公開日 2024年03月20日
更新日 2024年03月20日
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■音声データダウンロード(3月18日放送分)29分(外部サイト:YouTube)
【前半】
- 第3号ふ頭とその周辺の再整備について
- 運河プラザについて
【後半】
- 小樽に受け継がれている芸能文化について
放送の内容
オープニング
毎月第1第3月曜日のこの時間は、「明日へ向かってスクラムトライ!」をお送りします。
市民の皆さんに小樽市の取り組みを知っていただくとともに、市民の皆さんからも市政に対するご意見、ご感想をお待ちしています。
「明日へ向かってスクラムトライ!」では、小樽市長迫俊哉さんのほか、小樽市役所の職員の皆さんにご出演いただき、さまざまなジャンルの暮らしに役立つ情報をお届けします。
前半
(FMおたるパーソナリティー)
前半は、小樽市長、迫俊哉市長にお話をお伺いします。迫市長よろしくお願いします。
(市長)
よろしくお願いします。
(FMおたるパーソナリティー)
早いもので令和5年度最後の放送となります。今日もよろしくお願いします。さて、市内では先週15日金曜日に、中学校全部で12校で卒業式が行われました。そして小学校の卒業式については16日土曜日に4校、そして明日19日火曜日に13校で卒業式が執り行われるんだそうですね。
(市長)
そうですね。ご卒業を迎えられる皆さんはおそらく新型コロナの影響を受けた中で、学校生活を過ごした期間もあったと思いますが、卒業を迎えられたことをお喜び申し上げますし、保護者の皆さんにも本当にお喜び申し上げたいと思っています。元気に、4月からの新しい生活を迎えていただければと思いますね。
(FMおたるパーソナリティー)
さて、来週25日月曜日に、小樽港第3号ふ頭の基部に新しい観光商業施設「小樽国際インフォメーションセンター」がオープンしますね。
(市長)
第3号ふ頭とその周辺の再開発につきましては、クルーズ船による観光振興ですとか、港観光としてのにぎわいづくり、それから市民や観光客の交流空間とするために官民連携で再開発を進めてきましたが、その主要な施設の一つが、この小樽国際インフォメーションセンターでして、これがオープンすることになります。
(FMおたるパーソナリティー)
第3号ふ頭について改めてご説明しますと、JR小樽駅を出て、正面の中央通りを港に向かってまっすぐ進んで、小樽運河を越えた目の前にあるふ頭が、第3号ふ頭なのですよね。その周辺は、小樽潮まつりのメインステージが設置されるところというとわかりやすいかもしれません。
(市長)
そうですね。この整備事業の内容についてなのですが、第3号ふ頭の中の整備、ふ頭そのものの整備は国の事業として行われておりまして、岸壁の改良工事等が行われてきましたが、新年度、来月からですが、大型のクルーズ船が接岸できるようになりました。ですから、これまで勝納ふ頭に停まっていた大型のクルーズ船は、この第3号ふ頭に接岸することができるということになります。それから、既存の上屋を改修したクルーズターミナル、これはもうすでに整備を終えていますので、供用を開始しています。それから、周辺の整備につきましては、市が小型の観光船が発着する船だまりと言いますが、船だまりや多目的ホールを併設した観光船ターミナル、それからイベント広場を含む周辺の緑地の整備を進めておりまして、令和7年度末の完成を目指しています。
(FMおたるパーソナリティー)
そして今回、小樽国際インフォメーションセンターがいよいよオープンするということなんですね。
(市長)
小樽国際インフォメーションセンターとその駐車場は、小樽観光振興公社、これは第3セクターですが、公社が整備をいたしました。合同庁舎の横にある駐車場と併せて、今言いました小樽観光振興公社が管理をすることになっています。小樽国際インフォメーションセンターの1階には、これまで、小樽市観光物産プラザ、運河プラザと言っていますが、この運河プラザで行っていた観光案内ですとか売店の機能を移転することになり、これは小樽観光協会が運営をすることになっています。
