公開日 2020年10月09日
更新日 2022年01月19日
ストーリーの概要
かつて小説家・小林多喜二が「北海道の心臓」と評し、日本の近代化を支えた「北日本随一の都市」だった小樽。現在は、全国有数の観光地として知られますが、高度経済成長期の中で「斜陽のまち」と呼ばれた時期があります。その時、歴史的な遺産を守り、さらに活用しながらまちの再生を模索した小樽市民がいました。小樽では明治から、まちの発展とともに財を成した資本家たちが、市庁舎や公会堂などを寄付し、「民の力」で自らまちを作り上げてきました。小樽の黎明期から脈々と流れてきた「民の力」によって、元気を失った「北海道の心臓」は新たな鼓動を始めました。これはまちの衰退を「民の力」によって、遺産の保存と活用をまちづくりに生かし続ける人たちの物語です。
構成文化財
天狗山からの眺望(小樽港)
小樽港を一望する景観。近代初頭の北前船交易からはじまり、石炭輸送の拠点港となった。階段状にせりあがった独特の地形と、かつての商都小樽を一望できる景観。
旧手宮鉄道施設
明治18(1885)年ほか。石炭輸送のために建設された幌内鉄道にかかわる施設群。日本の近代化を支えた北海道の石炭は、ここから全国に運ばれた。(国指定重要文化財)
小樽市総合博物館所蔵鉄道車両群
明治18(1885)年製造の「しづか」号、明治28(1895)年製造、国産2号機「大勝」号などの蒸気機関車をはじめ、鉄道による物流を担った貴重な車両群6両。
- 天狗山からの眺望(小樽港)
- 旧手宮鉄道施設
- 小樽市総合博物館所蔵鉄道資料(しづか号)
旧手宮線散策路
明治13(1880)年に部分開業した幌内鉄道の一部。小樽が物流の拠点として成長するきっかけとしてだけではなく、日本の近代化を支え続けた路線。軌道を残したまま整備をしている。
小樽港北防波堤
明治41(1908)年完成。日本初の外洋防波堤。廣井勇の設計、指導。小樽港の価値を決定づけた記念碑的な構造物。
小樽港湾事務所みなとの資料コーナー所蔵防波堤関係資料(波力公式を含む)
明治末期~昭和。北防波堤など小樽港築港関係資料。「百年試験」のモルタルブリケットなど土木技術の粋を集めた工事を物語る。
- 旧手宮線散策路
- 小樽港北防波堤
- 小樽港湾事務所みなとの資料コーナー所蔵防波堤関係資料
北浜地区倉庫群
明治20年代から30年代建設の倉庫群。小樽の近代化の第一段階、商業都市の萌芽期より営業用倉庫として使用されている。
- 市指定歴史的建造物第1号旧大家倉庫
- 市指定歴史的建造物第13号旧小樽倉庫
- 市指定歴史的建造物第20号旧澁澤倉庫
- 市指定歴史的建造物第22号旧増田倉庫
- 市指定歴史的建造物第65号旧右近倉庫
- 市指定歴史的建造物第66号広海倉庫
南浜地区倉庫群
明治20年代から大正期建設の倉庫群。物流の増加に伴い、旧市街地に近い埋め立て地にも倉庫が次々と造られた。
- 市指定歴史的建造物第21号旧木村倉庫
- 市指定歴史的建造物第42号旧嶋谷倉庫
- 市指定歴史的建造物第51号旧高橋倉庫
旧岡崎倉庫(3棟)
明治38(1905)年ほか。物流が盛んになると、倉庫群はさらに広がっていった。現在は酒蔵(田中酒造亀甲蔵)として営業している。(市指定歴史的建造物第64号)
- 北浜地区倉庫群
- 南浜地区倉庫群
- 旧岡崎倉庫(3棟)
旧日本郵船株式会社小樽支店及び附属倉庫群
明治39(1906)年、工部大学校一期生の佐立七次郎が設計。周辺の倉庫群を含め、商業都市として変貌した明治後半の小樽の姿を象徴する建物。(国指定重要文化財)※現在、改装工事のため休館中
日本銀行旧小樽支店
明治45(1912)年、工部大学校一期生であり、当時の日本建築界のリーダーであった辰野金吾らが設計した。金融の面でも北日本の中心となった小樽の象徴的な存在。金融資料館として公開中。(市指定有形文化財)
旧三井銀行小樽支店
昭和2(1927)年、工部大学校一期生の曾禰達蔵の建築事務所が設計。工部大学校一期生のうち3人の作品が存在する唯一の地方都市であることは、経済都市としての繁栄を物語るもの。現在は、小樽芸術村の施設として内部見学(有料)ができる。(市指定有形文化財)
- 旧日本郵船株式会社小樽支店(休館中)
- 日本銀行旧小樽支店金融資料館
- 旧三井銀行小樽支店(小樽芸術村)
色内銀行街
明治末から昭和中期。半径500メートルの範囲に10軒もの銀行建築が立ち並ぶ景観は、全国的にも小樽でしか見ることができない。
