公開日 2021年02月16日
更新日 2025年01月27日
令和2年6月5日に、建築物等の解体等工事における石綿(アスベスト)の飛散防止を徹底するため、「大気汚染防止法の一部を改正する法律(令和2年法律第39号。以下、「改正法」という)」が公布されました。
改正法は、令和3年4月1日から順次施行されます。
改正法の詳細については、環境省ホームページ「改正大気汚染防止法について」(外部サイト)をご覧ください。
目次
1.大気汚染防止法の改正の概要について
(1)規制対象建材の拡大(レベル3建材の追加)について
(2)レベル3建材の作業基準について
(3)発注者への作業結果の報告について
(4)下請負人の責務について
(5)直接罰の創設について
(6)事前調査の方法の法定化
(7)事前調査結果の市への報告について
(8)有資格者等による事前調査について
(9)その他の改正内容
2.施行時期のまとめ
3.関係法令・環境省告示等
4.関連情報
1.大気汚染防止法の改正の概要について
建築物等の解体等工事における石綿の飛散防止を強化するため、下記のとおり、規制対象建材の拡大、事前調査の強化、作業基準の強化など、特定粉じん排出等作業に係る内容が改正されます。
(1)規制対象建材の拡大(レベル3建材の追加)について(令和3年4月1日から開始)
改正法では、いわゆるレベル3建材(石綿含有成形板等)を含むすべての石綿含有建材に規制対象が拡大され、作業基準が適用されます。
なお、レベル3建材の除去作業については、特定粉じん排出等作業実施届出書の提出は不要ですが、作業計画の作成は必要となります。
建材 |
レベル3建材(石綿含有整形板等) |
---|---|
項目 |
作業基準 作業実施届出書 |
改正前 | なし 不要 |
改正後 |
あり 不要※1 |
※1 レベル3建材は、特定粉じん排出等作業実施届出書の提出は不要ですが、作業計画の作成は必要であり、立入検査時に作業計画に照らして、現場の作業方法の確認、指導等を行うこととなります。
(2)レベル3建材の作業基準について(令和3年4月1日から開始)
従来は、レベル1建材(吹付け石綿)及びレベル2建材(石綿含有断熱材等)についてのみ作業基準が設けられておりましたが、法改正により、レベル3建材を含むすべての石綿含有建材の除去作業に作業基準が適用されます。
また、石綿含有仕上塗材については、吹付け、ローラー塗等の施工方法によらず、レベル3建材として扱うこととなりました。※2
レベル3建材の作業基準については、下記に記載している作業基準を遵守して除去等作業を行うか、又はこれと同等以上の効果を有する措置を講じることとされております。
・石綿含有成形板等(成形板、セメント管、押出成形品など)を除去する作業
イ)切断や破砕等をせずに原形のまま(手ばらしで)取り外すこと。
ロ)手ばらしが技術上困難な場合は、湿潤化してから除去すること。
ハ)ケイ酸カルシウム板第1種を手ばらしすることが困難な場合は、湿潤化に加えて周辺を養生すること。※3
・石綿含有仕上塗材を除去する作業
イ)薬液等により、湿潤化すること。
ロ)電気グラインダー等の電動工具で除去する場合は、湿潤化に加えて周辺を養生すること。※3
※2 石綿含有吹付けパーライト及び石綿含有吹付けバーミキュライト(ひる石)は、従前のままレベル1建材に該当します。
※3 養生については、作業場所をプラスチックシート等で囲うことを指し、負圧管理までは要しません。
(3)発注者への作業結果の報告について(令和3年4月1日から開始)
元請業者は、アスベスト除去作業が適切に行われているかを確認し、その結果を発注者に書面で報告するとともに、作業記録等を3年間保存することが義務付けられます。
(4)下請負人の責務について(令和3年4月1日から開始)
元請業者だけでなく、下請負人も作業基準の遵守が義務付けられます。また、隔離等をせずに吹付け石綿等の除去作業を行った場合、直接罰の適用対象となります。
(5)直接罰の創設について(令和3年4月1日から開始)
隔離等をせずに吹付け石綿等の除去作業を行った場合、3か月以下の懲役または30万円以下の罰金となることがあります。
(6)事前調査の方法の法定化(令和3年4月1日から開始)
事前調査の方法については、書面による調査及び目視による調査が法定化されました。※4、※5
書面による調査及び目視による調査を行った上で、当該解体等工事が特定工事に該当するか否かが明らかにならなかったときは、分析による調査が必要となります。
※4 現行においても、レベル3建材を含め事前調査は必要です。
※5 平成18年9月1日以後に設置の工事に着手したことが、書面等により明らかな建築物等は、事前調査不要となります(一部のガスケット及びグランドパッキンを設置したものを除く)。
(7)事前調査結果の市への報告について(令和4年4月1日から開始)
元請業者は、一定規模以上等の解体等工事(※6)については、アスベストの有無に関わらず、事前調査結果を小樽市に報告することが義務付けられます。
建築物等の構造上、解体等工事に着手する前に目視することができない場所があった場合についても、目視が可能となった時点で再度調査を行い、報告を行う必要があります。
※6 報告対象の要件
・延床面積が80平方メートル以上の解体工事
・建築物の改造、補修工事であって、請負代金の合計が100万円以上のもの
・工作物(環境大臣が定めるものに限る)の解体、改造、補修工事であって、請負代金の合計が100万円以上のもの
(8)有資格者等による事前調査について(令和5年10月1日から開始)※特定工作物は令和8年1月1日から
建築物等の事前調査は「建築物石綿含有建材調査者」等の「必要な知識を有する者」(※7)が行わなければなりません。
※7 「必要な知識を有する者」
・一般建築物石綿含有建材調査者
・特定建築物石綿含有建材調査者
・一戸建て等石綿含有建材調査者
・これらと同等以上の能力を有すると認められる者(一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録されている者)
・工作物石綿含有建材調査者
(9)その他の改正内容(令和3年4月1日から開始)
・レベル1,2建材の作業基準の一部
・事前調査結果等の記録の作成・保存、掲示の方法
・集じん・排気装置の正常な稼働の確認方法
・元請業者の下請負人への指導
・作業完了の確認など
2.施行時期のまとめ
令和3年4月1日施行
・規制対象建材の拡大(レベル3建材の追加)
・レベル3建材の作業基準
・事前調査の方法の法定化(図書による調査及び目視確認、または分析による調査)
・事前調査結果等の記録の作成・保存、掲示の方法
・下請負人の責務(作業基準の遵守義務)
・発注者への作業結果の報告
・隔離等をせずに吹付け石綿等の除去作業を行った場合の直接罰
・レベル1,2建材の作業基準の一部
・集じん・排気装置の正常な稼働の確認方法
・元請業者の下請負人への指導
・作業完了の確認
令和4年4月1日施行
・事前調査結果の市への報告(アスベストの有無に関わらず)
令和5年10月1日施行
・有資格者等による事前調査
令和8年1月1日施行
・有資格者等による事前調査(特定工作物)
3.関連情報
大気汚染防止法関係
- 改正大気汚染防止法について(環境省ホームページ)(外部サイト)
- 北海道アスベスト情報(北海道ホームページ)(外部サイト)
- 目で見るアスベスト建材(国土交通省資料)[PDF:2.53MB]
- 【法改正説明動画】大気汚染防止法及び政省令の改正について(外部サイト)
- 【法改正説明資料】大気汚染防止法及び政省令の改正について[PDF:3.66MB]
石綿障害予防規則関係