【2012年度】過去の特別展、企画展

公開日 2021年06月27日

更新日 2021年08月26日

心の原風景-風土への賛辞 木嶋良治展

趣旨

 故郷小樽やオホーツク沿岸の海辺など、北海道風景を中心に「北方性」と「雪」をテーマとして描き続けてきた木嶋良治。

 その作品のなかで、特に小樽運河は大学入学前に結核で胸を病み休学中に観察を重ね、その時代脳裏に焼き付けた風景が制作の強い動機となっています。

 本展では、簡潔な構成と詩のような叙情性をあわせもつ独特の風景画を確立した木嶋良治の世界を紹介します。

会期

 平成24年5月26日(土)から平成24年7月29日(日)まで

 

心の原風景-海への回帰阿部典英展

趣旨

 美術家・阿部典英は、高校生のときに在籍した書道部で才能を開花させ、のちに書から絵画、やがて立体へと移行していくなかで、常に時代をリードする活動の先端に立ち、数々のグループ展、国際展を組織していますが、その第一線での活躍が評価され、2011(平成23)年には北海道文化賞を受賞しています。

 阿部典英の作品の多くは海の生き物から造形要素を抽出していますが、少年時代に疎開した島牧村の海に支えられた生活に原風景があり、現在は同じ後志地方である小樽市にアトリエを構えており、創作活動は海への回帰といえるでしょう。

 本展では、阿部典英が生まれ育った証としての海に敬意を込めた作品群とともに、代表作「ネエダンナサン」シリーズから創作の原点を探っていきます。

会期

 平成24年8月4日(土)から平成24年9月17日(日)まで

 

疾走するストローク輪島進一展

趣旨

 函館生まれの輪島進一は、20歳代半ばから独立展で華々しい受賞歴を飾り、安井賞展には4度選抜された実力画家です。

 連続する動きを一つの場面の中に収める独特の表現方法は、独立展において奨励賞・50周年記念賞・新人賞・小島賞・高畠賞・独立賞などの受賞歴にあるように、高い評価を受けてきました。

 北海道教育大学特別教員養成課程(美術・工芸)を卒業後現在に至るまで、高校・大学で教鞭を執ってきた輪島は、自らの制作と並行して、美術鑑賞と表現には認知科学の一領域としての視点が重要であると考え、独自に研究を進めました。近年は児童画などに見られる自動筆記(スクリブル)を作品に取り入れています。

 輪島はイメージを望んだとおりに表現できる卓越した描写力を備えているとともに、「絵画とは、ひとつひとつ描いた時間(タッチ)が絵を形成する」と考え、時間表現を作品のテーマにしてきました。1980年代には現代人の姿を通して、消費を美徳とする経済優先の社会風潮へ痛烈な批判を投げかけ、その後バレリーナの舞台裏に取材し、ムーブマンのある独特の美の世界を獲得しました。静止しているはずの平面絵画に無限に続く時の流れを描きつつ、なぜかそこに描かれる世界は生と死の重さを背負っているように感じます。また、2011年の震災後、輪島はまた新たな創作を開始しようとしています。

 本展では、洋画家・輪島進一の初期から最近作までの油彩を、主に独立展出品作でたどり、その独創的な絵画の世界を展覧するものです。

会期

 平成24年10月27日(土)から平成24年12月16日(日)まで

 

共同企画展「銀河鉄道の夜」〜KAGAYA幻想の世界〜

趣旨

 北海道で最初の鉄道である幌内鉄道は、明治13(1880)年にまず手宮-札幌間が開通し、明治15(1882)年には手宮-幌内間の全線が開通しており、今年は全線開通から130周年の節目の年になります。

 美術館のすぐ横には、北海道の鉄道のゼロマイルポイントの手宮と南小樽を結ぶ旧手宮線の鉄路が今も残っていることから、幌内鉄道全線開通130周年を記念して、鉄道・天文・文学に関係の深い宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をテーマに、文学館との共同企画展を開催します。

 美術館では、プラネタリウム番組「銀河鉄道の夜」が小樽市総合博物館ほか全国各地のプラネタリウムで上映され、平成22年には総観覧者数が100万人を超えるなど、宇宙と神話の世界を描くデジタルグラフィックアーティストとして人気の高いKAGAYA(かがや)の「銀河鉄道の夜」のデジタルペインティング作品を中心に展覧会を構成します。

会期

 平成24年12月22日(土)から平成25年3月17日(日)まで

 

新収蔵・小樽美術の流れと現況

趣旨

 小樽では大正期から工藤三郎・三浦鮮治・兼平英示などが指導者となり、「小樽派」と呼ぶにふさわしい独特の画風を見せていましたが、数多くの画家がこの恵まれた土壌に生まれ、彼らの知遇を得て励まされながら育っていることから、小樽は北海道美術の原点として親しまれています。

 三浦鮮治が道内でもいち早く絵画研究所を開設し、公募展「太地社」を開催するなど活発な動きを見せた美術先進地の小樽に、故郷ゆかりの美術作品を収集・展示する美術館の存在が求められたのはごく自然な流れだったともいえますが、当美術館は政治主導ではなく市民運動の結果として生まれた美術館であり、2,000点を超える膨大なコレクションのほとんどが作家本人、作家のご遺族、コレクターの方々などのご寄贈により形成され、近年ますます充実した内容になっています。

 本展では、平成23・24年度の100点を超える大型寄贈のなかから、大正期から現在に至るまでの、北海道における洋画の原点である小樽にゆかりのある画家たちの絵画世界を展覧します。

(展示作家(予定):工藤三郎・三浦鮮治・兼平英示・渋谷政雄・谷吉二郎・大月源二・笹沼浩平・富樫正雄・国松登・加藤一豊・鈴木伝・宮川魏・伊藤正・豊島輝彦・鵜沼人士・木嶋良治・鶴山好一・中島光榮・山田芳生)

会期

 平成25年3月23日(土)から5月6日(月)まで

お問い合わせ

教育委員会教育部 市立小樽美術館
住所:〒047-0031 小樽市色内1丁目9番5号
TEL:0134-34-0035
FAX:0134-32-2388
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