公開日 2020年09月30日
更新日 2023年08月03日
食品の表示は、消費者が食品を購入するとき、正しく食品の内容を理解し、選択したり、適正に使用したりするうえでの重要な情報源となります。
具体的な表示のルールは、食品表示基準に定められており、食品の製造者、加工者、輸入者又は販売者に対しては、食品表示基準の遵守が義務付けられています。
食品表示の基礎知識
ここでは食品表示法に定められた「一般加工食品」の表示について主な表示事項を解説します。
表示例
表示事項
表示事項 | 内容 | 分類 |
---|---|---|
1名称 |
その商品の内容を表す一般的な名称を記載します。 |
品質事項 衛生事項 |
2原材料名 |
使用した原材料を原材料に占める重量の割合の高いものから順に記載します。2種類以上の原材料からなる複合原材料を使用する場合は、その複合原材料名の後ろに括弧を付け、複合原材料中の重量割合の高いものから順に記載します。 |
品質事項 |
3添加物 |
使用した添加物を添加物に占める重量の割合の高いものから順に、原材料名と明確に区分して記載します。栄養強化目的、加工助剤、キャリーオーバーは除きます。 |
衛生事項 |
4アレルゲン |
特に症例数や重篤度の高い8品目(特定原材料)「えび、かに、くるみ(※)、小麦、そば、卵、乳、落花生」を含む食品にはアレルゲンの表示が義務付けられています。特定原材料に準ずるものとして20品目の表示が推奨されています。( 詳細はこちら )原則、原材料名の直後に括弧をつけ、特定原材料を含む旨を記載しますが、原材料の最後に一括して記載することも可能です。特定原材料由来の添加物の場合は添加物の直後に括弧をつけ、特定原材料に由来する旨を記載します。 ※食品表示基準の一部改正により、令和5年3月9日から、特定原材料に「くるみ」が追加されました。経過措置期間として、令和7年3月31日までに製造され、加工され、又は輸入される加工食品(業務用加工食品を除く。)及び同日までに販売される業務用加工食品については、改正後の規定にかかわらず、従前の例によることができます。 |
衛生事項 |
5遺伝子組換え食品 |
「大豆、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤ、からしな」の9農産物(対象農産物)およびそれを原材料とした「33加工食品群(※)」が表示義務対象です。(※「33加工食品群」は食品表示基準の別表第17に定めれています。詳しくは消費者庁ホームページ「食品表示法等(法令及び一元化情報)(外部サイト)」を確認してください。) 最終製品が「33加工食品群」に該当する場合、最終製品の原材料のうち、主な原材料(※)となる対象農産物又はこれを原材料とする加工食品について遺伝子組換えに関する表示義務があります。対象農産物又はこれを原材料とする加工食品に使用された対象農産物が、遺伝子組換えされた農産物である場合、または生産流通段階で遺伝子組換えと非遺伝子組換えを分別していない農産物である場合は、その旨を記載します。なお、最終製品の原材料のうち、主な原材料(※)ではないものについては遺伝子組換えに関する表示義務はありません。【例:ばれいしょ(遺伝子組換え)】 (※主な原材料とは、使用した原材料の重量に占める割合の高い原材料の上位3位以内のもので、かつ、原材料及び添加物の重量に占める割合が5%以上であるものをいいます。以下、この欄において同じ意味です。) また、以下の1~3にある、従来のものと組成・栄養価等が著しく異なる遺伝子組換え食品は、その対象農産物について、「特定の形質の遺伝子を組み換えた旨」を記載、また意図的に従来農産物と混合している場合は「特定の形質の遺伝子を組み換えたものを混合している旨」を記載します。【例:食用大豆油(大豆(ステアリドン産産生遺伝子組換えのものを混合))】
※遺伝子組換え食品に関する事項ついてはこの欄に記載している義務表示のほか、任意表示があります。また、任意表示制度は令和5年4月1日に改正されており、「遺伝子組換えでない」旨の表示ができる条件等が変更されました。詳しくは消費者庁ホームページ「遺伝子組換え表示制度に関する情報(外部サイト)」を御覧ください。 |
