公開日 2025年12月07日
更新日 2025年12月07日
生誕130年坂西志保展ー小樽から世界へ、民主主義を伝えた知の架け橋ー

坂西志保(1896-1976)は、小樽出身の国際的な学者・評論家です。
父は塩谷村伍助沢の櫻井農園に入植した坂西傳明で、志保は、キリスト教信者であった父の影響で幼少期に洗礼を受けました。
満8歳で塩谷簡易教育所伍助沢分校に入学し、その後、小樽初の女学校であった静修女学校(クララ・ロース設立)に進学しました。やがて単身上京し、捜真女学校英文科を経て、東京女子大学に入学。大正11年(1922)にアメリカ・マサチューセッツ州のウィートン大学(Wheaton Collage)に留学。当初は2年ほどの滞在予定でしたが、関東大震災の報を知り、帰国を断念。奨学金を得てミシガン大学大学院で学び、博士号を獲得します。
日本の女性で、文系で学び博士号を得た例はこれが初めてでした。のち、アメリカの国立議会図書館に勤務し、まもなく課長に就任。日本文化に関する書籍・資料の収集と編纂に当たりました。この時期、石川啄木の『一握の砂』や与謝野晶子の『みだれ髪』、狂言の演目等を英訳して、日本文化の紹介に努めました。
日本人として、また女性として輝けるキャリアの道を歩いた志保でしたが、急転直下、真珠湾攻撃の当日にFBIにスパイ容疑で連行され、移民局の施設に収容されてしまいます。
翌年、日本へと強制送還されてからは、外務省の嘱託やNHKの論説委員として働いたものの、今度は〈親米の危険分子〉と疑われて憲兵にマークされ続けました。そのような波乱の時期を経験した志保でしたが、戦後はその優れた翻訳能力を買われて、GHQ民政局長のホイットニー少将から直接の協力要請を受け、GHQに一時勤務。その後は評論家として日本にアメリカの民主主義の真髄を伝えるべく、言論活動を展開。その、歯に衣を着せない切れ味の良い考察は、一般書として数多く刊行されただけではなく、『暮らしの手帖』などの家庭向け雑誌にも発表され、戦後の日本人に広く享受されました。
今回の展示では、坂西志保の人生とその業績について、その著作を中心にご紹介したいと思います。
主催:市立小樽文学館
後援:小樽文學舎
協力:小樽観光ガイドクラブ、大磯町立図書館、公益財団法人国際文化会館図書室、国際交流基金ライブラリー、学校法人小樽シオン学園ロース幼稚園、北海道大学付属図書館、市立小樽図書館、The Japan Times、一般社団法人全国地方銀行協会
会期
2025年12月13日(土)~2026年3月22日(日)
休館日
月曜日(1/12、2/23は開館)、年末年始(12月29日~1月3日)、1月13日(火)、1月14日(水)、2月12日(木)、2月24日(火)、2月25日(水)
開館時間
午前9時30分~午後5時(最終入館は午後4時30分)
文学館入館料
※令和7年1月より、市立小樽文学館の入館料についてはキャッシュレス決済が利用できるようになりました。利用できるキャッシュレス決済の種類や注意事項など詳しくはこちらをご覧ください。
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入館者区分 |
普通入館料(文学館のみご覧になれます) |
共通観覧料(文学館と美術館の両方をご覧になれます) |
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| 一般 |
300円(240円) |
800円(640円) |
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高校生 市内にお住まいの70歳以上の方 |
150円(120円) |
400円(320円) |
| 中学生以下と障がい者(注) |
無料 |
無料 |
※共通観覧料は美術館観覧料の変更に伴い変動します。
※()は20名様以上の団体料金です。
※(注)障がい者:身体障害者手帳、療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方、およびその介護者の方
関連イベント
連続講座「坂西志保をもっと知ろう!」
【第1回 坂西志保に学ぶ民主主義】
日時:2026年3月1日(日) 午後2時から4時
講師:山川隆(小樽観光ガイドクラブ顧問)
会場:文学館1階研修室
料金:無料
定員:40名
お申込み:小樽文学館へ電話(0134-32-2388)またはLogoフォーム〈「坂西志保に学ぶ民主主義」申込フォーム〉より
【第2回 日本の危機を救った坂西志保の啄木翻訳】
日時:2026年3月8日(日) 午後2時から4時
講師:亀井志乃(市立小樽文学館 館長)
会場:文学館1階研修室
料金:無料
定員:40名
お申込み:小樽文学館へ電話(0134-32-2388)またはLogoフォーム〈「日本の危機を救った坂西志保の啄木翻訳」申込フォーム〉より