公開日 2020年10月16日
更新日 2025年07月24日
ダニ媒介感染症とは
マダニは、森林や草地など屋外に生息する比較的大型のダニ(食品等に発生する「コナダニ」やじゅうたんや寝具に発生する「ヒョウヒダニ」など住宅内に生息するダニとは種類が異なる)です。日本では、マダニに咬まれて感染する病気として知られているものに、日本紅斑熱・ライム病・ダニ媒介性脳炎・回帰熱・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)があります。また、つつが虫と呼ばれる小型のダニに咬まれて発症するつつが虫病も発生しています。
ダニ媒介感染症は、マダニに咬まれることにより、マダニが保有する細菌やウイルスに感染して発症します。人から人へは感染しません。マダニの活動が盛んな、春から秋に多くの発生が見られることから、農作業やレジャーなどで森林や草むら、藪などに入る場合には、マダニに咬まれないよう十分注意しましょう。
マダニに咬まれないように注意しましょう
- マダニが多く生息する草むらや藪などに入る場合には、マダニに刺されないような服装を心がけましょう。
長袖、長ズボン、足を完全に覆う靴、帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻く等、肌の露出を少なくすることが大切です。(シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる、または登山用スパッツを着用するとより効果的です。) 服はマダニを目視で確認しやすい、明るい服がお薦めです。
- 屋外活動後は、マダニに刺されていないか確認してください。
マダニの多くは、人や動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、数日から、長いものは10日間以上吸血しますが、咬まれたことに気がつかない場合も多いとされています。屋外活動後は入浴をし、マダニに刺されていないか確認してください。特に、わきの下、足の付け根、手首、膝の裏、胸の下、頭部、髪の毛の中等がポイントです。
マダニに咬まれたら
吸血中のマダニが体に付いているのを見つけた場合、無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残り、化膿したり、マダニの体液を逆流させてしまったりする恐れがあるので、医療機関(皮膚科)を受診し、マダニの除去・洗浄等の処置を受けましょう。
また、マダニに咬まれた後、数週間程度は体調の変化に注意し、発熱等の症状が認められた場合は医療機関で診察を受けましょう。
動物との接触による感染も御注意ください
マダニは幼虫、若虫、成虫のいずれも哺乳動物を刺咬し、吸血します。日本紅斑熱に関しては、保菌あるいは感染している動物(げっ歯類や野生のシカなど)からダニへ、ダニからヒトへの感染もあるとされています。また、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関しては、SFTSウイルスに感染している動物の血液などの体液に直接触れた場合、SFTSウイルスに感染することは否定できないとされています。
ダニ媒介感染症以外の感染症に対する予防の観点からも、動物の飼育及び野生動物との遭遇の際には、下記の点に御注意ください。
- 動物を飼育している場合、過剰な触れ合い(口移しでエサを与えたり、動物を布団に入れて寝ることなど)は控えてください。
- 動物に触ったら必ず手洗いをしましょう。
- 動物のマダニは適切に駆除しましょう。
- 飼育している動物の健康状態の変化に注意し、体調不良の際には動物病院を受診してください。
- 野生動物は、どのような病原体を保有しているか分かりません。野生動物との接触は避けてください。
- 体に不調を感じたら、早めに医療機関を受診してください。受診する際は、ペットの飼育状況やペットの健康状態、また動物との接触状況についても医師に伝えてください。
関連リンク
・厚生労働省リーフレット「「ダニ」にご注意ください」PDF(外部サイト)
・厚生労働省ポスター「今年もあなたの血を狙って奴らがやってくる!-ダニ・蚊の襲来に備えよ-」PDF(外部サイト)
ダニ媒介感染症について|北海道保健福祉部感染症対策局感染症対策課ホームページ(外部サイト)
主なダニ媒介感染症
回帰熱
潜伏期:マダニに咬まれた後、12-16日程度(平均15日)
症状:症状のある時期と症状のない時期を繰り返す病気です。症状のあるときの主な症状は、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感(だるさ)などで、高熱は3-6日間続きます。重症になると、心臓、脳、肝臓などに障害が起こり、死亡することもあります。
