レジオネラ症および浴槽水などの水質基準について

公開日 2020年10月03日

更新日 2021年03月11日

平成14年7月に宮崎県内の入浴施設において、レジオネラ属菌に感染する事故が発生しました。この集団発生以降も、温泉施設、客船などで感染事例が発生しています。
レジオネラ症の発生防止のためには、入浴施設などにおいて循環ろ過装置などの衛生管理の徹底が必要です。
ここで、レジオネラ症および浴槽水などの水質基準についての概要を御紹介します。

1.レジオネラ症とは

レジオネラ症は、レジオネラ属菌による感染症で、2種類の病型があります。

1つは肺炎型のもので潜伏期2〜12日、全身倦怠感・筋肉痛・咳・呼吸困難などの症状があらわれます。もう1つは非肺炎型のもので、風邪の症状に似ており自然に治る場合が多くどちらも人から人へは感染しません。

2.感染源

原因菌であるレジオネラ属菌は、土壌や河川、湖沼などの自然界に生息している場合は、特別に増殖することはありませんが、アメーバなどの原生動物に寄生し、20〜50℃の生息条件が整うことにより増殖します。衛生管理がされていない循環式浴槽水などでレジオネラ属菌が増殖し感染源となる場合が多いです。

3.防止対策

浴槽や配管の内壁では、アメーバなどによりぬめり(生物膜)ができやすくなります。レジオネラ属菌はこのアメーバなどに寄生し増殖します。このため入浴施設において、ろ過装置や配管の定期的な洗浄が大切です。またレジオネラ属菌には塩素が有効ですが、大腸菌のように速効性はないといわれています。日常の浴槽などの洗浄が不十分な場合、塩素消毒を行っても効果が表れないため、定期的な浴槽の清掃だけでなく、配管も含めた洗浄消毒が必要となります。また気泡風呂・打たせ湯・露天風呂などでは、感染の機会が多いといわれていますので注意が必要です。

 

※温泉を使用している場合、泉質により塩素の効果が弱まることがあります。レジオネラ属菌の検査により殺菌効果を確かめ、必要に応じて遊離残留塩素濃度をやや高めに設定すること(例えば0.5〜1.0mg/Lなど)で十分な配慮をしてください。

4.公衆浴場における水質基準

公衆浴場において使用する水の水質基準は、次のとおり厚生労働省により指針が示されております。

 

基準一覧
原湯、原水、上がり用湯及び上がり用水の水質基準
●色度は、5度以下であること。
●濁度は、2度以下であること。
●pH値は、5.8以上8.6以下であること。
●有機物(全有機炭素(TOC)の量)は3mg/L以下、又は、過マンガン酸カリウム消費量は10mg/L以下であること。
●大腸菌は検出されないこと。
●レジオネラ属菌は、検出されないこと(10cfu/100mL未満)。
浴槽水の水質基準
●濁度は、5度以下であること。
●有機物(全有機炭素(TOC)の量)は8mg/L以下、又は、過マンガン酸カリウム消費量は25mg/L以下であること。
●大腸菌群(グラム陰性の無芽胞性の桿菌であって、乳糖を分解して、酸とガスを形成するすべての好気性又は通性嫌気性の菌をいう。)は、1個/mL以下であること。
●レジオネラ属菌は、検出されないこと(10cfu/100mL未満)。

また、旅館についても、この基準に適合するよう水質を管理することとされています。

5.水質検査

厚生労働省による「公衆浴場における衛生等管理要領等について」では、ろ過器を使用していない浴槽水と毎日完全に換水している浴槽水は1年に1回以上、連日使用している浴槽水は1年に2回以上(浴槽水の消毒が塩素消毒でない場合には、1年に4回以上)水質検査を行い、その結果は検査の日から3年間保管することとされています。

6.レジオネラ症が疑われた場合

レジオネラ症は感染性疾患ではありませんが、一つの感染源から複数の人が感染するという特徴があります。施設内でレジオネラ症と疑われる患者が発生した場合は、新たな感染者が発生しないよう対処する必要があります。そのため施設の管理責任者は、原因と考えられる設備の使用を停止して、その現状を保持したまま、速やかに保健所に連絡し、原因究明の協力をするようにしてください。

7.参考

お問い合わせ

保健所 生活衛生課
住所:〒047-0033 小樽市富岡1丁目5番12号
TEL:0134-22-3118
FAX:0134-22-1469
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