(FMおたるパーソナリティー)
岸壁、そしてクルーズターミナル、国際インフォメーションセンターと駐車場、現時点ではここまでが整備されていて、この後はこれから小型観光船の船だまり、そして観光船ターミナル、また、イベント利用も可能な緑地が整備されていって、令和7年度末の完成を目指しているというのが再整備の概要なのですね。
(市長)
元々は、小樽商工会議所が2011年にスタートした四つのプロジェクトの一つ、港湾振興プロジェクトというのが発端なのですね。第3号ふ頭を観光交流拠点として整備するということが議論されまして、それが小樽港の計画にも位置付けられたんですが、もうすでに13年が経過しているということになるんですね。
(FMおたるパーソナリティー)
第3号ふ頭と周辺の再開発について、これでしっかり理解できた気がしますね。そして、これからできる観光船ターミナルについては、多目的ホールが併設される予定ということで、緑地の整備をすることになれば、これは観光客のためだけの再整備ではもうないですよね。
(市長)
この再整備は、みなと観光を核としたにぎわいの創出が目的ではありますが、観光の振興と同時に、市民の皆さんの交流の場としての側面もありますので、観光客だけではなくて、小樽市民の方にも親しみを持っていただくということを願って、整備を進めています。
(FMおたるパーソナリティー)
国土交通省港湾局が取り組んでいる「みなとオアシス」にも登録されることになっていると伺っていますが、この「みなとオアシス」というのは何でしょうか。
(市長)
これは国土交通省の港湾局が「みなと」を中心として、地域住民の交流ですとか、観光振興の取り組みを継続的に行っている施設を登録いたしまして、地域の魅力のアピールや地域活性化につなげる取り組みとなっています。全国では160ヶ所、道内でもすでに12ヶ所が登録されています。小樽も今回、小樽国際インフォメーションセンターを代表施設として登録することになりますが、今後もこれから整備が進められる小型船の船だまりや観光船ターミナルを構成施設として追加登録していきたいと思っています。
(FMおたるパーソナリティー)
ぜひ市民の皆さんにもこの「みなとオアシス」に親しみを持っていただいて、小樽国際インフォメーションセンターをちょっと覗いてみたり、クルーズ船のお出迎えですとかまたお見送り、あとは周辺を散策するなどして楽しんでいただきたいですよね。そして、第3号ふ頭の整備によって、これまで勝納ふ頭を利用していた大型のクルーズ船が、小樽運河や市街地に近い第3号ふ頭に接岸できるようになりますと、クルーズ船のそのお客様、また皆さま方にとって小樽観光がすごく便利になるのではないでしょうかね。
(市長)
便利になるのはもちろんですが、例えば有名なダイヤモンド・プリンセスですとか、昨年初めて小樽に寄港したクイーン・エリザベスは、乗客定員がそれぞれ約3,000人。それからほかに乗組員の方もいらっしゃいますので、大変多くの方が下船しますので、この第3号ふ頭周辺の人の流れが大きく変わるのとともに、新しい人の流れができると思っていますので、こうした人の流れを何とか観光振興にも、あるいは地域振興につなげていければなとは思っています。
(FMおたるパーソナリティー)
地域経済にとってもプラスの効果がありますよね。まずは便利になる小樽観光を楽しんでいただければと思います。一方で、観光案内や物販の機能が小樽国際インフォメーションセンターに移ることになる小樽市観光物産プラザ、通称運河プラザですが、閉鎖されて使われなくなってしまうのではといった心配の声ですとか、利用の存続を望む署名活動が行われるなど、今後の活用について注目をされていますよね。
(市長)
