公開日 2025年02月18日
更新日 2025年02月18日
市からのお知らせ
■動画データ:小樽市長記者会見 令和7年2月18日 - YouTube
下記のとおり、市長から発表がありました(午後2時~)
(総務部長)
定刻となりましたので、これより市長定例記者会見を開催します。それでは、市長、よろしくお願いします。
(市長)
本日は、第1回定例会に提案する議案に関して説明します。第1回定例会の日程については、本日2月18日に招集告示、25日(火)に提案説明を予定しています。提出議案については、令和6年度補正予算に関する議案が6件、令和7年度当初予算に関する議案が11件、条例案およびその他の議案等が17件となっているほか、工事請負契約議案2件の追加送付を予定しています。また、2月21日に政令の一部改正が予定されていることから、関連する条例案1件の追加提案をしたいと考えています。議案等の詳細については、私の退席後、総務部長および財政部長より説明しますので、私からは令和7年度の市政執行の考え方と予算計上について概要を説明します。
まず、新年度に向けた市政執行の考え方についてですが、この度、「北海道の『心臓』と呼ばれたまち・小樽」が日本遺産に認定され、また、小樽港について、昨年来、公益社団法人日本港湾協会の「ポート・オブ・ザ・イヤー2024」や「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」の優秀賞など三つの賞を受賞しました。このことは、官民連携により、未来のあるべき姿を思い描きながら、まちの強みを生かす努力を重ねてきたことが結実したものであると考えています。さまざまな地域資源を持ち、日本遺産ストーリーにあるように「民の力」が大きな役割を果たしてきた本市にとって、官民連携でまちの強みを生かしていくことは、本市のまちづくり全体に通じる重要な姿勢であり、歴史や海・港などの本市の強みと、市民・民間の力を最大限に生かしながら、新たなにぎわいの創出、脱炭素など、時代の変化に柔軟に対応した未来志向のまちづくりを推進し、その上で、定住人口の確保に努めていきたいと考えています。
このような思いを込めて、新年度に向けた市政執行の基本方針を、「まちの強みと民の力による未来を志向したまちづくり」と掲げるとともに、これを新年度予算全体のテーマとしたところです。この基本方針のもと、新年度予算については、次の六つの視点を掲げています。一つ目が「人口対策」、二つ目が「次世代を見据えたまちづくり」、三つ目が「魅力を活かしたまちづくり」、四つ目が「活力を生み出すまちづくり」、五つ目が「安全・安心なまちづくり」、六つ目が「暮らしを支えるまちづくり」です。
この六つの視点それぞれについて、新年度予算事業における概要を申し上げますと、視点の一つ目、「人口対策」については、産後ケアの拡充や、1カ月児健康診査の導入、放課後児童クラブの民間委託と保護者から希望の多い開設時間の拡大など、引き続き子育て支援の拡充に努めるとともに、ウイングベイ小樽内の「おやこの集いの場」、小樽公園の再整備などにより、親子・子どもの居場所の充実に努めていきます。また、安定した人材の確保として、地方就職学生支援補助金により、東京の学生の本市での就職を後押しするとともに、介護職や看護職員の確保に向けた取り組みを行うほか、移住促進の取り組みとしては、小樽商工会議所とも連携し、移住相談への対応や情報発信、居住に当たっての支援を継続的に行うなど、少子化対策と社会減の抑制策を進めていきます。
視点の二つ目、「次世代を見据えたまちづくり」については、未来を志向したまちづくりを進めるため、中小企業等の省エネ対策に係る支援や、既存市有施設への太陽光発電設備の導入可能性の調査など、脱炭素社会の実現に向けた取り組み、人流ビックデータを用いた観光入込調査や電子契約システム導入などのデジタル技術の活用、新幹線開業を見据えた取り組みを進めるとともに、新総合体育館の整備に向けて取り組むほか、将来に向けた公共施設への対策も進めていきます。
視点の三つ目、「魅力を活かしたまちづくり」としては、歴史的建造物で形成される個性的な街並みや、人や物の流れの拠点となる港など、本市が持つ魅力をより一層高めて、まちづくりに生かしていくため、「小樽市歴史的風致維持向上計画」に基づく取り組みの推進や最終年度を迎える第3号ふ頭周辺の再開発によるにぎわい創出を進めるほか、地場産品のブランド化や販路拡大の取り組みに努めるとともに、日本遺産に認定された「北海道の『心臓』と呼ばれたまち・小樽」により、文化、経済、観光の好循環を実現し、地域ブランド力の向上に努めていきます。
