公開日 2020年10月17日
更新日 2025年11月06日
感染性胃腸炎とは
感染性胃腸炎は、細菌(病原性大腸菌、サルモネラ属菌など)やウイルス(ノロウイルス、ロタウイルスなど)などの多種多様な病原体による胃腸炎の総称です。冬場はノロウイルス、春はロタウイルス、夏は腸炎ビブリオなどの細菌性や食中毒によるものが多く、季節を問わず発生する可能性があります。特に、冬場は学校や社会福祉施設など、集団の場で大規模な流行となることが多いので注意が必要です。集団発生時に慌てないように、平常時のうちに施設内での対応についてしっかりと確認し、施設内での集団発生に準備しておきましょう。
症状と治療
主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱することもあります。病原体や普段の健康状態によっては、感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状の場合もあります。ノロウイルスは成人でもみられますが、ロタウイルスは乳幼児に多く、ノロウイルスの場合は平均1~2日、ロタウイルスの場合は平均5~6日症状が続くとされています。
なお、ロタウイルスが原因の場合、便が白くなることがあります。
ウイルス性の胃腸炎の場合、特効薬がないので、つらい症状を軽減するための対処(対症療法)になります。水分補給や安静に努め、回復してきたら消化しやすいお食事を取りましょう。下痢止め薬は回復を遅らせることがあるので自己判断では使用しない方が望ましいでしょう。
通常、症状は1~2日でおさまりますが、特に小さいお子さんや高齢者は脱水を起こしやすいので、早めに医療機関を受診しましょう。また、誤嚥(嘔吐物が気管に入ること)により窒息や肺炎を起こすことがあるため、体調の変化に注意しましょう。
潜伏・感染期間
潜伏期間は1~2日程度です。
症状がある間だけではなく、症状が落ち着いてからも、数週間は便の中にウイルスが含まれるとされているので注意が必要です。
感染経路
ウイルスが付着した手をしっかりと洗わずに口や鼻に触れることで感染
- 学校や職場、公共交通機関などで、人が触るもの(ドアノブ、机、食器、つり革など)に触れた後
- 感染性胃腸炎に感染した人の便や吐物などを処理した後
- ウイルスが付着した手で触れられて(トイレの後、便や吐物などを処理した後など)
直接ウイルスに触れることによる感染
- ウイルスに感染した患者さんの咳やくしゃみで出た飛沫から
- 感染した人の便や吐物、ウイルスに汚染された洗濯物やちり紙などから、空気中に舞い上がったウイルスを吸い込んで
ウイルスに汚染されたものを食べたり飲んだりすることによる感染
- 汚染された食品(カキやシジミなどの二枚貝が多い)を生、または十分な加熱をしないで食べた場合
- 汚染された湧き水や井戸水を、消毒不十分で飲んだ場合
- 感染した人の調理や配膳などにより汚染された食品を食べた場合
感染しないために
手洗いの励行
排便後、帰宅時、調理・食事の前、患者の看病や介護後などは特に、アルコール消毒だけでは不十分です。石けんを使い、流水でウイルスをしっかりと洗い流しましょう。
【参考】ノロウイルス等の食中毒防止のための適切な手洗い(動画)|厚生労働省ホームページ(外部サイト)
適切な吐物処理
使い捨ての手袋、マスク、エプロンを着用し、汚染された場所を適切な濃度の消毒液で広範に消毒しましょう。次亜塩素酸ナトリウムまたは熱水(85度1分間以上)による消毒が有効です。アルコール消毒では、充分な効果が得られません。1回の(1人分の)処理が終わったら、必ず手を洗いましょう。
【参考】「感染性胃腸炎・食中毒を予防しましょう(小樽市作成)」[PDF:845KB]
適切な食品管理
食品を適切な温度で充分な時間加熱する、症状がある方は食品の調理をできるだけ控えるなど、食中毒の一般的な予防方法を守りましょう。
食中毒の予防に関しては、小樽市ホームページ「食中毒予防について」をご覧ください。
ワクチン接種(ロタウイルス)
ロタウイルスによる胃腸炎の場合、ワクチンを接種することで感染を予防できます。詳しくは、小樽市ホームページ「ロタウイルス感染症予防接種について」をご覧ください。