公開日 2020年12月08日
更新日 2023年12月13日
カラスは、ごみ置き場や家庭菜園を荒らし、生活を営む中では厄介者として嫌われる反面、最も身近な鳥の一種でありながらその習性についてはあまり知られていません。カラスは、主に雑食であり、路上に落ちているごみや動物の死がいを食べてくれる掃除屋でもあるため、カラスをむやみに恐れ、忌み嫌うだけでなく、その習性を知ることも大切です。
小樽市内でみられるカラスの種類
ハシブトガラスとハシボソガラス
小樽市内でよく見かけるカラスには、ハシブトガラスとハシボソガラスの2種類がいます。
カラスの寿命は10年から20年といわれ、秋と冬に集団でねぐらをつくります。早朝からえさを探し、暗くなるとねぐらへ帰ります。春になると繁殖期を迎え、安定した高所に巣をつくり、卵を産み、20日前後でヒナがかえり、1か月ほどで巣立ちます。一度に3個から5個の卵を産むといわれています。
また、カラスは賢く、小学校低学年並みの知能を持つといわれています。
種類 | ハシブトガラス | ハシボソガラス |
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見た目 |
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特徴 |
・くちばしが長く太く、アーチ状 ・飛び跳ねながら歩く |
・くちばしが細く直線的 ・両足を交互に出して歩く ・ハシブトガラスより少し小柄 |
鳴き声 | 澄んだ声(カァー、カァー) | 濁った声(ガァー、ガァー) |
性格 | 神経質で攻撃的 | おとなしく、あまり人を襲わない |
生息場所 | 市街地や林を好む | 農耕地など郊外を好む |
食性 | 雑食性(樹木の種子、肉類) | 雑食性(農作物、昆虫) |
えさの食べ方 | 安全な場所へ運んでから食べる | その場で食べる |
カラスの繁殖期について
カラスの巣づくり
4月になると、カラスは自分の縄張りに番(つがい)で巣をつくり始めます。木の枝や針金ハンガーなどですり鉢状の巣を組み、メスが巣に入って産卵し、ヒナを育て、7月頃には幼鳥が巣立ちの時期を迎えます。この期間、カラスは神経質になり、巣や幼鳥の近くを通る人を敵とみなして威嚇します。
カラスの威嚇行動は段階的に行われ、まずは大きな声で鳴き続け、木や電線を執拗につついたり、木の枝や葉を折ったりします。最終的には、背後から低空飛行をしたり、後頭部を蹴ったりします。くちばしでつつかれたという話をよく聞きますが、そうするとカラスの首が折れる可能性があるため、くちばしで襲うことはしません。威嚇行動に気付いたら、速やかにその場を離れて、縄張りを迂回するようにしましょう。カラスの縄張りは20mから100mほどといわれています。
巣をつくらせないためには
市では、個人や会社の敷地内にできた巣を撤去しません。庭木などが敷地内にある場合には、カラスが巣をつくれないように、できるだけ枝が三つ又にならないように剪定をしましょう。自分で剪定できない場合は、造園業者に相談したり、木にテグスを張り巡らせたりするのも効果的です。また、巣づくりに利用される針金ハンガーなどを外に放置しないようにしましょう。
カラスにエサを与えない
カラスがなぜ市街地で巣をつくるのか。それはえさを容易に確保できるからです。ごみの出し方が悪かったり、屋外でペットにえさやりをしたりすると、カラスはそれを逃しません。
収集日当日の決められた時間にごみを出し、カラスがごみネットをめくらないようにしっかり固定し、ごみの飛散を防止することによってえさが食べられなくなり、カラスは別の場所でえさを探すことになります。
えさやりをすると人への警戒心が薄れ、追い払っても逃げなくなり、周辺に寄りつくことにもなりかねません。より激しい威嚇行動につながることになります。犬や猫、ハト等にえさをやっているつもりでも、カラスも混じってえさを食べます。動物へのえさやりは絶対にやめましょう。
カラスの威嚇行動から身を守る
カラスの威嚇行動は、そのほとんどが巣や幼鳥から人を遠ざけることが目的です。巣に卵やヒナがいる場合は追い払うために、低空飛行を繰り返したり、後頭部を襲撃してきたりします。
威嚇行動が激しい場所では、傘を差すことが有効です。カラスは人の視線を嫌がるため背後から攻撃してきますが、傘で後頭部を隠すことで、身体から遠い所を低空飛行で威嚇することしかできなくなります。このことによって、驚いて転倒する危険を防ぐこともできます。
もし傘を持っていない場合は、両手や片手を真上に挙げることで、後頭部の襲撃を防ぐことができます。これは羽が傷つき、飛べなくなることをカラスが嫌がるからです。
また、特に注意が必要なのが、巣から卵やヒナが落ちたり、ヒナが巣立って幼鳥になったけれど、枝渡りをして飛行訓練をしている最中に地面に降りてきてしまい、高所に戻ることできなかったりする場合です。親鳥も驚いてしまい、必死に幼鳥を守ろうとするため、威嚇行動が激しくなります。
その際は、卵やヒナ、幼鳥をその場から取り除くことで、守る対象をなくし、子育てをあきらめさせて威嚇を防ぐことができます。そのような場面に出会ったら、下記まで御連絡ください。小樽市長(担当課:農林水産課)の許可を得た者が鳥獣保護区で卵を埋設、幼鳥を放鳥します。小樽市内の鳥獣保護区は旭町、赤岩、天神にあります。
カラスを挑発しない
威嚇行動をするカラスに傘や棒を振り回して追い払ったり、カラスや巣に石を投げて驚かしてやったりしたという話をよく聞きますが、これは逆効果です。カラスは自分に危害を与える相手だと認識すると、その相手の特徴を覚え、その本人や似たような背格好の別人に対しても、しつこく威嚇してくる場合があります。
カラスは鳥獣保護管理法によって守られた野鳥です。むやみに殺傷すると罪に問われることにもなりますので、絶対にやめましょう。
カラスと共存していくために
人間社会のカラスは、生態系の中で多くの生き物に対して捕食者としての役割をしています。その結果、特定の動物が増えるのを抑制していると考えられています。また、他に木の実を食べて運び、種子を落とすことで種子を散布し、植物の繁栄に貢献しています。
気味が悪い、恐いというだけで嫌うのではなく、その習性を知り、有効な自己防衛対策をしながら、共存していくことが大切です。