品質事項 |
6原料原産地名 |
使用した原材料に占める重量の割合が最も高い原材料の産地を記載します。最も割合の高い原材料が生鮮食品の場合、国産品であれば「国産」である旨を、輸入品であれば「原産国名」を記載します。なお、国産品にあっては、国産である旨の表示に代えて、都道府県名その他一般的に知られている地名などを表示することができます。 最も割合の高い原材料が加工食品の場合は、製造地を記載する、若しくはその加工食品に占める重量の割合が最も高い生鮮食品の名称とともにその原産地を記載します。加工食品の製造地を記載する場合、国内において製造されたものは「国内製造」または「〇〇製造」(〇〇は都道府県名その他一般的に知られている地名)と記載し、輸入品にあっては「△△製造」(△△は原産国名)と記載します。 ただし、最終製品が「22食品群(※)」である場合、その食品の原材料に占める重量の割合が50%以上を占める生鮮食品の名称とともにその原産地を表示します。(※22食品群は食品表示基準の別表第15の1に定めれています。詳しくは消費者庁ホームページ「食品表示法等(法令及び一元化情報)(外部サイト)」を確認してください。) また、最終製品が下記の5品目である場合は、個別に定められている原材料の原産地を表示します。
※平成29年9月1日に食品表示基準が改正され、令和4年4月以降に国内で製造されたすべての加工食品(輸入品を除く)について表示が必要となりました。詳しくは消費者庁ホームページ「新たな加工食品の原料原産地表示制度に関する情報(外部サイト)」を御覧ください。 |
品質事項 衛生事項 |
7原産国 | 輸入された加工食品には、その食品が加工された国を記載します。 | 品質事項 |
8内容量 | 重量、体積又は数量と単位を明記して記載します。 |
品質事項 計量法 |
9消費期限又は賞味期限 |
品質が急速に劣化しやすい食品は、消費期限を「年月日」で記載し、それ以外の食品は賞味期限を「年月日」で記載します。(ただし、製造又は加工の日から賞味期限までの期間が3か月を超える場合は「年月」でも可) 消費期限:弁当、調理パン、そうざい、食肉、豆腐、生めん、生菓子など 賞味期限:ハム、かまぼこ、牛乳、乳製品、スナック菓子、即席めん、缶詰など |
衛生事項 |
10保存方法 |
未開封の状態で、「消費期限」又は「賞味期限」が保証される保存方法を記載します。 |
衛生事項 |
11食品関連事業者 | 製造者、加工者、輸入者、販売者のうち、表示内容に責任を有する者の氏名又は名称及び住所を記載します。 | 品質事項 |
12製造所等の所在地・製造者の氏名又は名称 |
製造所の所在地、製造者の氏名又は名称を記載します。なお、食品関連事業者の氏名又は名称及び住所と同一である場合は省略可能です。
※製造所固有記号の届出方法は「消費者庁ホームページ(外部サイト)」を御覧ください。 |
衛生事項 |
13栄養成分表示 |
消費者向けに販売される容器包装に入れられた加工食品には、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5成分の栄養成分表示が原則必要です。 ※ただし、以下の項目のいずれかに該当する場合、栄養成分表示を省略することができます
|
保健事項 |
食品表示法について
平成27年4月1日に、「食品衛生法」、「JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)」及び「健康増進法」の3法の食品表示に関する規定を一元化した「食品表示法」が施行され、具体的な表示ルールである「食品表示基準」が策定されました。経過措置期間はすでに終了していますので、新ルールに基づく食品表示が必要です。
前の制度からの主な変更点
- 特定加工食品※1及びその拡大表記※2が廃止されました。個別表記を原則とし、例外的に一括表示が可能となりますが、一括表示欄を見ることでその食品に含まれる全てのアレルゲンを把握できるよう、一括表示欄に全て表示しなければなりません。(従前は、「卵」や「小麦」が原材料として表示されている場合や、「たまご」や「コムギ」が代替表記※3で表示されている場合は、改めて一括表示欄に表示する必要はありませんでしたが、新基準では、「卵」、「小麦」も一括表示欄に改めて表示が必要です。)
