ストーリーの概要と構成文化財(北前船)

公開日 2020年10月09日

更新日 2023年12月27日

ストーリーの概要

北前船とは、江戸中期から明治中期にかけて、日本海側を大阪(大坂)から北海道(蝦夷地)まで航行していた船で、積み荷を各地で売買する商船(買積み船)を指します。当時は地域ごとに「弁財船」などとも様々な名称で呼ばれていました。寄港地で安い商品があれば買い、それを高く売れる場所で売るという「商売」は、大阪(大坂)と北海道(蝦夷地)を1往復するだけで千両(現代に換算すると6千万円から1億円ほど)もの利益を得ることができたと言われています。見習いの船乗りから船頭になり、お金を貯めて自分の船を持つと大金持ちになれる・・・。身分制度のあった時代に自分の才覚と努力でそのようなチャンスをつかむことができました。

北前船は商品に限らず、食文化や民謡等も運び、全国各地に、そして小樽にも当時の繁栄を偲ぶモノ・コトが残っています。

小樽市の構成文化財

日和山(祝津3-240)

船乗りたちが日和を見た場所

祝津の「日和山」は、古くから船乗りたちが出港前に日和(天候や空模様)を見た場所であった。明治4(1871)年に信香町に設置された常灯台が火事で焼失したのち、同16(1883)年10月に、北海道で2番目となる灯台が設置された。

船絵馬群

鮮やかな色彩で描かれた北前船

航海の安全を祈願して、北前船主や船乗りたちから奉納された船絵馬。船が精緻に描写され、奉納者の名前や出身地、奉納年などが記載されていることもあり、歴史資料として重要。現在小樽では、恵美須神社本殿(祝津3-161)に2面、龍徳寺金比羅殿(真栄1-3-8)に8面、徳源寺(塩谷2-25-1)に3面、塩谷神社(塩谷2-20-20)に30面の船絵馬が日本遺産構成文化財に認定されている。(徳源寺龍神堂及び塩谷神社は、すでに構成文化財として認定されている恵美須神社や龍徳寺金比羅殿の船絵馬と同等の歴史的意義と持つことから構成文化財として文化庁より令和3年7月16日に認定されている。)

旧魁陽亭(住吉町4-7)

北前船主や船乗りたちに親しまれた料亭

明治29年(1896)年建築。北前船主や船乗り、商人たちに親しまれた料亭。明治39(1906)年には、日露戦争後の樺太境界画定委員会議後の大宴会の会場となるなど、国内外の政治家や文化人、各界の著名人が訪れる北海道を代表する料亭として隆盛を誇った。小樽市指定歴史的建造物。

日和山
日和山
恵美須神社船絵馬
船絵馬群
旧魁陽亭
旧魁陽亭

旧右近倉庫・旧広海倉庫・旧増田倉庫(旧北浜地区倉庫群、色内3-10-18~19、内部見学不可)

かつての倉庫街の面影を今に

旧増田倉庫(明治36(1903)年築)、旧広海倉庫(明治22(1889)年築)、旧右近倉庫(明治27(1894)年築)。当時の手宮駅と港に近く、海陸の輸送と貯蔵に最適の場所に建造された。3棟の大規模倉庫が並んで建つ様子は、かつての倉庫街の面影をいまに伝える。いずれも北陸の北前船主が建造。小樽市指定歴史的建造物。

旧大家倉庫(旧北浜地区倉庫群、色内2-3-11、内部見学不可)

小樽を代表する木骨石造倉庫

明治24(1891)年、瀬越(石川県加賀市)出身の北前船主・大家七平によって建造。建物妻面の「ヤマシチ」印や越屋根、入口部分の二重アーチが特徴的。二代目から海運業に従事した大家家は、四代目七平の時代に汽船への転換を進め、全盛期を迎えた。小樽市指定歴史的建造物。

旧小樽倉庫(旧北浜地区倉庫群、色内2-1-20、小樽市総合博物館運河館と運河プラザ)

独創的な屋根の鯱と中庭を囲む配置

明治23(1890)年から同27(1894)年にかけて、橋立の北前船主・西出孫左衛門と西谷庄八によって建造された木骨石造倉庫。屋根に鯱を載せ、煉瓦造りの事務所を中心に左右対称に展開し、中庭を囲んで倉庫を配置する独創的な和洋折衷のデザイン。現在、北側は小樽市総合博物館運河館、南側は観光案内所がある運河プラザとして活用。小樽市指定歴史的建造物。

旧増田倉庫
旧増田倉庫(旧北浜地区倉庫群)
旧大家倉庫ほか
旧大家倉庫(旧北浜地区倉庫群)
旧小樽倉庫
旧小樽倉庫(旧北浜地区倉庫群)

住吉神社奉納物(住ノ江2-5-1)

航海の安全を祈願して奉納

海にまつわる神社である住吉神社は、航海安全の守り神として船乗りや商人たちに信仰された。明治32(1899)年に瀬越(石川県加賀市)出身の北前船主・大家七平と広海二三郎が寄進した第一鳥居をはじめ、境内には石灯籠や玉垣、狛犬、手水鉢など、船乗りたちによって寄進されたものが数多く残る。 

西川家文書(色内2-1-20、小樽市総合博物館運河館)

商いやまちの様子が記された文書

江戸時代の「場所請負人」であり、北前船による廻船業も営んだ西川家の幕末から明治30(1897)年頃の文書。「商店日誌」には、小樽の堺町、高島、忍路各支店と各地の取引状況や、まちの様子などが詳しく記されている。小樽市総合博物館運河館(旧小樽倉庫)所蔵。

北前船関係古写真

北前船の勇姿がここに

北前船及び小樽港、市街地など、ゆかりの場所を撮影した200点を超える写真群。小樽市総合博物館運河館(旧小樽倉庫)所蔵。

住吉神社奉納物(第一鳥居ほか)
住吉神社奉納物
西川家文書
西川家文書
北前船関係古写真
北前船関係古写真

お問い合わせ

産業港湾部 観光振興室
住所:〒047-0007 小樽市港町4番3号
TEL:0134-32-4111内線7266、7267、7450、7451
FAX:0134-27-8600
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