運河プラザの建物は、正式名は「旧小樽倉庫」と言います。明治27年に完成した市の歴史的な建造物ですが、外側に石材、内側に木材を使用する「木骨石造」という造りになっておりまして、特徴のある倉庫になっていますが、その南側の部分を運河プラザとして、それから北側部分は小樽総合博物館運河館として今、活用しています。この運河プラザというのは、旧小樽倉庫の一部ということになりますね。
(FMおたるパーソナリティー)
北側部分は総合博物館運河館で、運河プラザというのはこの旧小樽倉庫の南側の部分に当たるということなのですね。屋根には鯱が乗ってきまして、何ていうかお城のような、威風堂々といいますか、非常に雰囲気のある建物ですね。
(市長)
歴史的にも運河周辺の景観上も、非常に価値のある大切な建物ですので、これは今後も引き続き、市が所有をし、保全と活用を図っていきたいと思っています。
(FMおたるパーソナリティー)
では、市が所有していくというのは、はっきりしているところなのですね。
(市長)
そのとおりです。その運河プラザの使い方についてですが、これまでは小樽観光協会に業務を委託しまして、施設の管理ですとか売店、観光案内所などを運営してきましたが、3月25日から、先ほど申し上げました小樽国際インフォメーションセンターに観光案内所ですとか売店といった機能が移ることになりますので、まず、小樽観光協会によるその業務の委託は、今月3月31日をもって終了するということになります。
(FMおたるパーソナリティー)
現在の使い方としては、3月31日で一旦終了となるということですね。
(市長)
建物につきましては一時閉鎖をさせていただいて、市が改修工事を行うことになっています。ボイラーなどの設備ですとかいろんなところが傷んでいますので、まず改修工事をしますが、この工事は概ね9月頃までを予定をしています。
(FMおたるパーソナリティー)
では、9月までの間は運河プラザは使えないということでしょうか。
(市長)
そうなりますね。今でも観光客の方が休憩に使ったり、トイレに使ったりということで、非常に多くの方に利用もされていますので、特にゴールデンウィークですとか、おたる潮まつりの開催期間中につきましては、市民の皆さんですとか観光客の皆さんが公共スペースとして使用できるようにはしていきたいなと思っています。
(FMおたるパーソナリティー)
その後については、建物を民間事業者に貸し出して活用することにしているんだそうですね。
(市長)
立地としても、JR小樽駅と再整備を進めている第3号ふ頭の中間に位置していますので、非常に商業ポテンシャルの高い場所だと思っています。そこを民間の活力ですとか、ノウハウを活かして、そういった商業ポテンシャルを引き出して、観光振興に繋がる施設にしてもらいたいと思っています。一方で、長年、市民の皆さんや観光客の皆さんの憩いの場として親しまれてきた場所でもありますので、市民の皆さんや観光客の皆さんが自由に休憩できるこのフリースペース、それから誰でも利用することのできるトイレといったものは確保して参りたいと思っています。貸し付けに当たりましては、こういった条件を付して、公募型のプロポーザルと言ってますが、この方式によって業者を選定させていただく予定になっています。
(FMおたるパーソナリティー)
公募型プロポーザルといいますと、応募する民間事業者に活用方法を提案してもらって、一番いい提案をした企業を選ぶ方法と言われてますが、貸し付けに当たっての条件というのは、どういったものがあるんでしょうか。
(市長)
貸し付け方針としましては、市民や観光客の憩いの場の確保範囲、観光振興に寄与、北運河や第3号ふ埠頭への回遊性、それから夜のにぎわいの創出に配慮した提案となっていることが必要でありまして、具体的な条件としては、今、市民の皆さんや観光客の皆さんが自由に利用できて、観光パンフレットなどを置いている場所は、「一番庫」と言っていますが、その一番庫のおよそ3分の2程度は今後もフリースペースとして利用できるようにすることですとか、あるいは夜のにぎわい創出というのが一つの要件になっていますが、夜8時まで開館することなどを条件とさせてもらうことにしています。
