、基本的に、今の準備書のまま進めていくようであれば、理解を得ることは難しいのではないかと判断しています。

(北海道新聞)
先ほど、実際にご自身が見に行かれたということもあり、「景観への影響と自然遊歩道への圧迫感」が大きいと話がありました。意見書の最後には、「信ぴょう性に疑念を抱かざるを得ない」と書かれていて、極めて強い表現だと印象を受けました。この意見書は北海道に提出したものだと思いますが、こういう意見書を提出することを事業者には事前に連絡しているのですか。

(生活環境部環境課長)
連絡はしていません。

(北海道新聞)
事業者としては、かなり強烈な印象を受けるのかと思うのですが。

(市長)
それだけ市の思いが強烈だということでご理解いただきたいと思います。

(NHK)
双日の対応について、地元の住民団体が公開の質問状などを双日に送り、その回答がゼロ回答だったと不満も聞いています。小樽市としては、双日側の市への対応として、真摯(しんし)さが足りないとか、そういった印象はありますか。

(市長)
住民の皆さんからそのことを取り立てて聞いたことはないので、何とも申し上げられないです。住民の皆さんからの要望に対して事業者がどのように答えているかどうかは、よくわからないので、何ともお答えしようがないです。ただ、準備書には、質問に対してどう答えたかというやりとりは記載されていますので、それを読む限りでは、これだけだとなかなか住民の皆さんは理解できないところもあるのかなと思いながら読ませていただきました。

(NHK)
住民に対する説明としては、まだ不足している部分があると考えていますか。

(市長)
そうですね、私がそう思っているので、多分、反対されている皆さんも、そう思うのかもしれないとは思います。

(北海道新聞)
土砂災害の懸念があるエリアは、地図でいうと、どのあたりか教えてください。

(市長)
桃内川につながる沢があります。この沢の先に桃内川が流れていて、この沢が危険ではないかということで、桃内川周辺の地区の住民の皆さん方から反対の声が寄せられているということです。

(北海道新聞)
その地区は、地名で言うとどのあたりですか。

(市長)
ここは桃内地区です。ご存じのように「市長への手紙」という制度がありますが、それを通じて、私に直接、桃内地区の皆さん方から、土砂災害を懸念するご意見をいただいています。

(北海道新聞)
資料には「準備書の縦覧における意見書が、事業者宛てに191通も提出され」とありますが、これとは別のものですか。

(市長)
事業者に提出されたものの他に、「市長への手紙」で、私のところに届いた反対意見が相当数あります。

(毎日新聞)
3000筆の撤回を求める署名は、どの地区の方が多いのかわかりますか。

(生活環境部長)
そこまではおさえていません。

(毎日新聞)
先ほどの「市長への手紙」は、桃内地区の方からのものが多いのですか。

(市長)
桃内地区では勉強会をしていますので、その勉強会に参加された皆さんが、土砂災害を懸念されることから、反対のお手紙をいただいています。計画に反対する声は、桃内地区だけではなくて、もちろん市外から届いていますので、桃内地区に限ったことではありませんでした。

(毎日新聞)
桃内地区の他に、反対の声が大きい地区は把握していますか。

(市長)
小樽市内で特にどこの地区が、ということはないと思います。この土砂災害については、特に桃内地区に一番恐れがあるということで、一番多くご意見をいただいたところです。

(総務部長)
他になければ、以上をもちまして本日の記者会見を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。
 

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