公開日 2020年10月17日
更新日 2024年07月22日
ヒトメタニューモウイルス感染症とは
ヒトメタニューモウイルスは、気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症を引き起こします。3-6月の春に多いとされていますが、通年みられます。
1-3歳の幼児の間で流行することが多いのですが、成人にも感染します。小児の呼吸器感染症の5-10%、成人の呼吸器感染症の2-4%は、ヒトメタニューモウイルスが原因だと考えられています。何度も感染と発病を繰り返しますが、再感染以降は症状が軽いため、特に年長児や成人から乳幼児や高齢者への家族内感染及び保育所や高齢者施設などで流行しやすく、特に、乳幼児や高齢者では重症化することもあり、注意が必要です。
原因と感染経路
【原因】
ヒトメタニューモウイルスです。
潜伏期は3-6日といわれています。発熱期間は平均5日と比較的長く、気道から7-14日間にわたりウイルスが排出されます。
【感染経路】
飛沫感染と接触感染です。
- 感染している人がせきやくしゃみ、会話などをした際に飛び散るしぶきを吸い込む
- 感染している人と直接濃厚接触する
- ウイルスがついた手指や物品(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップ等)を触った手を介してウイルスが口に入る
症状と治療
年長児や成人でよく見られる症状は、咳、鼻水、咽頭痛、発熱、息切れですが、無症状の不顕性感染となることも多いです。乳幼児や高齢者・免疫不全者では重症な下気道の感染症(細気管支炎、喘息様気管支炎、肺炎など)となる可能性があります。急性中耳炎を発症することもあります。
治療は、症状をやわらげる対症療法となります。
ヒトメタニューモウイルスワクチンは、開発への取り組みが行われていますが、まだ利用できるものはありません。
予防のポイント
1.せきなどの呼吸器症状を認める場合は、接触を避けてください。
特に、呼吸器症状がある年長児や成人は、可能な限り0歳児や1歳児との接触を避けましょう。乳幼児の発症予防に繋がります。
2.せきエチケットを行ってください。
流行期はもちろんのこと、せきなどの呼吸器症状がある場合は、マスクを着用しましょう。
3.気道分泌物の付着したものの取扱いに注意してください。
日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤で消毒しましょう。
4.手洗いとうがいを励行してください。
だ液や鼻汁に触れた時、食事の前は必ず、流水・石鹸による手洗い、アルコール製剤での手指消毒を行いましょう。