(FMおたるパーソナリティー)
公募の要件については、第1回定例会議決後に確定して、4月に改めて告示されるそうですね。
(市長)
今日お話をさせていただいた運河プラザの活用の考え方につきましては、市のホームページにも掲載をしていますので、市民の皆さんも、そして公募について検討されている民間業者の方も、ぜひご覧いただきたいなと思っています。
(FMおたるパーソナリティー)
ぜひいい提案が来るといいですね。
(市長)
楽しみにしています。
(FMおたるパーソナリティー)
前半は迫市長にお話をお伺いしました。迫市長、ありがとうございました。
(市長)
どうもありがとうございました。
後半
(FMおたるパーソナリティー)
明日へ向かってスクラムトライ!後半は、小樽市職員の方にお話を伺っていきます。今日は、小樽に伝わる芸能と文化について、小樽市教育委員会生涯学習課の学芸員でいらっしゃいます山本侑奈(やまもとゆきな)さんにお話をお伺いします。山本さん、よろしくお願いします。
(山本)
よろしくお願いします。
(FMおたるパーソナリティー)
今日は、小樽に伝わる芸能と文化についてお話をしていただきますが、この文化財と何か関係があるんでしょうか。
(山本)
小樽市には、市や国の文化財に指定されている様々な文化財がありますが、その中でも地域の風習やお祭りに関する文化財が四つあります。
(FMおたるパーソナリティー)
文化財といいますと、お寺とか、お城などの古い建物が思い浮かびますが、お祭りも文化財になるんですか。
(山本)
そうなのです。文化財にはいろいろな種類がありまして、例えば、お寺やお城などの古い建物や大昔の人々が残した遺跡、絵画や工芸品などの美術品、さらに希少な動物や植物など形のある文化財も多いのですが、昔から伝わる技術や地域のお祭りなど、形のない文化財もあります。今日は、小樽の芸能と文化をあらわしている「無形文化財」ですとか、「無形民俗文化財」と呼ばれる形のない文化財についてお話をしたいと思います。
(FMおたるパーソナリティー)
歴史的な物から自然の物、形のある物から形のない物と、本当にいろいろな種類があるんですね。では、小樽の文化や風習に関する四つの文化財、教えていただけますか。
(山本)
一つ目は「忍路鰊漁撈(おしょろにしんぎょろう)」の行事です。これはニシン漁の作業を行う場所であった「ニシン場」の風習を、総体的に保存したもので、ソーラン節で有名な「網起こしの唄」などの作業唄や漁の節目に行う宴会など、ニシン漁にまつわる習俗が文化財になっています。
(FMおたるパーソナリティー)
宴会も文化財になるんですか。
(山本)
ニシン場の宴会も小樽の歴史の重要な要素です。宴会は正しくは「祝宴(しゅくえん)」というのですが、親方ですとか道南や東北から来た出稼ぎの漁夫たち、漁場の一同が集まって特別な料理を食べたり、余興として鰊漁撈の歌を歌ったりということをしていました。ニシン場の文化について作業唄を文化財指定している自治体は他にもあるんですが、小樽では歌だけではなく、その背景になったニシン漁に関わる習俗をできるだけ保存しようと考え、漁期の節目に行う行事も保存すべき文化財の対象にしています。
(FMおたるパーソナリティー)
そのような祝宴も含めて、ニシン漁に関係する行事をまとめて文化財としているんですね。では二つ目は何でしょうか。
(山本)
二つ目は、「高島越後盆踊りの行事」です。こちらは毎年、お盆の時期に高島公園で開催されている盆踊りで、「越後」という名前のとおり、新潟から高島地区に移住した人々が伝えたお盆の行事です。テンポの速い踊りとゆったりとした踊り、2種類の踊りを連続して踊ることが特徴です。毎年、お盆の時期に高島公園で行われている盆踊りは、地域の人々や高島出身の方ですとか、文字どおり老若男女が次々と踊りの輪に入っていくもので、独特の雰囲気と情緒を持っているものになっています。こちらも踊りだけではなくて、それに伴う習俗も指定しています。
