公開日 2020年10月05日
更新日 2021年03月25日
限られた資源を有効に利用することや、廃棄物または公害など環境に与える影響の低減を図り、「循環型社会」を形成するためには、我が国の環境に大きな影響を与えている建設廃棄物の排出抑制やリサイクル等の適正な処理が一層進められることが求められます。
このようなことから、「建設工事に係る資材の再資源化などに関する法律」(建設リサイクル法)が施行され発注者、元請け業者等に建設リサイクルへの取り組みが義務付けられました。
主な内容は以下の3点です。
- 建築物等に使用されている特定建設資材の分別解体等と再資源化の義務
- 発注者の義務・受注者の義務
- 解体工事業者の登録制度や技術管理者による解体工事等の管理
1.建築物等に使用されている特定建設資材の分別解体等と再資源化の義務
一定規模以上の建築物その他の工作物に関する建設工事(対象建設工事)について、当該建築物等に使用されている特定建設資材を分別解体などで分別し、これによって生じた特定建設資材について再資源化が義務付けられました。
1.対象建設工事
分別解体等および再資源化の対象となる建設工事の規模は次の通りです。
対象建設工事の種類 | 規模の基準 |
建築物の解体工事 | 床面積の合計80平方メートル |
建築物の新築・増築工事 | 床面積の合計500平方メートル |
建築物の修繕・模様替等工事(リフォーム等)※1 | 請負代金の額※3:1億円 |
建築物以外の工作物の工事(土木工事等)※2 | 請負代金の額※3:500万円 |
※1建築物の修繕・模様替等工事:建築物に係る新築工事等であって新築または増築の工事に該当しないもの
※2建築物以外の工作物の工事:建築物以外のものに係る解体工事または新築工事等
※3請負代金の額には消費税を含む
2.特定建設資材
分別解体等および再資源化が必要なものは次の通りです。
特定建設資材 | コンクリート |
コンクリート及び鉄から成る建設資材(プレキャスト鉄筋コンクリート版など) | |
木材 | |
アスファルトコンクリート |
特定建設資材等の定義
◆コンクリート
コンクリート(セメントコンクリート)とは、「セメント」、「水」、「骨材(細骨材・粗骨材)」、「混和材料」を練り混ぜ混合したものまたは硬化させたもので、「無筋コンクリート」、「鉄筋コンクリート」等のことをいいます。
ALC版、スレート、骨材(細骨材または粗骨材)が含まれていない建設資材は、特定建設資材のコンクリートに該当しません。
◆コンクリートおよび鉄から成る建設資材
コンクリートおよび鉄から成る建設資材とは、コンクリートと鉄筋等の鉄から成る建設資材で、「プレキャスト鉄筋コンクリート版」等のことをいいます。
◆木材
特定建設資材である木材とは、法第2条第1項において定義されるように、土木建築に関する工事に使用される木材をいいます。
なお、これらの工事に伴って発生する伐採材・伐根材、剪定枝葉等は建設資材ではありません、よって特定建設資材に該当しません。
◆アスファルトコンクリート
アスファルトコンクリートとは、「瀝青(れきせい)材料(アスファルト)」、「骨材」、「フィラー」、「安定剤」等からなる材料のことをいいます。
◆リース材
コンクリート型枠、足場等のリース材については、工事現場で使用している間は建設資材となるものの、使用後はリース会社に引き取られるため、建設資材廃棄物として排出されるものではない、ただし、工事現場から廃棄物として排出された場合は特定建設資材廃棄物となります。
3.分別解体等の実施義務
工事の発注者に対して、分別解体等が義務付けられました。
分別解体等は、一定の基準に従い、建築物に用いられた特定建設資材に係る廃棄物をその種類毎に分別する必要があります。
4.再資源化等の実施義務
工事の発注者に対して、分別解体等に伴って生じた特定建設資材の再資源化が義務付けられました。
2.発注者の義務・受注者の義務
1.発注者・受注者双方の義務
発注者が受注者と交わす対象建設工事の契約書面においては、分別の解体方法、解体工事に要する費用および再資源化等に要する費用や、再資源化のために特定建設資材を持ち込む予定の施設名称などの明記が必要です。
2.発注者の義務
○事前の届出
発注者は、工事着工の7日前までに、分別解体等の計画等について、小樽市に届け出ることが必要です。
○変更の命令
