公開日 2024年01月27日
更新日 2024年03月17日
2023(令和5)年9月、小樽市総合博物館敷地内を走る蒸気機関車アイアンホース号(PORTER4514)のブレーキシステムに故障が見つかりました。この状態では安全な運行ができないため、修理が必要で、その修理費用は約500万円です。
そこで、アイアンホース号の運行を止めずに今後も走り続けてもらうため、小樽市のふるさと納税「小樽ファンが支えるふるさとまちづくり」にて寄付を募っています。寄付の際に事業(使い道)の指定ができますので、8番「小樽市総合博物館の展示鉄道車両の保全」をお選びください。
当館はこれまでも多くのご支援をいただき、軌道枕木の交換や敷地内踏切の修理などを行ってきました。今回の修理も、これまでの寄付金をもとに行います。しかし現在、資金が尽きかけており、アイアンホース号だけではなくほかの車両の整備・補修を続けていくためには、更なるご支援が必要な状況です。
アイアンホース号、そして小樽市総合博物館を応援していただける皆様のご協力をお願いいたします。
小樽市ふるさと納税について
小樽市ふるさと納税については「小樽市ふるさと納税のご案内」をご覧ください。
寄付の際には「8.小樽市総合博物館の展示鉄道車両の保全(小樽ファンが支えるふるさとまちづくり)」を選択してください。
PORTER4514ふるさと納税チラシ[PDF:765KB]
蒸気機関車アイアンホース号(PORTER4514)のブレーキについて
現在、蒸気機関車アイアンホース号(PORTER4514)はブレーキシステムの故障により修理が必要となっております。このブレーキシステムは旧式で、まずは不具合を調査し、修理していくこととなります。
ブレーキシステム
蒸気機関車には2つのブレーキシステムがあり、アイアンホース号(PORTOR4514)は空気ブレーキを採用しています。
- 蒸気ブレーキ
ボイラー内で発生した蒸気をそのままブレーキ弁を通してブレーキシリンダーに送り動輪を制動する機構 - 空気ブレーキ
ボイラー内で発生した蒸気を単式空気圧縮機に用いて圧縮空気を作り、元空気溜(もとくうきだめ)と呼ばれる圧力タンクで一定量の空気を保持しながら、ブレーキ弁を通してブレーキシリンダーに送り動輪を制動する機構
単式空気圧縮機
長所と短所
蒸気ブレーキ
- 長所
構造が簡単で蒸気をそのままブレーキシリンダーに送るので複雑な構造を必要としない - 短所
ボイラー内の蒸気圧が下がるとブレーキの効きが悪くなる
蒸気をブレーキシリンダーにそのまま送るので腐食の原因になる
空気ブレーキ
- 長所
単式空気圧縮機により元空気溜(圧力タンク)の中には常に一定の空気があるため、ブレーキの効きに変化が起きない
圧縮空気は水分が蒸気よりも少ないため、ブレーキシリンダーの腐食がある程度防げる - 短所
空気圧縮機が必要になり、構造が複雑になる
元空気溜
今回のブレーキシステムの故障は、単式空気圧縮機が原因です。元空気溜(圧力タンク)に一定量の圧縮空気を貯める前に本体が大きく振動し、最終的には定格圧力まで空気がたまらない状態になります。この不具合は2つ危険性を伴うことになります。
- 圧力不足によりブレーキの効きが悪くなります。
- 振動によりボルトナット類が緩むことが考えられます。また溶接部に亀裂が入る恐れもあります。
以上により、お客様と機関士の安全を第一に考えて運休に至りました。
これからの修理日程について
まずは、不具合を起こしている単式空気圧縮機の調査から始めます。現在、故障箇所の特定に至っておらず、また現存の圧縮機が少なく、修理できる業者が日本に数社という現状のため時間を要しています。そのため、令和6年度の運行はゴールデンウィークに間に合うことができず、運行再開は夏休み前を予定しています。運行を楽しみに待っている方もいらっしゃるとは思いますが、安全を最優先に考え慎重に進めてまいりたいと思います。
修理について
令和5年12月に故障の原因を調査し、ブレーキに使われている圧縮空気を作る「単式空気圧縮機」の内部部品の不具合が分かりました。現在、部品製作等を行い、修理を進めているところです。
単式空気圧縮機の調査
修理の状況については、随時報告していきます。