- 旧小樽地方貯金局
- 市指定歴史的建造物第5号旧百十三銀行小樽支店
- 市指定歴史的建造物第6号旧北海道銀行本店
- 市指定歴史的建造物第9号旧百十三国立銀行小樽支店
- 市指定歴史的建造物第18号旧三菱銀行小樽支店
- 市指定歴史的建造物第19号旧安田銀行本店
- 市指定歴史的建造物第24号旧第一銀行小樽支店
- 市指定歴史的建造物第25号旧第四十七銀行本店
- 市指定歴史的建造物第30号旧三井物産小樽支店
- 市指定歴史的建造物第31号旧北海道拓殖銀行小樽支店
色内通り、堺町通りの商店
明治30年代から大正期の商店建築。経済都市の心臓部であった色内通り、卸商が集まっていた堺町通りに残る商店建築。銀行建築とともに経済都市小樽の面影を残している。
- 市指定歴史的建造物第7号旧名取高三郎商店
- 市指定歴史的建造物第8号旧岩永時計店
- 市指定歴史的建造物第15号旧早川支店
- 市指定歴史的建造物第17号旧共成(株)
- 市指定歴史的建造物第23号旧上勢友吉商店
- 市指定歴史的建造物第33号旧久保商店
- 市指定歴史的建造物第34号旧金子元三郎商店
- 市指定歴史的建造物第36号田中酒造店
- 市指定歴史的建造物第52号旧荒田商会
- 市指定歴史的建造物第68号旧塚本商店
- 市指定歴史的建造物第72号旧小堀商店
- 市指定歴史的建造物第80号旧前堀商店
- 市指定歴史的建造物第83号旧磯野支店倉庫
- 市指定歴史的建造物第85号旧北海雑穀株式会社
旧小樽商工会議所
昭和8(1933)年建設。北日本随一といわれた小樽の経済機能を象徴する建物。現在は、ホテル(OMO5小樽by星野リゾート)として営業中。(市指定歴史的建造物第10号)
- 色内銀行街
- 色内通り、堺町通りの商店
- 旧小樽商工会議所
JR小樽駅本屋及びプラットホーム
三代目の駅舎として昭和9(1934)年に完成。商都小樽の玄関としてふさわしく、当時鉄道省主要駅と同じデザインが採用されている。(国登録有形文化財)
繁栄期の料亭、ホテル建築群
小樽の繁栄時全道一の数を誇った小樽の料亭、海外客を中心として宿泊した様式ホテル。経済活動の一面を表す建物。一部はリノベーションされてホテルとして再開。
- 市指定歴史的建造物第2号魁陽亭
- 市指定歴史的建造物第16号旧越中屋ホテル
- 市指定歴史的建造物第79号旧光亭
小樽運河
小樽のシンボルともいえる小樽運河は大正12(1923)年完成。はしけ荷役の効率化のために沖合に作られた。小樽の黄金期を物語る史跡。
- JR小樽駅本屋
- 旧越中屋ホテル(繁栄期の料亭、ホテル建築)
- 小樽運河
奥沢水源地水道施設
大正3(1914)年。商業港として船舶への水の供給、小樽の人口を支えるために中島鋭治の指導で建設された近代水道施設。経済都市のインフラとしてだけではなく、景観としても貴重。
運河完成後の倉庫群
大正後期の倉庫群。運河完成後に建設された木骨石造もしくは鉄筋コンクリートの倉庫群。運河とともに歴史的な景観を形成している。
- 澁澤倉庫
- 市指定歴史的建造物第63号旧篠田倉庫
- 市指定歴史的建造物第77号浪華倉庫
旧北海製罐倉庫(株)事務棟、工場、倉庫
大正11(1922)年~昭和10(1935)年。小樽運河の埋め立て地に建設された製缶会社の工場、事務所、倉庫。はしけ荷役の最盛期の象徴的な建造物群。(市指定歴史的建造物第76号)
- 奥沢水源地水道施設
- 小樽運河完成後の倉庫群
- 旧北海製罐倉庫(株)第3倉庫
小樽市総合博物館所蔵9.5ミリ動画資料
昭和初期に流行し、小樽の資産家たちにより撮影された動画資料。繁栄期の小樽の同時代資料として貴重。写真とともに総合博物館で公開。
中村善策作風景画
大正から昭和、小樽の繁栄期と衰退期の風景を資産家たちの経済援助を受けて描いた。また、歴史資料としても貴重である。市立小樽美術館1階に中村善策記念ホールがある。
小樽運河を守る会関係資料
昭和40年~60年代。小樽運河の保存運動にかかわるチラシ、ポスター、各種切抜などの資料群。文化財を保存し、まちづくりを考えた、小樽の転換期を物語る資料。
藤森茂男作風景画
昭和40年代の小樽運河を描き衰退期の小樽、荒廃していた小樽運河を描いた作品群で知られる。のちに運河保存運動の象徴的な存在となる。
兵庫写真コレクション
昭和50年代、「斜陽のまち」といわれたころの小樽の姿をおよそ5,000枚の写真に収めた資料。再生、変貌する以前の小樽の姿が写されている。