(FMおたるパーソナリティー)
高島地区には、新潟から移住されてきた方が多かったんでしょうか。
(山本)
新潟から高島地区への移住は、明治の初期の頃から少しずつ行われていましたが、新潟の北部では、明治初期に毎年のように洪水被害があり、特に被害の大きかった北蒲原郡という現在の新発田市周辺の人たちが、当時、ニシン漁が盛んであった高島に仕事を求めて移住してきたと言われています。
(FMおたるパーソナリティー)
遠く離れた土地から移住されてきた方々が、出身地の文化風習を小樽に伝えたということなのですね。では、三つ目、四つ目は、どのような文化財ですか。
(山本)
三つ目は、「向井流水法」です。これは元々伊勢、今の三重県で発祥した泳ぎ方で、後に江戸幕府公認の水泳法にもなりました。泳ぎの速さを競い合うものではなく、海や川などの自然の流れのある水の中で、人を助けたり、敵と戦ったりという泳ぎが伝わっています。向井流水法を習った会津藩士が明治半ばに小樽に移り住んだことで市内に広まりました。四つ目は「松前神楽」で、こちらは江戸時代初めに、道南の松前町で発祥し、道南各地に伝わったものです。小樽には幕末に伝わり、ニシン場で行われていたお祭りで神楽を奉納され定着したと言われています。市内のお祭りでも披露されていますし、見たことのある方も多いかと思います。現在は、道南を中心に保存継承されていて、国指定の無形民俗文化財にもなっています。以上の四つなのですが、なかなか言葉では伝わらない部分も多いと思いますので、詳しくは小樽市ホームページをご覧いただいたり、実際のお祭りなどで披露される文化財に触れていただきたいと思います。
(FMおたるパーソナリティー)
どれもユニークな文化財ですよね。このような風習というのは、それぞれの発祥の地で現在も行われているものなんでしょうか。
(山本)
例えば、新潟から伝わった越後踊りは、形は変わっていますが、現在も新潟県北部で踊られています。また、向井流水法は東京にも保存会があり、日本泳法の一つとして知られています。ただ、本州から北海道に伝わった文化財で、発祥地では途絶えてしまって、北海道だけに残っているという例は少なくありませんし、長い時間をかけて伝承される中で、独特の変化が生まれてオリジナルのものと微妙な違いが出ている点なども面白い点だと思います。
(FMおたるパーソナリティー)
遠い土地から来たものが長い時間をかけて受け継がれてきたと思いますと、感慨深いですよね。松前神楽は私も祭りで見たことがありますが、にぎやかなお囃子や優雅な舞がお祭りの雰囲気と合っていて大変素敵だなと思いましたが、その他の文化財も実際に見られる機会というのはあるんでしょうか。
(山本)
それぞれの文化財で保存会が結成されており、さまざまな形で定期公開を行っています。大体、年に一度は、一般の方に披露しているので、気になる方は生涯学習課までご連絡ください。
(FMおたるパーソナリティー)
保存会の皆さんがしっかり伝承されてるんですね。
(山本)
皆さん定期的な練習会を開いて、一生懸命練習に励んでおられます。ただ、近年では新型コロナウイルスの影響で、練習会や行事を中止せざるを得ないという時期が数年続いたのですが、ここ一、二年は活動が緩和されて、コロナ以前のように行事や練習を行えるようになってきました。
(FMおたるパーソナリティー)
それはよかったですね。こうした貴重な伝統というのが、ずっと残って欲しいですよね。
(山本)