視点の四つ目、「活力を生み出すまちづくり」としては、人や企業を呼び込み、地域経済の活性化につなげていくため、本市の立地や特性を生かした企業誘致の取り組みや、小樽港におけるクルーズ船の寄港と物流の促進に向けた取り組みを進めるほか、観光地域づくりと誘客促進として、インバウンドの誘致を強化するとともに、観光客の過度な集中やマナー違反など、いわゆるオーバーツーリズムについて、関係機関等と協議しながら効果的な対策に取り組んでいきます。
視点の五つ目、「安全・安心なまちづくり」としては、全ての人が安全で安心に暮らせるまちを実現するため、後志管内三つの消防本部が共同運用する消防指令センターの整備、避難所の災害備蓄品の整備更新など、消防・防災の強化を進めるとともに、ヤングケアラーの支援体制強化や地域の相談支援の拠点となる基幹相談支援センターの委託など、支援を必要とする方をサポートする取り組みを進めていきます。
視点の六つ目、「暮らしを支えるまちづくり」としては、がん検診受診率向上を図る健康ポイント事業など、市民の健康づくりの取り組みや、高齢者等帯状疱疹予防接種の開始、町会が設置する街路防犯灯設置費補助金の拡充、生活バス路線など地域公共交通の維持・確保を図る取り組みを進めるほか、企業版ふるさと納税を活用した自動運転EVバスの実証運行を行います。また、国の交付金を活用し、物価高騰の影響を受けている生活者や事業者への支援に取り組んでいきます。
以上のような考えに基づいて編成した令和7年度予算は、一般会計の総額は、約661億8000万円で、6年度当初予算と比べ、プラス41億6000万円、6.7パーセントの増となりました。また、特別会計と企業会計を合わせた市の全会計では、プラス34億7000万円、2.8パーセント増の約1262億9000万円となっています。令和7年度の予算編成では、人件費の上昇、物価高、金利上昇などの歳出増加要因が拡大していることから、前年度と同様に、財政面では厳しい状況が想定されました。不足する歳入は、これまで積み立ててきた財政調整基金からの繰り入れにより対応しますが、将来に備えて基金残高の確保にも留意して活用しなければなりませんし、一方では、企業版ふるさと納税など民間資金の更なる獲得など、積極的な「民の力」の活用にも努めていきます。このため、最重要課題である人口対策のほか、喫緊の課題解決に向けた取り組みへの重点的な予算配分を意識しながらも、後年度の財政負担や施策の優先順位、効果などを十分に考慮した上で、7年度に予算化すべき事業を厳選したところです。これからも、市民の皆さんの声に真摯に耳を傾けながら、着実に市政を前に進めていきたいと考えています。
私からは、以上です。
出席した報道機関の記者から、下記のような質疑がありました。
(総務部長)
ご質問等ございましたら、どうぞご発言ください。
(北海道新聞)
「まちの強みと民の力による未来を志向したまちづくり」という基本方針について、もう少し噛み砕いて、市長の狙いを教えてください。
(市長)
日本遺産に認定されたということもあり、日本遺産のストーリーの中では、この「民の力」というのが強調されているわけですが、この「民(たみ)の力」あるいは「民(みん)の力」、どちらでもよろしいのですが、「民(たみ)の力」というのは、まちづくりに向けて、金銭的な部分では決してなくて、例えば文化芸術だとか、第3倉庫の活用だとか、もちろん日本遺産をこれから進めていくということもそうですが、まちづくりを後押しする市民の皆さんの力というのが一つ。それからもう一つは、官民連携室も昨年から新しく組織しましたが、これから「民(みん)の力」を活用しながら、例えば企業版ふるさと納税ですとか、今公募していますが、ネーミングライツですとか、そういった金銭的な部分も含めて、「民(みん)の力」も活用しながら、将来を志向したまちづくりを進めていきたいという考え方です。
(北海道新聞)
予算規模の総額は660億円ということで、おそらく過去20年で最大になるかと思いますが、一方で、厳しい財政状況の中だということも踏まえて、市長としては、緊縮か積極かで言えば、積極的な予算を組めたというような印象ですか。
