小樽ものづくりの原動 小樽市のプラスチック・ゴム工業のはじまり

公開日 2020年10月07日

更新日 2022年01月06日

小樽ものづくりの原動

 

 

 

 


 技術革新を続けるプラスチック工業の広がり歴史を刻むゴム工業のあゆみ

幅広い分野で活躍する小樽のプラスチック工業

 日本のプラスチックの歴史は、明治時代に米国から輸入したセルロイドが始まりと言われています。その後昭和30年代には、ポリエチレンなどの多様な合成樹脂が使用されはじめ、プラスチック産業が大きく発展する契機となりました。
同じ頃、北海道においても、基幹産業である農水産業の発展とともに、食料品を輸送する際の包装資材として、商品保護・品質保持などの機能を持つプラスチックフィルムが使われるようになりました。また、小樽港が北海道の玄関口として流通拠点の一つとなっていたことから、小樽市色内町を中心にプラスチックフィルムの製袋・印刷を行う企業が次々と操業し、小樽におけるプラスチック工業の発展に大きな役割を果たしました。
その後も、合成樹脂の加工技術が進歩したことに伴い、その種類も多様化していきました。例えば包装の軽量化を実現した発泡スチロールの登場は、小樽の水産市場などにおいて使われていた木箱を発泡スチロール箱へと転換させるなど、さまざまな産業に影響を与えました。
そのほかにも、家具や建築用資材、プラスチック容器や水道用パイプなど、さまざまなプラスチック関連製品が小樽でも製造・加工されるようになっていきました。

小樽と関わりの深いゴム工業

 小樽におけるゴム工業の歴史は古く、大正初期、小樽市入船町に「小樽ゴム工業商会」が設立され、足袋底にゴム板を張りつけたことから始まりました。これが北海道におけるゴム工業の発祥とされています。

昭和25年、小樽では16もの中小ゴム工場が稼動していましたが、同年、ゴムの生産にかかる統制が撤廃された後は、合併・廃業による再編がなされ、昭和29年には小樽のゴム関連企業は8社となりました。

 また、長靴などの冬季需要から建設工事用・農漁業用ゴム手袋などへと需要は次第に多様化し、それに伴い生産量も伸びていきました。

 昭和30年代以降は、長靴やゴム手袋などの輸出が急激に増加し、財団法人ゴム製品検査協会の北海道支所が小樽に設置されるなど、小樽のゴム工業は北海道における主要産業の一つとして位置付けられていました。

 近年においては、農漁業人口の減少やコストの安い海外製品の市場参入など厳しい環境にありますが、創意工夫を凝らした製品の開発など、小樽のゴム工業は今もなお活躍を続けています。

昭和30年代の小樽港の様子

 昭和30年代の小樽港の様子(写真提供/小樽市博物館)

環境対応型企業が時代をリードする

 小樽のプラスチック・ゴム業界も他の業界と同じく、安価な海外製品との競合を強いられると同時に、原油価格の不安定な情勢や環境への対応が求められるなど、厳しい状況が続いています。そのような中でも、果敢に、そしてねばり強く挑戦を続ける企業が小樽には数多く存在しています。

 独自の印刷機械を開発し有害物質の排出削減を実現する企業、植物由来の生分解プラスチック製品を研究開発する企業、あるいは、廃タイヤなどを利用したゴム製品を製造する企業など、環境面に配慮し優れた「ものづくり」魂を発揮している各企業に、これからも道内外の注目が集まることでしょう。

昭和30年代の小樽市色内町の様子
昭和30年代の小樽市色内町の様子
(写真提供/小樽市博物館)
昭和40年ころのゴム工場の様子
昭和40年ころのゴム工場の様子
(写真提供/小樽市博物館)

参考文献

  • 小樽市史(小樽市)
  • 小樽産業経済史(小樽市)
  • プラスチック製品(日本経済新聞社)
  • 北海道の包装(日本包装技術協会北海道支部)

お問い合わせ

産業港湾部 産業振興課
住所:〒047-8660 小樽市花園2丁目12番1号
TEL:0134-32-4111内線263
FAX:0134-33-7432
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