公開日 2020年10月01日
更新日 2020年10月01日
任意の予防接種とは、法律に基づかない予防接種で、ワクチンの効果や副反応などについて、接種希望者が医師に相談して実施する予防接種です。費用は自己負担となりますので、詳細は医療機関にお問合せください。
主な任意の予防接種の種類と接種時期などは、下表のとおりです。
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ、ムンプス)
流行性耳下腺炎は、ムンプスウイルス感染により、耳下腺などの唾液腺が急に腫れてくることを特徴とする病気です。ヒト以外にムンプスウイルスの自然宿主が存在しないため、ワクチンによる感染防御効果が高い感染症です。
春から夏にかけて発生が多いとされていますが、1年を通じて発生します。幼児から学童に好発し、保育所・幼稚園・小学校などで集団発生を起こし、流行することが多くなっています。
合併症として、1,000人に1人の頻度で片側ないし両側の耳に難聴を発症するとされています。多くは高度の難聴として障害を残すことが多いといわれています。その他、髄膜炎の合併も珍しくないとされています。このように、重症化するのを防ぐためにも、予防接種は重要です。
【ワクチン】
生ワクチン
【対象年齢】
1歳以上
【接種回数】
1回(日本小児科学会は、1歳と小学校入学前1年間の2回接種を推奨しています。)
※生ワクチンのため、別の種類の予防接種を受ける場合、中27日以上接種間隔をあける必要があります。
【効果】
流行性耳下腺炎を予防します。流行性耳下腺炎のワクチンによる抗体陽転率は、1回接種で85%、2回目で95%とされています。
※流行性耳下腺炎のワクチンは、先進国を中心に多くの人がMMR(麻しん・流行性耳下腺炎・風しん混合)ワクチンとして接種を行っています。2009年時点、ワクチンを接種している118か国でワクチン接種が行われており、世界的に流行性耳下腺炎の発生件数が激減しており、流行を繰り返しているのは、エジプト、リビア以外のアフリカ諸国と日本を含む東アジア地域の一部の国だけに限られてきつつあります。
【副反応】
ワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発生率は0.03-0.06%(厚生労働省科学研究)と、決して低い率とはいえませんが、自然感染により発症する髄膜炎(1.24%)と比較すれば、ワクチンによりおたふくかぜを予防したほうが髄膜炎になるリスクは低いと考えられています。
【参考】
インフルエンザ
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することで発症する病気です。12月から3月にかけて毎年流行します。
38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛等全身の症状が突然現れます。併せて普通のかぜと同じように、のどの痛み、鼻汁、せき等の症状も見られます。多くは自然に治癒しますが、肺炎、気管支炎のほか、脳炎、心筋炎、中耳炎等の合併症を併発する場合があることも知られており、お子さんではまれに急性脳症を伴う等、重症になることがあります。
インフルエンザワクチンは、重症化や合併症の発生を予防する効果が証明されています。
【ワクチン】
不活化ワクチン
【対象年齢】
生後6か月以上
【接種回数】
13歳未満の場合:2回(2-4週間の間隔をおいて計2回)
13歳以上は1回
【効果】
インフルエンザウイルスの感染やインフルエンザの発症そのものを完全には防御できませんが、重症化や合併症の発生を予防する効果が証明されています。
【副反応】
主な副反応は、局所の発赤、腫脹、疼痛等です。
【参考】