(市長)
結論から言うと、決して緊縮ではないと思っています。背景にあるのは、燃料光熱費、労務単価、建設資材、そういったものが高騰していますので、歳出増の要因が拡大していっている中で、最終的に基金を繰り入れて、収支均衡の予算を編成しましたが、特に子育て支援策ですとか、脱炭素、デジタル化、そういった必要な施策は盛り込めたと思っていますので、決して緊縮ではないと思いますし、むしろ積極的になったのではないかと思っています。
(NHK)
オーバーツーリズム対策の事業について、実際、船見坂などに警備員を配置していますが、改めて、新年度の予算案に盛り込んだ思いを教えてください。
(市長)
インバウンドを中心とした大変多くの観光客が、昨年から切れ目なく訪れていますので、それについては大変歓迎すべきことだと思っています。そういった中にあって特に映画やドラマのロケ地となったところを中心として、過度に観光客が集中をしていて、船見坂では道路に出て写真を撮るとか、あるいは朝里駅では危険な区域に入り込むというような行為が見られたので、そういったことを未然に防いでいくということもあり、今回、新年度予算の中でも、オーバーツーリズム対策を計上しました。今、オーバーツーリズム対策の連絡協議会をつくっています。当初予算では、庁内で議論した内容で予算を編成しましたが、今後、対策連絡協議会の中でもご意見をいただきながら、必要な対策を講じていきたいと思っています。いろいろな考え方があると思います。規制するだけではないと思っていますので、市民生活の環境を守るという観点と、小樽に訪れた観光客の皆さんの満足度を損なわないような、そういったバランスをとりながら、対策を講じていきたいと思っています。
(NHK)
今は船見坂に警備員を配置していると思いますが、事業内容の説明では「船見坂などに警備員を配置、また立ち入り防止などの注意喚起」と書かれていますが、具体的に今の段階で決まっていることなどがあればもう少し教えてください。
(市長)
基本的には、船見坂、朝里駅、銭函駅、それから南小樽駅の近くの三本木急坂というところも観光客が少し集中しているので、来年度の冬を目掛けて警備員を配置し、掲示板を掲げるという予算の内容になっています。あとは、これから対策連絡協議会の中で議論していきますので、施策を講じる必要があるようであれば、補正予算などで対応したいと思っています。
(NHK)
今の段階では、警備員の配置と掲示板等の新しい設置が、主な事業になるということですか。
(市長)
あとは街頭放送でも呼び掛けたいと思っています。
(NHK)
街頭で一般的な放送で流すということでしょうか。
(市長)
市内中心部を中心に街頭放送が流れているので、それを活用して、注意喚起に努めていきたいと思っています。
(NHK)
街頭放送は多言語でしょうか。
(市長)
もちろん多言語です。
(読売新聞)
新規事業が多岐にわたるので、絞ることは難しいかもしれませんが、7年度の当初予算での目玉があるとしたら何ですか。一つに限らず、二、三挙げてください。
(市長)
定住人口の確保という観点からの子育て支援策を引き続き充実させたという点が一つ挙げられると思っています。これまではどちらかというと金銭的な負担の軽減というウエイトが大きかったわけですが、新年度予算の中では、産後ケアの拡充ですとか、放課後児童クラブの開設時間の拡大といったことを中心として、保護者の皆さんにとっての精神的な負担の軽減を視点に置いたということが一つと、もう一つは、これも子育て世代の皆さん方からの要望の高い、居場所という点から言うと、今、ウイングベイ小樽の中に親子の集いの場を、それから、これから小樽公園を整備していきますので、定住人口の確保という視点もありますが、子育て支援策の充実には引き続き取り組んでいきたいという思いは反映させています。それからもう一つ挙げるとすると、次世代を見据えたということで、脱炭素化とデジタル技術の活用という点で、いくつか新規事業を盛り込んでいます。特に去年から取り組んでいる、中小企業に向けた省エネルギーの実現に向けた支援策を、今年度も引き続き実施したいと思っていますし、あとは公立の保育所や小学校のLED化の推進といったものが挙げられますし、庁内では、デジタル技術の推進という意味からすると、今回、行政キオスク端末を設置しますので、そういった形で脱炭素の推進ですとか、デジタル技術の活用を進めていきたいと思っています。