公開日 2020年10月19日
更新日 2023年12月25日
「認知症」と「老化」によるもの忘れの違い
誰でも、年齢とともに、人の名前や食べたものを思い出せなくなりますが、これは脳の老化によるもの忘れです。
しかし認知症の場合は、出来事自体を忘れてしまうので、もの忘れの自覚がありません。
認知症によるもの忘れ
原因
脳の神経細胞の減少など
状況
- 出来事の記憶全てを忘れる
- ヒントがあっても思い出せない
- もの忘れの自覚がない
- 年次や日付、季節がわからなくなる
老化によるもの忘れ
原因
老化による大脳の機能低下
状況
- 出来事の記憶の一部を忘れる
- ヒントがあれば思い出せる
- もの忘れを自覚できる
- 年次や日付、季節を間違えることがある
認知症とは
正常に働いていた脳の機能が低下し、記憶や思考などの能力が低下していく病気です。
年齢を重ねるほど認知症になりやすく、65歳以上の認知症患者は全国で400万人を超えているという推計もあります。
アルツハイマー型認知症が最も多く、次に多いのが、レビー小体型認知症、脳血管性認知症です。
記憶障害や見当識障害(時間・場所・人物がわからなくなる)などは認知症の「中核症状」と呼ばれ、脳細胞の機能低下によって起こる共通症状です。
また、二次的症状である「周辺症状」は徘徊(はいかい)、暴言・暴力、うつ状態などがあり、症状の現れ方は患者ごとに異なりますが、治療や周囲の対処方法、環境調整によって改善が期待できます。
アルツハイマー型認知症
脳の変化
脳の神経細胞にたんぱく質が蓄積して、細胞が破壊され、脳が萎縮する
症状(一例)
- 少し前の出来事を忘れる
- 同じ事を何度も言う
- 帰り道がわからなくなる
- 同じ物を何度も買う
経過
徐々に進行する
レビー小体型認知症
脳の変化
脳の神経細胞にレビー小体とよばれる異常なたんぱく質が蓄積する
症状(一例)
- 子どもや動物、昆虫などが見えたりする(幻視)
- 手足の動きが鈍くなる(パーキンソン症状)
経過
日内変動がある
脳血管性認知症
脳の変化
脳梗塞や脳出血などにより、脳の血流が途絶え、脳細胞が死滅する
症状(一例)
- もの忘れが多い
- 転びやすい
- 気分が落ち込んだり、意欲が低下する
- 急に泣いたり怒る
経過
疾患によって異なるが、段階的に進行していくことが多い
対応について
認知症の対応には工夫が必要になります。対応は下記にまとめています。
早期診断、早期治療が大切です
認知症への対応は早期のほうが効果的です。
アルツハイマー型認知症は、薬で進行を遅らせることができ、健康な時間を長くすることができます。また、脳血管性認知症は、脳血管障害の再発、病気、環境の激変など大きなストレスによって進行することが多いので、これらを防ぐことで進行が止まることもあります。
受診する際は
認知症の心配があるときは、かかりつけ医、あるいは専門医(もの忘れ外来、精神科、心療内科、認知症疾患医療センターなど)を受診することが望ましいです。
ただし、認知症の人は病気だという意識(病識)がないことが多いので、無理やり受診させると、本人との関係性や医療機関との信頼関係が築けなくなるおそれがあります。先に家族だけで相談するか、往診に来てもらうなどを検討しましょう。
認知症の人との接し方
誰でも認知症になる可能性があります。
認知症の患者の多くは、自分に起きている異変に不安や孤独を感じ、大きなストレスを抱えています。
※関わり方のポイント
- できないことを責めるのではなく、できることを誉める
- ゆっくりと短い言葉で、おだやかに話す
- ささいなことでも役割を持ってもらう
- 本人の持っている力を引き出す(得意なことに目を向ける)
- 本人の希望やペース、習慣などを大切にする
※こんな言動は相手を傷つけます
- 叱り付ける、頭ごしに怒鳴る、命令する
- 強制する、急がせる
- 子ども扱いする
認知症や介護に関する相談機関
高齢者の総合的な支援を行う窓口で、保健師、看護師、ケアマネジャー、社会福祉士などが相談対応します。
・小樽市役所介護保険課(電話32-4111内線453、454、455)
介護保険の手続きやサービスに関する窓口です。
ご家族の不安や悩みを支えあう活動を行っています。
電話相談も行っており、介護経験者や医療・福祉・介護の専門家からのアドバイスが受けられます。
(平日10時から15時まで、電話011-204-6066)
平成28年10月から、認知症の方や、認知症が疑われる方の悩みや相談に応じ、自立した生活を送ることができるようにサポートする「認知症初期集中支援チーム」の活動が始まります。
医療機関の紹介や福祉サービスの手続きなど、さまざまな相談にお応えしています。