ただ、実は、今ご紹介したものも、かつて途絶えてしまいそうになったものというのがあります。生活様式の変化が大きく影響しています。例えば、鰊漁撈の行事の作業唄については、人力でニシン漁をするときに漁夫の力を合わせるための掛け声でしたが、作業が機械化したり、ニシン漁が行われなくなると、歌える人ですとか聞いたことがある人が減って、どんどん忘れ去られてしまうんですね。道外の話にはなりますが、先月、岩手県で1,000年以上続いた黒石寺(こくせきじ)の「蘇民祭(そみんさい)」が祭礼の運営側の高齢化ですとか担い手不足により、今年限りで幕を閉じるという報道がありました。形のない文化財というのは、「残そう」とか「続けよう」という強い意志がない限り途絶えてしまうもので、小樽でもかつて行われていた貴重な風習が姿を消した例が、少なからずあります。今、全国の地域で、その文化財が生まれて継承されてきた環境は大きく変化しています。特にコロナの3年間に継承が途絶えてしまうこともあり、去年は全国各地でその復活が試みられていました。
(FMおたるパーソナリティー)
こうした貴重な風習をとらえさせないためには、どのような工夫が必要でしょうか。
(山本)
形のない文化財を守り続けるためには、私たち文化財行政側の努力はもちろんなのですが、やはりその文化財を担ってきた方たちの「将来に伝えたい」、「残していこう」という思いがなければ、継承は困難となります。私たちはそうした「思い」を持つ方たちに対してどのようなサポートができるのか、今後に向けて考えなければいけないと思っています。
(FMおたるパーソナリティー)
教育委員会では、伝承について、どのような取り組みをされているんですか。
(山本)
保存会の皆さんにご協力いただきながら、市内の小・中学校で無形の文化財を普及する活動を行っています。学校の授業の中で、踊りや泳ぎなどを体験してもらいながら、地元に残っている文化を学んでもらい、小樽への愛着を育んでもらいたいと考えています。それぞれの保存会で性別や年齢に関係なく、会員を募集しています。地域の芸能は参加してこそ魅力がわかるというものも少なくないと思いますので、ぜひ多くの市民の皆さんに、小樽らしい文化財を体験し、身に付けていただきたいと思います。さらに、小樽に伝わる民俗芸能や将来に残していきたい風習は、今ご紹介した4件だけではありません。これからも市内の各地で伝えられている、そのような貴重な文化財を紹介し、伝えていくお手伝いを続けていきたいと思います。
(FMおたるパーソナリティー)
ありがとうございます。さて、迫市長、今日は貴重な伝統の伝承の話をお伺いしましたが、これからも見守っていきたいですよね。
(市長)
そうですね。民族的な風習はやはり個人のものではなくて、地域のものであったり、共同体のものとして受け継いでいくことが重要ですので、ぜひより多くの市民の皆さんに、まずはその関心を寄せていただきたいなと思っています。また、小樽市は、運河や銀行街などの近代の歴史的な建造物ですとか歴史的な遺産が多く残されておりまして、そうしたものから感じられる小樽らしさというのもありますが、こうした古くから伝わる文化風習は、かつて小樽に生きていた人々一人一人が暮らしとともに受け継いできたものですので、街並みを見たときに感じる感動とはまた違った「小樽らしさ」というのが感じられると思います。ぜひ、市内の皆さんにも広く知っていただき、お祭りなどにも参加していただければなと思っています。
(FMおたるパーソナリティー)
ありがとうございます。本日は、小樽の芸能と文化について、小樽市教育委員会生涯学習課の山本さんにお話を伺いしました。迫市長、山本さん、どうもありがとうございました。
(市長、山本)
ありがとうございました。
エンディング
「明日へ向かってスクラムトライ!」では、番組をお聞きいただき、市政に対するご意見ご感想をお待ちしています。
留守番電話・ファクスは0134-21-2000、E-mailは763@fmotaru.jp、またFMおたるのメッセージフォームからもお寄せいただくことができます。 はがきでという方は、郵便番号047-0021、小樽市入船4-9-1、FMおたる「明日へ向かってスクラムトライ!」宛までお送りください。
この番組の再放送は3月20日水曜日、午後7時からお送りします。また、次回の放送は、4月1日月曜日です。どうぞお楽しみに。