あと3点目としては、事業規模としては大きくありませんが、かねてから「観光の見える化」を進めていきたいと思っていましたので、それを実現する一つの施策として、GPSの人流データを用いた取り組みを去年から試行という形でやっていましたが、新年度は本格実施をしますので、この人流データを用いた観光戦略の策定、企画立案を前に進めていけるような形でデータを取っていきたいと思っています。この「観光の見える化」については、市議会からも、観光が小樽経済にとってどんなプラスになっているのかなかなか見えないというご指摘がありますので、そういった観点から、人流データを活用しながら、将来に向けての観光戦略を作り上げていきたいと思っています。子育て支援策の充実、脱炭素、デジタル技術の活用、それから事業規模は大きくありませんが、「観光の見える化」というのが、私としての思いが込められた施策ではないかと思っています。
(読売新聞)
その観光戦略の策定は、いつごろを目途に考えていますか。
(市長)
時期は決めていませんが、1年目はまずデータを取っていくことになると思います。観光客がどこから来てどこに向かって行っているのか、ということがデータでわかってきますので、そうして得られるデータを基に戦略を練っていきたいと思っています。
(北海道新聞)
歳出を見ると、建設事業費が前年当初比からプラス30.5億円ということで、小樽後志の指令センターの整備事業費や、住宅事業特別会計を一般会計に組み入れたこともあっての増大だとは思いますが、建設事業費がかなり上がっているということや、市債残高も2年連続で上昇しているということで、先ほど積極型の編成をしたと言っていましたが、市債が増えていくということは、将来世代に負担が増えていく面があると思います。2年後は選挙を控えているので、今回が市長としての独自色を打ち出せる最後の予算編成かと思いますが、改めて市長として将来世代の考え方、財政状況をどのように考えていますか。
(市長)
中長期の財政収支計画を持っていますが、このまま事業を進めていくと、令和10年代前半には、非常に厳しい財政状況になることが見込まれています。一方で、中長期の財政収支計画では、さまざまな取り組みが定められているので、具体的に言うと、事務事業の見直し、あるいは業務の改善、このようなものを着実に進めるということと、歳入については、民間の力を活用しながら、企業版ふるさと納税の活用、ネーミングライツ、それからふるさと納税についても、近年どうしても頭打ちの感じがしていますので、具体的に言うと体験型のメニューを増やしていくことなども含めて、改めてふるさと納税の戦略を練り直すということ。それから、比較的、銭函地域での企業の立地が旺盛で、これは固定資産税の部分で貢献してくる話にはなりますが、さらに、小樽の優位性、地域の優位性を生かしながら企業誘致をしっかりと進めていく、そういった中で、将来に向けた安定的な財政運営ができるような形で、しっかり今から取り組んでいきたいと思っています。
(北海道新聞)
市内の女児が暴行で虐待死した案件ですが、札幌地検が処分保留で釈放するということになりました。結局、起訴もされていないし、不起訴になるかどうかもまだわからないのですが、市長は、起訴されたら何かしらの対応、新たな記者会見なりをすると話していました。現状、宙ぶらりんの状態ですが、今後の対応はどのように考えていますか。
(市長)
難しいところではあるのですが、指示しているのは、前から約束していますが、再発防止に向けたマニュアルの策定を年度内に終えたいと思っています。今、市教委では、関係機関から意見などをいただきながら準備を進めていますが、最終的には、総合教育会議などでも諮りながら、基本的には、市長部局と市教委の連携をしっかりやっていくという形になると思うのですが、そういった観点で、再発防止に向けたマニュアルを年度内には策定できるように作業を進めているところです。
(総務部長)
他にないようですので、次回の市長定例記者会見のご案内です。令和7年3月28日(金)午前11時からを予定していますので、よろしくお願いします。以上をもちまして、市長定例記者会見を終了させていただきます。本日はありがとうございました。