- アレルギーの一括表示の接続を「、」で区切ることを廃止し、「・」で区切ります。
- アレルギーの一括表示の「原材料の一部に〇〇を含む」という表現を廃止し、「一部に〇〇を含む」という表現にします。
※1特定加工食品(この表示方法は廃止されました)
表記に特定原材料等を含まないが、一般的にアレルゲンを含むことが予測できると考えられてきた食品
(例:マヨネーズ←卵を含む、パン←小麦を含む)
※2特定加工食品の拡大表記(この表示方法は廃止されました)
表記に特定加工食品の名称を含むことにより、アレルゲンを含むことが予測できると考えられてきた表記
(例:からしマヨネーズ←卵を含む、ロールパン←小麦を含む)
※3代替表記
表記方法や言葉が違うが、アレルゲンを含む食品と同一であるということが理解できる表記
(例:たまご←卵と同一、コムギ←小麦と同一)
原則として、全ての消費者向けの加工食品及び添加物への栄養成分表示を義務付けました。
【義務】エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(「食塩相当量」で表示※)
※ただしナトリウム塩を添加していない食品にのみナトリウムの量を併記できます。
【任意(推奨)】飽和脂肪酸、食物繊維
【任意(その他)】糖類、糖質、コレステロール、ビタミン、ミネラル類、n‐3系・n‐6系脂肪酸
- 原則として、同一製品を2つ以上の工場で製造する場合に限り利用可能となりました。
- 製造所固有記号による表示の場合、次のいずれかの事項を表示する必要があります。
- 製造所の所在地又は製造者の氏名若しくは名称の情報の提供を求められたときに回答する者の連絡先
- 製造所固有記号が表す製造所の所在地及び製造者の氏名又は名称を表示したWebサイトのアドレス等(二次元コードその他のこれに代わるものを含む。)
- 当該製品を製造している全ての製造所の所在地又は製造者の氏名若しくは名称及び製造所固有記号
※製造所固有記号の新たなルールについては、平成28年4月1日からの運用です。
※新制度に基づく製造所固有記号を表示する際には、記号の前に「+」を冠して記載する必要があります。
◎表示可能面積がおおむね30平方センチメートル以下の場合でも、安全性に関する表示事項(名称、保存の方法、消費期限または賞味期限、食品関連事業者の氏名又は名称及び住所、アレルゲン及びL-フェニルアラニン化合物を含む旨)は省略できません。
◎食品関連事業者の氏名又は名称及び住所を表示しなくてもよい場合でも、製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称は省略することはできません。
◎添加物表示
原材料と添加物の区分を明確に表示する必要があります。(例)「/」で区切る、改行で区切る、別欄を設ける等
新たに、特定の保健の目的が期待できる(健康の維持及び増進に役立つ)という食品の機能性を表示することができる「機能性表示食品」の制度ができました。
機能性表示食品は、消費者庁長官に届け出た安全性や機能性に関する一定の科学的根拠に基づき、事業者の責任において表示を行うものです。特定保健用食品(トクホ)とは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません。
経過措置期間
新基準に基づく表示への移行の猶予期間は、加工食品・添加物の全ての表示について5年、生鮮食品の表示については、1年6か月とされました。ただし、機能性表示食品については、新しい制度のため猶予期間はありません。(経過措置期間はすでに終了しています。経過措置期間以降は新ルールに基づく食品表示が必要です。)
- 加工食品と添加物(業務用を除く):令和2年3月31日までに製造されたものは従前の例によることができます。
- 加工食品と添加物(業務用):令和2年3月31日までに販売されたものは従前の例によることができます。
- 生鮮食品:平成28年9月30日までに販売されたものは従前の例によることができます。
問合せ窓口
各表示事項の問合せ先は「食品表示の問合せ窓口」を御覧ください。