【関連リンク】
回帰熱|国立健康危機管理研究機構(JIHS)ホームページ(外部サイト)
回帰熱(Relapsing fever)|厚生労働省検疫所ホームページ(外部サイト)
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
潜伏期:マダニに咬まれてから6日-2週間程度
症状:主な症状は発熱と消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)で、時に頭痛、筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸不全症状、出血症状(歯肉出血、紫斑、下血)などが出現します。重症化して死亡することもあります。
【関連リンク】
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について|厚生労働省ホームページ(外部サイト)
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)|国立健康危機管理研究機構(JIHS)ホームページ(外部サイト)
ダニ媒介性脳炎
潜伏期:通常7-14日
症状:4-28日間の症状のない期間があった後、頭痛、筋肉通、倦怠感や発熱が起こります。そのままなおる場合もありますが、悪化すると、脳に障害が出るようになり、呼吸ができなくなることがあります。重症型の場合には死亡することがあります。2/3くらいの人は何の症状もおこりません。
【関連リンク】
ダニ媒介脳炎について |厚生労働省ホームページ(外部サイト)
ダニ媒介脳炎|国立健康危機管理研究機構(JIHS)ホームページ(外部サイト)
ダニ媒介脳炎(Tick-Borne Encephalitis)|厚生労働省検疫所ホームページ(外部サイト)
つつが虫病
潜伏期:つつが虫に咬まれてから5-14日
症状:全身倦怠感、食欲不振とともに頭痛、悪寒、発熱などを伴って発症します。高熱、発疹(顔面、体幹に多い)、咬まれた近くにあるリンパ節の腫れなどが見られ、重症になると肺炎や脳炎症状を来すこともあります。
【関連リンク】
つつが虫病|国立健康危機管理研究機構(JIHS)ホームページ(外部サイト)
リケッチア感染症(Rickettsial Infection)|厚生労働省検疫所ホームページ(外部サイト)
日本紅斑熱
潜伏期:2-8日
症状:全身倦怠感、食欲不振とともに頭痛、悪寒、発熱などを伴って発症します。高熱、紅色の発疹(手足に多い)などが見られます。
【関連リンク】
日本紅斑熱|国立健康危機管理研究機構(JIHS)ホームページ(外部サイト)ライム病
潜伏期:3-32日間
症状:赤い発疹、疲労、頭痛、関節痛、筋肉痛や首が動かしにくいという症状が現れます。悪化すると、脳や心臓に障害が出るようになり、死亡することがあります。なおった場合にも1週間から数年にわたって皮膚や関節に後遺症が残ることがあります。
【関連リンク】
医療機関の皆様へ
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)に基づく届出基準及び届出票については、下記を御覧ください。
・回帰熱 届出について|厚生労働省ホームページ(外部サイト)
・重症熱性血小板減少症候群(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る。)届出について|厚生労働省ホームページ(外部サイト)
・ダニ媒介脳炎 届出について|厚生労働省ホームページ(外部サイト)
・つつが虫病 届出について|厚生労働省ホームページ(外部サイト)
・日本紅斑熱 届出について|厚生労働省ホームページ(外部サイト)
・ライム病 届出について|厚生労働省ホームページ(外部サイト)
・感染症法に基づく医師の届出について | 小樽市ホームページ
北海道では、ダニ媒介感染症の行政検査に併せ、エゾウイルスやオズウイルス等の調査研究を行っています。
ダニ媒介感染症の対策には、病態の解析、感染のまん延状況の把握等のための調査研究が不可欠であり、これらは、ダニ媒介感染症対策につながる重要な基礎データとなりますので、趣旨をご理解いただき、調査にご協力をお願いいたします。
通知文【道→医療機関】ダニ媒介感染症に関する調査の一部改正について[PDF:68.1KB]
ダニ媒介感染症に関する調査依頼(医療機関用)[PDF:103KB]
ダニ媒介感染症に関する調査依頼(患者(受検者)用)[PDF:98.4KB]