「刻印」が産地や製造者を語る"瓦"

公開日 2020年10月16日

更新日 2021年03月05日

 北海道では金属板葺の屋根か無落雪屋根が主流で、瓦屋根はほとんどありませんが、様々な地域の商人から注目され、商業、流通の拠点として発展した小樽には、かつては倉庫、商店など瓦屋根の建物が数多く建ち並んでおり、現在も残る多くの歴史的建造物で瓦屋根が見られます。

 

 しかし、瓦は恒久的なものではありませんし、特に昔のものは現代のものに比べて強度が均一ではなく、凍害にも弱いため、容易に「欠け」や「割れ」を生じます。これを放置すると雨漏りを生じることもありますので、こまめに維持管理する必要があります。

 また、市内の歴史的建造物の多くは戦前のもので、築70年以上を経過しており、瓦屋根の下地まで傷んでいることが多く、このような場合には、屋根全体を下地から修理することが必要となります。


 ところで、歴史的建造物の瓦屋根の修理を行っている現場にお邪魔して、葺き替えにより取り外された古瓦をよく観察すると、「刻印」が見つかることがあります。「刻印」は産地や製造者を示しており、これが刻まれた瓦は歴史的に貴重な資料であると言えます。

 平成27年の工事で見つかったものを少しご紹介します。

 古い瓦を間近に見る機会がありましたら、これらを参考に「刻印」を探してみると楽しいかもしれません。

 

旧名取高三郎商店大棟鬼瓦の画像鬼瓦の刻印の画像

旧名取高三郎商店の大棟(おおむね)鬼瓦と「刻印」。「瓦製造商/若狭遠敷郡口名田村/四方吉次郎」と読めます。旧小樽倉庫の鯱(しゃちほこ)に刻まれた銘と同一です。

 

 

 

旧名取高三郎商店隅鬼瓦の画像隅鬼瓦の刻印

 

同じく旧名取高三郎商店の隅鬼瓦と「刻印」。「瓦商/若狭遠敷郡/古谷四郎右エ門/口名田村中井」と記されています。

 

 

 

旧金子元三郎商店のうだつの鬼瓦の画像

 

旧金子元三郎商店のうだつ鬼瓦。建物外壁に刻まれた印(しるし)と同様の印が中央に刻まれています。

 

 

 

旧名取高三郎商店の桟瓦の画像

同じく旧金子元三郎商店の桟瓦に刻まれた「刻印」(丸に大)。

 

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