公開日 2020年10月18日
更新日 2024年04月09日
大腸がんは、男女ともに日本人に増えているがんのひとつで、令和4年の厚生労働省の統計によると、がんの部位別死亡率では、男性では第2位、女性では第1位となっています。50歳過ぎから増加しはじめ、高齢になればなるほど多くなるのが特徴です。
大腸がんは大腸粘膜からできる悪性腫瘍(悪性のできもの)で、発生部位によって上行結腸がん、横行結腸がん、下行結腸がん、S状結腸がん、直腸がんなどに分けられます。がんの発生した部位によって、手術方法や手術後の生活の仕方が異なることがあります。また、大腸がんの60〜70%は大腸の左半分にあたるS状結腸から直腸に発生しますが、最近では右半分にあたる上行結腸がんも増加傾向にあります。
大腸がんの症状としては、血便(便に血が混じる)、下血(肛門から出血する)、便通異常(便秘、下痢、便秘と下痢を繰り返す)、便柱狭小(便が細くなる)、残便感(便が出きらない感じ)、腹痛、腹部膨満感、腹部のしこり、貧血、吐き気などがありますが、これらはいずれも進行がんの症状であり、早期の大腸がんには、ほとんど症状はありません。
大腸がんを予防するには
大腸がんの危険因子は
(1)大腸ポリープになったことがある。
(2)血縁者のなかに大腸がんになった人がいる。
(3)肉類を中心とした高たんぱく・高脂肪食、食物繊維の摂取量が少ない食生活をしている。…などです。
中でも、食生活の欧米化が大腸がん増加の原因のひとつとして注目されています。日本古来の"和"の献立に戻り、動物性脂肪のとりすぎや、コレステロールのとりすぎに注意すること、食物繊維を多くとり、バランスのよい食事をすることを心がけましょう。また、アルコールは大腸がん、特に直腸がんの危険因子であるといわれています。飲酒はほどほどにしましょう。定期的に大腸がん検診を受けることも予防の一つです。
男女ともに、40歳以上の人は、年1回大腸がん検診を受けることをお勧めします。
大腸がん検診の受け方
大腸がん検診は、「問診」と「便潜血検査」(2日分の便を採り、便に血が混じっていないかを検査)です。
- これまでかかった病気や、家族歴(血縁者で大腸がんになった人の有無)などについて問診票でお聞きしますので、事前に確認しておきましょう。
- ご予約後、専用の容器をお渡しします。
- 痔で出血している時や月経のときは、便潜血検査が陽性になってしまうことがありますので、採便を控えるとよいでしょう。
- 日頃便秘がちの人は、5日くらい前から採便をしてください。
- 正確な検査を行うために、採便後の保管はなるべく冷暗所(冷蔵庫等)で行い、保存期間(採便から検査受付までの日数)はできるだけ短めにしてください。
- 検査の結果は、問診結果を参考に便潜血検査により診断され、約2〜3週間後に自宅へ郵送されます。
- 「精密検査が必要」と診断された場合でも、すぐにがんと決まったわけではありません。怖がらずに必ず精密検査を受けましょう。
検診の内容や料金、予約方法はがん検診などについてのページをご覧ください。
注目ポイント!
がん検診は、無症状の段階で疑いのある人も含めて、見つけ出すことが目的であり、その方法として免疫便潜血検査が、簡単で有効な検査法とされています。免疫便潜血検査は、便ががんやポリープなどの表面と接触することによってできた、目に見えない出血の有無を調べます。有効性が十分に証明されている検査方法です。
また、大腸がんは、他のがんに比べると治しやすいがんです。早期がんの段階で発見・治療すれば、治療後の経過(予後)は良好で5年生存率(診断から5年後に生存している割合)は90%以上といわれています。ポリープ内にごく早期の大腸がんがある場合には、内視鏡を見ながらポリープを切除するだけで完治することもあります。最近では早期がんでは、お腹を切らずに小さな穴を開けるだけで大腸が切除できる腹腔鏡(ふくくうきょう)手術も行われています。