公開日 2020年10月17日
更新日 2021年03月19日
平成28年8月9日
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)とは
流行性耳下腺炎は、耳下腺などの唾液腺が急に腫れてくることを特徴とする病気です。
春から夏にかけて発生が多いとされていますが、1年を通じて発生します。幼児から学童に好発し、保育所・幼稚園・小学校などで集団発生を
起こし、流行することが多くなっています。
流行性耳下腺炎の流行状況については、小樽市保健所ホームページ「感染症発生動向調査週報」を御覧ください。
感染経路と予防法
【原因】
ムンプスウイルス感染により耳下腺が腫脹する感染症です。
潜伏期間は主に16-18日(12-25日)とされています。
【感染経路】
飛沫感染(患者の唾液に含まれているウイルスがせき等で飛び散り、それを吸い込むことにより感染します。)
接触感染(感染者の手や触った物に触れ、その手で口や鼻を触ることにより感染します。)
【感染しやすい期間】
耳下腺などの唾液腺が腫脹する1-2日前から腫脹5日後までが最もウイルス排出量が多く、他への感染の可能性が高くなります。
※流行性耳下腺炎は、学校保健安全法の「第2類感染症」に定められています。
耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで出席停止とされています。
(ただし、病状により学校医その他の医師において感染の恐れがないと認められたときは、この限りではありません。)
⇒詳しくは、「保育所における感染症対策ガイドライン(2012年改訂版)(厚生労働省)」(外部サイト)、
「学校において予防すべき感染症の解説(平成30(2018)年3月発行」(文部科学省)(外部サイト)を御覧ください。
【予防法】
・ワクチンを接種しましょう。
・感染者との濃厚接触を避けましょう。
・手洗い、うがいを徹底しましょう。
・感染者とのタオルの共用は避けましょう。
・アルコールでこまめに消毒しましょう。(特に、子どもが使うおもちゃの消毒を念入りに行いましょう。)
おたふくかぜ(ムンプス)ワクチンについて
任意の予防接種なので、費用は自己負担となりますが、予防にはとても有効なワクチンです。
【接種対象】
1歳以上の方(集団生活に入る前にワクチンで予防しておくことを推奨します。)
【有効性】
接種後に流行性耳下腺炎にかかった者は、接種者のうちわずか1-3%程度であったとする報告があります。接種後、概ね90%前後が有効なレベルの抗体を獲得することができるとされています。
※患者と接触した場合の予防策として緊急にワクチン接種を行っても、発症を予防することは困難であるとされています。流行前に予防接種を済ませましょう。
【副作用】
接種後2週間前後に軽度の耳下腺腫脹と微熱がみられる者が数%いたとの報告があります。重要なものとしては、無菌性髄膜炎がありますが、約1,000-2,000人に1人の頻度といわれています。
以前には、ゼラチンアレルギーのある小児には注意が必要なワクチンとされていましたが、各ワクチンメーカーの努力により、ムンプスワクチンからゼラチンは除かれるか、あるいは低アレルゲン性ゼラチンが用いられるようになり、ゼラチンアレルギー児に対しても安全に接種が行われるようになりました。
症状と治療
【症状】
全身の感染症で、発熱することがありますが、耳下腺の腫脹が主症状で、顎下腺なども腫れます。(乳児や年少児では、感染しても症状が現れないこともあります。)腫れは2-3日でピークに達し、3-7日間、長くても10日間で消えます。痛みを伴い、酸っぱいものを飲食すると強くなります。
約100人に1人が無菌性髄膜炎を、500-1,000人に1人が回復不能な片側性の難聴を、3,000-5,000人に1人が急性脳炎を併発するとされています。
【症状がある場合の対応】
・マスクを着用しましょう。
・医療機関を受診し、自宅で安静にしましょう。
【治療】
流行性耳下腺炎およびその合併症の治療は、基本的に対症療法です。発熱などに対しては鎮痛解熱剤の投与を行い、髄膜炎合併例に対しては安静に努め、脱水などがみられる症例では輸液の適応となります。