公開日 2021年01月05日
更新日 2021年03月19日
性器クラミジア感染症とは
性器クラミジア感染症は、わが国で最も多い性感染症です。主として性行為または類似の行為により感染します。
性器クラミジア感染症の原因菌である、クラミジア・トラコマチスの感染は、男女とも性的活動の活発な若年層に多く、特に女性でその傾向が目立っています。最近では初交年齢の低下に伴って、10代の女性の感染率の高さが将来の不妊につながるとして憂慮されています。女性では感染を受けても自覚症状に乏しいため、診断治療に至らないことが多く、無自覚のうちに男性パートナーや出産児へ感染させることもあるので、注意が必要です。
国内の性器クラミジア感染症報告数の年次推移については、厚生労働省ホームページ「性感染症報告数」(外部サイト)を御覧ください。
感染経路と予防法
【原因】
クラミジア・トラコマティスという菌(以下、クラミジアとする。)が引き起こす病気です。
潜伏期間は1-3週間ですが、男性の尿道炎でも症状は弱く、半数が気付かないまま保菌しています。女性でも7-8割が子宮頸管炎の状態では気付かず、腹膜炎症状で発症することも少なくありません。症状がないままに卵管癒着等が起こり不妊症の原因となることもあります。
【感染経路】
主な感染経路は、感染部位と粘膜や皮膚の直接の接触です。具体的には、性器と性器、性器と肛門(アナルセックス)、性器と口の接触(オーラルセックス)等が原因となります。
※性器にクラミジアをもっている人の10-20%で、口腔内にもこれらの菌が認められることが知られており、オーラルセックスによる咽頭への感染も少なくないことが報告されています。
性交渉の際にオーラルセックスを行うカップルは特に若い世代に多く、調査の結果では7割以上で行われており、その際にコンドームを使用するのは2割程度という調査報告があります。このため、オーラルセックスにより性感染症が拡がることが懸念されています。
【予防法】
感染部位と粘膜や皮膚が直接接触をしないように、コンドームを使用することが勧められます。ただし、コンドームが覆わない部分の皮膚などでも感染がおこる可能性があるため、コンドームを使用しても、100%予防できると過信はせず、皮膚や粘膜に異常があった場合は性的な接触を控え、早めに医療機関を受診して相談しましょう。
※オーラルセックス時もコンドームを使用しましょう。(女性の場合、コンドームを切り開いて使う方法、デンタルダムを使用する方法があります。)
※クラミジアに感染していることが分かった場合は、医師が安全と判断するまで、性交渉等の感染拡大につながる行為はひかえましょう。
※感染した人の血液中には、一定の抗体がありますが、再感染を予防できるわけではありません。このため、適切な予防策(コンドームの使用、
パートナーの治療等)が取られていなければ、再びクラミジアに感染する可能性があります。完治しても、再感染の予防が必要です。
クラミジアに感染していても、検査をできるだけ早く受けて感染を知り、医療機関で適切な治療を受けることで、深刻な症状に進行するのを防ぐことができ、周りの人への感染を防ぐことができます。クラミジアについての正しい知識を得て、早期発見・早期治療に結びつけましょう。
HIV及び性感染症の検査
小樽市では、HIV抗体検査及び性感染症検査(梅毒・クラミジア・B型肝炎・C型肝炎)を無料で行っています。詳細については、小樽市保健所ホームページ「HIV/エイズについて」を御覧ください。
※ただし、HIV抗体検査を主体とした検査のため、性感染症検査のみの御予約は受け付けておりませんので、御了承ください。
症状と治療
【症状】
男性では、尿道から感染して急性尿道炎を起こします。更に、前立腺炎、精巣上体炎を起こすこともあります。
女性では、子宮頚管炎を起こし、その後、感染が子宮内膜、卵管へと波及し、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤内炎症性疾患、肝周囲炎を起こします。
※男女とも、症状が軽く自覚のないことも多いので、注意が必要です。
子宮外妊娠、不妊、流早産の誘因ともなります。妊婦が感染している場合には、主として産道感染により、新生児に封入体結膜炎を生じさせることがあります。また、1-2か月の潜伏期を経て、新生児、乳児の肺炎を引き起こすことがあります。
【治療】
早期の薬物治療で完治が可能です。一般的には、外来で処方された抗菌薬を内服することで治療します。
※医師が治療を終了とするまでは、処方された薬は確実に飲みましょう。時に無症状になりながら進行するため、治ったことを確認しないで途中で
治療をやめてしまわないようにすることが重要です。
※男女間でお互いに感染させる「ピンポン感染」が多いことが知られています。周囲で感染の可能性がある方(パートナー等)と一緒に検査を行い、必要に応じて、一緒に治療を行うことが重要です。
関連リンク
医療機関の皆様へ
性器クラミジア感染症は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)において、5類感染症として性感染症定点からの報告が義務付けられています。指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が性器クラミジア感染症患者を診断した場合、届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならないとされていますので御協力をお願いいたします。
届出基準及び届出票については、厚生労働省ホームページ「性器クラミジア感染症」(外部サイト)を御覧ください。