公開日 2020年10月13日
更新日 2020年12月09日
1 改正の概要
改正の背景
近年、危険物施設からの危険物流出事故が増加傾向であり、その中でも地下に埋設された地下貯蔵タンク等が腐食等劣化し、危険物が流出する事故が多く発生しています。
このような状況を踏まえ、危険物流出事故が発生する可能性の高い地下貯蔵タンクの事故防止のため、法令が改正されました。(危険物の規制に関する規則等の一部を改正する省令(平成22年総務省令第71号)及び危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示の一部を改正する件(平成22年総務省告示第246号)が平成22年6月28日に公布され、平成23年2月1日より施行されています。)
改正の内容
地盤面下に直接埋設された鋼製の一重殻タンク(以下「直接埋設鋼製一重殻タンク」という。)のうち、タンク外面の塗覆装の種類、設計板厚及び設置年数が一定の要件を満たすものを「腐食のおそれが高いもの」「腐食のおそれが特に高いもの」と区分し、区分に応じて一定の措置を講ずることとするものです。年数の経過により、措置を行う必要が生じたり、区分が変更されたりする場合があります。
用語の解説
「直接埋設」鉄筋コンクリートの箱などに入れずに、基礎台の上にタンクを設置し埋め戻したものをいいます。 直接埋設の他には、鉄筋コンクリートの箱にタンクを設置するタンク室方式やコンクリートでタンクを埋め戻す漏れ防止構造などがあります。
「鋼製の一重殻タンク」タンクを一重の鋼板で製作したタンクをいいます。 鋼板や強化プラスチックなどを使用し、タンクが2重となるように製作した二重殻タンクは該当しません。
「タンク外面の塗覆装の種類」鋼板の外側に腐食しないよう塗装や被覆をしたものをいいます。材料などによりモルタル、アスファルト、エポキシ樹脂、タールエポキシ樹脂又は強化プラスチック(FRP)の種類があります。
「設計板厚」製作された時のタンク鋼板の厚さをいいます。タンクの場所により厚さが異なる場合は、一番薄い場所をタンクの設計板厚として要件にあてはめます。
「設置年数」タンクを埋めてから何年経過しているかをいいます。タンクを埋めた時に検査を行い、完成検査済証を交付しますので、この交付年月日を埋設した起点の年月日としています。
2 該当するタンクの設置方法
該当するタンク 直接埋設鋼製一重殻タンク
該当しないタンク タンク室方式
二重殻タンク
漏れ防止構造
3 タンク外面の塗覆装の種類、設計板厚及び設置年数の要件
塗覆装の種類
設計板厚
(最小値)
設置年数(埋設時の許可に係る完成検査済証交付年月日を起算日)
20年未満
20年以上
30年未満
30年以上
40年未満
40年以上
50年未満
50年以上
モルタル
3.2mm以上4.5mm未満
B
B
A
4.5mm以上6.0mm未満
B
A
6.0mm以上8.0mm未満
A
8.0mm以上
B
アスファルト
3.2mm以上4.5mm未満
B
B
A
A
4.5mm以上6.0mm未満
B
B
A
6.0mm以上
B
A
エポキシ樹脂又は
タールエポキシ樹脂
3.2mm以上4.5mm未満
B
A
4.5mm以上6.0mm未満
A
6.0mm以上
B
FRP
3.2mm以上4.5mm未満
B
A
4.5mm以上12.0mm未満
B
12.0mm以上
A:腐食のおそれが特に高い地下貯蔵タンクに該当
B:腐食のおそれが高い地下貯蔵タンクに該当
4 必要な措置
措置の種類
措置の例
Aに必要な措置
Bに必要な措置
ア タンク内面の腐食を防止するためのコーティング
※ 工事の際、タンクの状態を調べます。タンクの腐食が進んでいる場合は補修が必要となり、著しく腐食が進んでいる場合はタンクの使用ができなくなります。
※ タンクの内面に施工されたコーティングを損傷させないようにするため、油量を自動で表示する装置(以下「油面計」という。)が設置されていない場合、油面計の設置などの措置が必要となります。
強化プラスチックでコーティングを行った例
いずれか1つ
(Bに該当した際にア又はイの措置を行っている場合は、その後Aに該当した際もそのまま使用できます。)
いずれか1つ イ 電気防食
電気防食の例
ウ 危険物の微少な漏れを検知するための設備
※ 通常の油面計は該当しません。
※ Aに該当した際は、ア又はイの措置が必要です。
高精度油面計を設置した例
―
5 その他
(1) 法令の施行年月日
平成23年2月1日に法令が施行され、経過期間は平成25年1月31日までです。(平成25年1月31日までは、A又はBに該当しても従前の基準で使用して差し支えありません。)
(2) 措置を行う際の手続き
工事を行う場合は、消防へ申請又は届出が必要となります。工事を行う前にご相談願います。
(3) 休止中の地下貯蔵タンク
休止中の地下貯蔵タンクは、保安措置を講じ必要な手続きがされている場合、再開する前日まで当該期限を延長することが可能となる場合があります。詳しい手続きは消防本部予防課へお問い合わせください。
(4) 具体例
例1
タンクの想定
設置方法 「直接埋設鋼製一重殻タンク」 塗覆装の種類 「アスファルト」 設計板厚 「6.0mm」 埋設年月日 「昭和45年4月1日」
法令の適用について
埋設後40年でBの措置、50年でAの措置が必要となります。改正法令施行時には40年が経過しているため平成23年2月1日にBの措置が義務となり、経過期間(平成25年1月31日)までにBの措置が必要となります。その後、平成32年4月1日に埋設から50年となるため、平成32年4月1日までにAの措置が必要となります。
例2
タンクの想定
設置方法 「直接埋設鋼製一重殻タンク」 塗覆装の種類 「モルタル」 設計板厚 「8.0mm」 埋設年月日 「昭和45年4月1日」
法令の適用について
埋設後50年でBの措置が必要となります。改正法令施行時には措置の義務はありませんが、平成32年4月1日に埋設から50年となるため、平成32年4月1日までにBの措置が必要となります。
6 お問い合わせについて
法令改正などについてのお問い合わせは、下記へご連絡願います。
小樽市消防本部予防課保安指導係
小樽市花園2丁目12番1号
電話番号 0134-22-9181
ファックス 0134-22-9182
今回の改正は、地下貯蔵タンクからの流出事故防止を目的としたものです。改正趣旨をご理解いただき、要件に該当するタンクを所有される方におかれましては、措置をしていただくようお願いいたします。また、要件に該当する日まで期間がある場合も、早めの措置をされることをお勧めします。