公開日 2025年11月19日
更新日 2026年02月17日
改正法の概要
令和6年(2024年)5月17日に、父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、民法等の一部を改正する法律が成立しました。
この法改正により、こどもを養育する親の責務が明確化されるとともに、親権(単独親権、共同親権)、養育費、親子交流などに関するルールが見直され、令和8年(2026年)4月1日に施行されることとなりました。
主な改正内容
1.親の責務に関するルールの明確化
父母が、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責任を負うことなどが明確化されています。
こどもの人格の尊重
こどもが心も体も元気でいられるように育てる責任があります。こどもの利益のため、意見をよく聞き、人格を尊重しなければなりません。
こどもの扶養
こどもを養う責任を指します。こどもが親と同じくらいの生活を送れる水準でなければなりません。
父母間の人格尊重・協力義務
こどものためには、父母がお互いを尊重して協力し合うことが大切です。
このため、下記のような事例では、このルールに違反する場合があります(※1)。
- 暴力や相手を怖がらせるような言動
- 他方の親によるこどもの世話を不当にじゃますること
- 理由なくこどもの住む場所を変えること(※2)
- 約束した親子の交流をさまたげること
※1 違反した場合、親権者の指定又は変更の審判、親権喪失又は親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性があります。
※2 暴力等や虐待から逃れることはルールに違反しません。
2.親権に関するルールの見直し
父母の離婚後の親権者の定めの選択肢が広がり、離婚後の父母双方を親権者と定めることができるようになります。
父母2人ともが親権を持つ共同親権の場合
日常のことは、一方の親で決められる
毎日の生活に必要なこと、例えば食事や着る服を決めること、短い旅行、予防接種や習い事などは、父母のどちらかで決めることができます。
大切なことは父母2人で話し合う
こどもの住む場所を変えることや将来の進学先を決めること、心と体の健康に大きな影響を与える治療やこどものお金の管理などについては、父母が話し合って決められます。なお、父母の意見が対立するときには、家庭裁判所で、父母のどちらかが1人でその事項を決められるようにする裁判を受けることもできます。
※ 父母間の合意がない場合は、裁判所が関与します。
一方の親が決められる緊急のケース
暴力等や虐待から逃れるために引っ越すこと、病気やけがで緊急の治療が必要な場合などは、父母のどちらも1人で決めることができます。
3.養育費の支払確保に向けた見直し
こどもの生活を守るために、養育費を確実にしっかりと受け取れるように、新たなルールの創設やルールの見直しが行われました。
取り決めの実効性アップ
文書で養育費の取り決めをしていれば、支払いが滞った場合にその文書をもって、一方の親の財産を差し押さえるための申立てができるようになります。
法定養育費制度の新設
離婚時に養育費の取り決めがなくても、こどもと暮らす親が、こどもと暮らしていない親へ、こどもの養育費を請求できる制度です。離婚後もこどもの生活が守られるよう設けられました。養育費が決まるまでの暫定的、補充的なものです。
※ 法定養育費は、父母間で取り決めるべき養育費の標準額や下限額を定める趣旨のものではありません。
裁判手続きがスムーズに
家庭裁判所は、養育費に関する裁判手続きをスムーズに進めるために、収入情報の開示を命じることができることとしています。また、養育費を請求する民事執行の手続きでは、地方裁判所に対する1回の申立てで財産の開示、給与情報の提供、判明した給与の差し押さえに関する手続きを行うことができるようになります。
4.安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
こどものことを最優先に、親子交流や父母以外の親族との交流に関するルールが見直されました。
親子交流の試行的実施
家庭裁判所の手続き中に親子交流を試行的に行うことができます。家庭裁判所は、こどものためを最優先に考え、実施が適切かどうかや調査が必要かなどを検討し実施をうながします。
婚姻中別居の親子交流
父母が婚姻中にこどもと別居している場合の親子交流は、こどものことを最優先に考えることを前提に、父母の協議で決め、決まらない時は家庭裁判所の審判等で決めることがルールとなります。
父母以外の親族とこどもの交流
祖父母など、こどもとの間に親子関係のような親しい関係があり、こどものために必要があるといった場合、家庭裁判所は、こどもが父母以外の親族との交流を行えるようにできます。
5.財産分与に関するルールの見直し
請求期間の伸長
財産分与の請求をすることができる期間が、離婚後2年に制限されていましたが、離婚後5年を経過するまで請求できるようになります。
考慮要素の明確化
財産分与に当たってどのような事情を考慮すべきかが、明確化されました。
(例示された考慮要素)
- 婚姻中に取得又は維持した財産の額
- 財産の取得又は維持についての各自の寄与の程度 ➡ 原則2分の1ずつ
- 婚姻の期間
- 婚姻中の生活水準
- 婚姻中の協力及び扶助の状況
- 各自の年齢、心身の状況、職業、収入
裁判手続の利便性が向上
裁判手続では、分与の対象となる財産の種類や金額を明らかにする必要がありますが、手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が、当事者に対して財産情報の開示を命じることができるようになります。
6.養子縁組に関するルールの見直し
親権者の明確化
未成年のこどもが養子になった場合には、養親がそのこどもの親権者となり、実親は親権を失います。離婚した実父母の一方の再婚相手を養親とする養子縁組の場合には、 養親とその配偶者である実親が親権者となり、実父母の離婚後に共同親権の定めをしていたとしても、他方の親権者は親権を失います。
父母の意見対立を調整する裁判手続の新設
15歳未満のこどもが養子縁組をするときは、父母双方が親権者であれば、 父母の意見が一致しなければ養子縁組をすることができませんでしたが、家庭裁判所はこどもの利益のため特に必要があると認めるときに限り、父母の一方を養子縁組についての親権行使者に指定することができるようになります。親権行使者は、単独で、養子縁組の手続を行うことができます。
詳細については、下記のパンフレットまたは動画等をご確認ください
法務省作成パンフレット
パンフレット(父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました)

法務省作成動画(YouTube)
動画「離婚後の子の養育に関する民法等の改正について~親権・養育費・親子交流などについてのルールが変わります!~」(約37分)【Youtube法務省チャンネル】

法務省ホームページ
民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について