発注者の届出に係る分別解体等の計画の基準に適応しないと認められる場合、小樽市より変更命令が行われます。
3.受注者(元請)の義務
○発注者への説明
対象建設工事の元請業者は、発注者に対し、建築物等の構造、工事着工時期、分別解体等の計画等について書面を交付して説明することが必要です。
○告知・契約
受注者は、請け負った建設工事の全部または一部を他の建設業者に下請けさせる場合には、元請業者は、下請負人に対し、小樽市への届出事項を告知したうえで契約を結びます。
○分別解体等、再資源化等の実施、技術管理者による施工の管理、現場における標識の掲示(受注者全体(元請・下請とも)の義務)
分別解体等、再資源化等の実施にあたっては、解体工事業者は、解体工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲示します。また、工事の施工を管理する技術管理者の配置が必要です。
なお、建設業許可業者が工事を行う場合は、建設業法に基づく標識の掲示や主任技術者等の配置が必要となります。
○再資源化等の完了の確認および発注者への報告
受注者は、再資源化等が完了したときは、その旨を発注者に書面で報告するとともに、再資源化等の実施状況に関する記録を作成、保存します。
3.解体工事業者の登録制度や技術管理者による解体工事等の管理
建築物等の解体工事の実施には建設業許可か解体工事業登録が必要です。適正な解体工事を実施するために、解体工事業者の登録制度及び解体工事現場への技術管理者の配置などが義務付けられました。
○解体工事業者の登録
解体工事業を営もうとする方は、都道府県知事への登録が義務付けられました。
なお、解体工事を行う方が、土木工事業、建設工事業及解体工事業に係る建設業の許可を受けた方は除かれます。
○技術管理者の選任
解体工事業者は、解体工事を行う場合に、その現場に工事の施工等を管理する技術管理者の配置が必要です。
なお、解体工事を行う方が、建設業の許可を受けている場合には、主任技術者の配置が必要です。
○標識の掲示
解体工事業者は、その現場毎に、公衆の見やすい場所に標識の掲示が必要です。
なお、解体工事を行う方が、建設業の許可を受けている場合には、建設業法に基づく標識の掲示が必要です。
次の建設業許可をお持ちですか? 土木工事業 |
はい
|
今お持ちの許可で解体工事を実施できます。 (登録は不要です) |
いいえ![]() |
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500万円以上の工事を請け負いますか? |
はい |
建設業の許可が必要です。 |
いいえ![]() |
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解体工事業登録が必要です。 |
解体工事業登録は、工事を行う都道府県ごとに行ってください。その際、次の要件を満たさなければなりません。
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不適格要件に該当しないこと(2年以内に登録を取り消された者でない等。)
-
技術管理者を選任していること※技術管理者は、下記1の実務経験か、下記2の資格を有していなければなりません。
学歴・実務経験年数 | 解体工事業登録 | 【参考】 建設業許可 |
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国土交通大臣指定講習受講者 | |||
一定の学科を履修した大学・高専卒業者 | 2年 | 1年 |
3年 |
一定の学科を履修した高校卒業者 | 4年 | 3年 |
5年 |
上記以外 | 8年 | 7年 |
10年 |
資格・試験名 | 種別 |
建設業法による技術検定 | 一級建設機械施工 |
二級建設機械施工(「第一種」、「第二種」) | |
一級土木施工管理 | |
二級土木施工管理(「土木」) | |
一級建築施工管理 | |
二級建築施工管理(「建築」、「躯体」) | |
技術士法による第二次試験 | 技術士(「建設部門」) |
建築士法による建築士 | 一級建築士 |
二級建築士 | |
職業能力開発促進法による技能検定 | 一級とび・とび工 |
二級とび+解体工事経験1年 | |
二級とび工+解体工事経験1年 | |
国土交通大臣が指定する試験 | 解体工事施工技士試験合格者 |